自分らしさあふれるベーシックをもつ大人はいつだって魅力的に見える。ベーシックもとことん極めれば個性となる。
「気の遠くなるような工程を経て作られ細部へのこだわりが詰まった、語り出すと長くなるアイテムたち。今着ているシャツも普通のシャンブレーシャツに見えてシルク素材。言われないと気づかない、その天邪鬼な感じを自分だけが知っていることもいいんですよね。高級服で、餃子の王将にも行けちゃう。そんな日常に溶け込む服が面白いんです。ヴィンテージならば、前の持ち主が自分の色を加えたアイテムが好き。価値としては下がってしまうんですが、その人のクセを感じるアイテムが愛おしい。それを時代や気分に合わせて、どうスタイルに落とし込むのか考えるのもファッションの醍醐味だと思っています」。
インパクト大の“バッハスウェット”を主役に
「バッハのプリントスウェットは存在感が強いので、ほかはシンプルに。とはいえ、よく見るとひとクセあるスラックスやストーリーのあるスニーカーを合わせて、自分にしかわからない奥行きを出しました」。
「さまざまなブランドが出している“作曲家スウェット”の元ネタになった’60sのヴィンテージ。最近はあまり見ないインクを染み込ませた特殊なプリントの風合いも味わい深い」。
「リーバイス501のシルエットをサンプリングしたスラックス。イタリアの上質なコットンとカシミヤの混紡糸で仕立てており、細身すぎず鈍くささを感じるシルエットに愛着が湧きます」。
「’80sヴィンテージのコンバースはトウが狭く、それを大きいサイズで履くアンバランス感がかわいいんです。前に履いていた人が踵のロゴを塗りつぶしているのも逆に味があっていい」。
なんてことないアメカジに見せられたら勝ち(笑)
「シャンブレー然としたents.の高級シャツと、ヴィンテージリーバイスのショーツで自分らしいアメカジ。ジョン ロブの革靴やヴィンテージのロレックスで、さりげなくラグジュアリーにしてます」。
「一見、シャンブレーのように見えるents.のシャツは、実はシルク100%。コットンのかすれた風合いを出すために、スペック染めという工程でまばらに染めたこだわりっぷりが最高です」。
「前の持ち主によって大胆にカットされた’60sヴィンテージのリーバイス505。この丈は僕にとってもベスト。色落ちもきれいで、ヴィンテージのよさを堪能しています」。
「63mokkoとの別注メガネは模様入りのセルフレームに見えて、実は木のフレーム。1万本に一本しかとれない柿の木の黒く変色した部分に細かく切れ目を入れ、間に紙を挟んで模様を出すという異次元のこだわりっぷり」。
Profile
青山の人気セレクトショップ「st-pour homme」の店長。店内にはセレクト商品から古着まで、選び抜かれた逸品が揃う。
Composition&Text:Takako Nagai