定型のあるデザインゆえに、着る人のパーソナリティが端的に表れる。スーツってそんな服。だからこそ、自分のライフスタイルにぴったりの一着を選ぶのが正解なのだ。となれば当然、イチから作るのが得策。洒落者たちの声をもとに、理想のオーダースーツについて考えてみよう。
▶︎▶︎▶︎尾崎雄飛さん、最近スーツばかり
着ているのはなぜですか?
やっとオーダースーツが似合うようになったからです。
最新のオーダー場所
ヘンリー・プールの日本トランクショー
これまでのオーダー回数
10回以上
オーダーしたきっかけ
モッズスタイルに憧れて。直近のスーツは、サヴィル・ロウ・テーラーリングがもつ魅力の秘密を解き明かしたくて。
Profile:
サンカッケー・デザイナー。古着からスーツまで服飾全般に精通。
Belvest
式典や会議など改まった場を想定してオーダーした一着。パンツの股上はやや深めにカスタマイズ。
Belvest
遊び着スーツをイメージしたこちらは、なんとも贅沢なカシミヤ100%。驚くほどやわらかい着心地だ。
Henry Poole
“普段着のスーツ”をテーマにオーダー。生地はヘビーウェイトのヴィンテージで、独特の味アリ。
Henry Poole
昨年仕上がったばかりのビスポークスーツ。カーブしたラペルや襟付きのベストがいかにも英国らしい。
僕は19歳でロンドンに渡ったのですが、その理由は“スーツが似合う大人になりたかった”から。モッズスタイルにも憧れていて、日常でスーツを着こなす男になれたらなと思っていたんです。オーダースーツも20歳のときに初めて経験して、以来10着以上注文してきました。とはいえ、やっぱり若いうちはなかなかスーツ姿がサマにならない。というわけで当時は頻繁にスーツを着ていたわけではありませんでした。しかし、僕も40代に突入。気づけばスーツ姿もしっくりきているではないか! ということで、最近はスーツの登板率が急上昇中なんです。
いろいろとオーダーしてきた中でとりわけ気に入っているのは、イタリアのベルベストとイギリスのヘンリー・プール。前者は型紙が非常に優れていて、プロポーションをスラリと美しく見せてくれるところが気に入っています。あとは一流メゾンを手がけてきた実力というのが、同じ作り手として気になるところでもありますね。ヘンリー・プールは国内と本国ビスポークの両方をオーダーしたのですが、やはり本国ビスポークの雰囲気が好み。唯一無二のスタイルがあり、サヴィル・ロウの風格を感じさせます。なぜ英国のスーツはこんなに格好いいんだろう?という長年の疑問を、肌で理解することができました。このスーツにジョンロブ ロンドンで誂えた靴を合わせて、思い出のロンドンを歩きたい。そのときはきっと、自分も大人になったなとあらためて感じられると思うんです。
Composition&Text:Hiromitsu Kosone