大人のパンツは、あらゆる面でストレスなくはける「やさしさ」が大事。パンツ選びに一家言ある中田さん監修のもと、「やさしい」パンツを集めたブックレットを製作!
いつでもフレッシュな気分でゆったりはきたいです
Shinsuke Nakada
Unlikelyデザイナー
1977年生まれ。ビームスで数々の別注やBtoB事業を成功させ、2023年3月にフリーのクリエイティブディレクターとして独立。複数のブランドのディレクションを手がけるほか、今シーズンから自身のブランド、Unlikelyを始動させる。
1常に清潔感があること
イージーケアで清潔さを保てるパンツ選びが基本。ナイロンやポリエステルは大好物ですし、デニムはリジッドからはくことがほとんど。シンプルなものが好きですが、清潔感が保てればデザインが入ってもOK。
2形は基本ゆったり。股上深いの大歓迎!
やはりストレスのないフィット感が大事。それに股上が深いと、腰に合わせる位置によってジャストではいたり、やや腰を落としてゆったりさせることもできます。ローライズはおじさんにはやさしくありません(笑)。
3丈詰めしてる場合じゃない
丈が長くて裾を引きずるようにはくのは、大人としての品位に欠けるし、僕はせっかちなのでお直しに出す時間が待てない。ジャストがマスト。裾を靴下にインすることもあるので、裾が絞れるタイプも高ポイント。
4ウエストは0か2。1タックの半端なやさしさはいらない
腰まわりのデザインはすっきりノープリーツかトラッドな2プリーツ。ヒップまわりはゆったり、裾にかけてゆるやかにテーパードするワイドシルエットが基本です。ベルトをしないので、フィッティングを重視。
Nakada’s favorites
中田さんが愛用するやさしいパンツ
アメカジ育ちなので、僕のパンツのラインナップはナイロンパンツ、ジーンズ、チノパン、スウェットパンツの4種がメイン。中でもこの4本は特にお気に入り。アプレッセのジーンズはワーク感が抑えられていて、品があってやさしい顔立ち。スウェットパンツはループウィラーを愛用。フリスク用のポケット付きという遊び心も好き。ナイロンパンツは内側にメッシュが貼られていて年中蒸れ知らず。チノパンはラルフ ローレンが長年作り続けているような正統なデザインが安心です。
ウディ・アレンを彷彿とさせる“ポロチノ”
POLO RALPH LAURENのチノパン
ワークパンツなのに清潔感がある
A.PRESSEのジーンズ
のっぺりしないトップグレーがやさしい
LOOPWHEELER×THE HERMIT CLUBのスウェットパンツ
デザイン要素の少ない佇まいがいい
DAIWA PIER39のナイロンパンツ
自己都合で形を変えずパンツに自分を合わせる
おじさんのパンツ選びは清潔感があることが大前提。僕も若い頃は童顔でしたが、年を重ねるにつれてシワやシミが気になり始め、似合う服と似合わない服が出てきました。それを補うためのカギが清潔感です。
清潔感を幹とするなら、ほかに求める条件は枝葉。股上は深いほうが動きやすくウエスト位置を調整しやすい。シルエットは腰まわりはゆったりしていて、裾にかけて細くなるテーパード型が基本。これが大人には最もやさしいと思います。とはいえ、サイズが大きいパンツを無理にベルトで絞ることはしません。歩きにくいし、何よりベルトなしで腰にフィットしているのが、サイズに気を遣っているように見えて好きなんです。スティーヴ・マックイーンが、上下デニム姿で立って食事している古い写真があるのですが、その姿がベルトレスでバシッとサイズが合っていてかっこよかった。そうした影響も大きいです。
無理にベルトでウエストを絞ったりポケットに物を入れて自己都合でシルエットを変えるのではなく、ブランドが追求する形をできるだけそのまま表現すること。パンツに自分を合わせることを意識しています。結果的に、それが最も美しく、やさしいはき心地を与えてくれると思います。
ー 中田慎介
Stylist:Masanori Takahashi
Text:Masato Nachi