40歳。もはや無理をして自分を若く見せることは無粋で、年相応の美しさを服で表現したくなる。衰えた肌や、ハリ・コシを失い始めた髪を好きになると、あれほど着ていたネイビーやブラックより深みのあるグレーが似合ってくる。俳優・安藤政信とチャコールグレーの方程式で証明しよう。
大判のストールを、ニットの上に大胆に巻く。アクセサリーをまるでアウターのように主役として楽しむ、そんなスタイルがあっていい。ワントーンで統一した中、ウールモヘアによる手編みのボリューム感が、鈍いグレーを幻想的に魅せてくれる。
ストール¥90,200・スラックス¥143,000/ジル サンダー+バイ ルーシー アンド ルーク・メイヤー(ジルサンダージャパン) ニット/スタイリスト私物
プリーツで立体化した新しいダウンバッフルを採用。通常のダウンよりかさが高くて暖かな設計は、自然の山々を連想させるデザイン。
ダウンベスト¥143,000/ゴールドウイン ゼロ(ゴールドウイン カスタマーサービスセンター) ニットTシャツ¥15,400/カレドアー(ブリティッシュメイド 銀座店) スラックス¥27,500/ディッキーズ×ビューティー&ユース(エイチ ビューティー&ユース)
ゆとりあるアームホールと、肩から落ちるシルエットが特徴のスウェットは、ソリッドなコットン100%。スウェットではお馴染み、首元のV字ガゼットを省いたり、パンツインしやすい裾に処理するなど、まるでTシャツのようなディテール。
スウェット¥108,900/ザ・ロウ(ザ・ロウ・ジャパン) ボールチェーン¥33,000/ララガン(ララガンデザイン) Tシャツ/スタイリスト私物
秋冬にも履きたいサンダルといえばビルケンシュトックであり、ボストンである。中でもチャコールグレーのウールフェルトは毛足に適度なボリュームがあって、ニットパンツと触れ合っても馴染む。そしてインソールのコルクは保温効果に優れる。
サンダル¥14,300/ビルケンシュトック(ビルケンシュトック・ジャパン カスタマーサービス) ニットパンツ¥30,800/エイチ ビューティー&ユース
ウールナイロンスムース。素材の名前の響きだけで、いかに快適なカットソーかわかる。ソリッドな中に感じとれる豊かな風合いは、オーストラリア産の上質なメリノウールによるもの。ポリウレタンを混紡することで、生地のキックバックを高めた。ジャージーの縮絨加工で微細な毛羽を作り出し、ウォーム感を表現している。カットソー¥41,800/ジュンヤ ワタナベマン(コム デ ギャルソン)
グレーの可能性は無限。アイテムがすべて同系色でも、トーンと素材の妙でいろんな表現ができる。そしてその濃淡こそが、シルバーヘアや肌のエイジングに寄り添ってくれる。
ハーフコート¥132,000/コンテンポ(ヤエカ ホーム ストア) タートルネックニット¥59,400/ボーディ(alpha PR) パンツ¥28,600/サイべーシックス(マスターピースショールーム) スニーカー¥64,900/コモン プロジェクト(シップス 渋谷店)
40歳にとってタンカーは青春の象徴でもある。その色はブラックやカーキが一般的だが、今持つならPXタンカーのシルバーグレーが正解かもしれない。手頃なサイズを休日の新しいスタンダードに。付属のショルダーストラップで肩掛けも可。
2WAYトートバッグ 縦22㎝×横24㎝×マチ11㎝ ¥40,700/ポーター(ポーター エクスチェンジ 渋谷) ストール 70㎝×190㎝ ¥75,900/ジョシュアエリス(グリニッジ ショールーム)
内面から漂う知性や風格を服で表現するにも、曖昧なグレーがしっくり感じる。ルメールのジャケットは、洗いざらしのシルクナイロン。ちょっと明るくて、どこか切なくも見える。そこに繊細なイタリアの仕立て。40歳にとって理想的な振り幅を表現している。
ジャケット¥218,900/ルメール(エドストローム オフィス) ニットTシャツ¥15,400/カレドアー(ブリティッシュメイド 銀座店)
安藤政信
1975年神奈川県川崎市生まれ。’96年、北野武監督の映画『キッズ・リターン』で主演を務めデビュー、多数の映画賞を受賞。俳優として活躍する一方、近年は雑誌・広告で写真家としても活動。TBS系10月期火曜ドラマ「マイ・セカンド・アオハル」に出演。
Photos:Yuki Kumagai
Hair&Make-up:Naoko Matsuoka
Stylist:Junichi Nishimata
Composition&Text:Masayuki Ozawa[MANUSKRIPT]