2023.05.17
最終更新日:2024.03.08

【陥りやすい失敗とは?】大人が今さら聞けない「オーダースーツの基礎知識」

定型のあるデザインゆえに、着る人のパーソナリティが端的に表れる。スーツってそんな服。だからこそ、自分のライフスタイルにぴったりの一着を選ぶのが正解なのだ。まずは今最も人気のテーラー、フミヤ ヒラノさんに、オーダースーツの基本を学ぼう。

【陥りやすい失敗とは?】大人が今さら聞けの画像_1

▶︎▶︎▶︎まず手始めに…

今さら聞けないオーダースーツの基本を学ぼう

答えてくれたのは…

フミヤ ヒラノ
サヴィル・ロウ最古のテーラーといわれる「ヘンリー・プール」に勤務したのちロンドンで独立。2020年から東京・西麻布に拠点を移す。世界中に顧客をもつ、今最も人気のテーラーだ。


フミヤ ヒラノ テーラーのスーツ

Q.オーダースーツは店によって違いって
あるんですか?

A.好みのものを作れるならどこで仕立てても同じでは?というのは大きな誤解。仮にまったく同じ生地・デザインでオーダーしても、ラペルや裾のカッティングや芯地の使い方、全体的なバランスなどは千差万別です。ビスポークテーラーではより違いが顕著ですね。SNSに作例をアップしている店も多いので、よく吟味していただくとよいでしょう。

Q.最近人気のデザインはどんなものですか?

A.近年、お子様の入学式・卒業式などイベント用にスーツをオーダーする方が増えています。その際は結婚式など式典全般にご活用いただけるよう、極力ベーシックな生地をおすすめしています。一方でカジュアルなスーツのご要望も増えていますね。春夏はリネンやコットンが好評です。多くの方が奇をてらわない“普通”のデザインを希望されます。飽きがこず、流行に左右されないものが人気です。

Q.陥りやすいオーダーの失敗とは?

A.特にフルオーダーの場合、テーラーの感性とまったく違う方向性をリクエストすると大抵うまくいきません。例えば私はロンドンのスタイルをベースとしているわけですが、“ナポリの仕立てをコピーしてほしい”というご要望をいただいても、イメージどおりのものは作れないでしょう。オーダーを成功させるためには相互理解が大切というわけです。

Q.フルオーダーにはどれくらいの金額と
時間がかかりますか?

A.日本のビスポークテーラーでフルオーダーする場合、40万円台〜60万円が目安。ただし、選ぶ生地によって価格が変わってきますのでご留意ください。ちなみに当店では55万円〜でご案内しています。納期についてはテーラーによってまちまちで、半年ほどで完成する場合もあれば、数年待ちというところも。当店では1年半〜2年のお時間をいただいています。

Q.メイド・トゥ・メジャーとフルオーダーの
違いって?

A.ゲージサンプルと呼ばれる試着用スーツに体型補整を加えて作るオーダーをメイド・トゥ・メジャー(MTM)、型紙をゼロから製作するオーダーをフルオーダーといいます。ちなみにわれわれテーラーは“ビスポーク”と呼ぶことが多いですね。どちらもお好みの生地・シルエットで仕立てられるのは同じですが、ビスポークには特有の醍醐味があります(詳細は下で解説)。一方、MTMは価格・納期面でのメリットがあります。当店では23万1000円〜、納期2カ月〜でお仕立ていただけます。

Q.フルオーダーならではの魅力って?

A.テーラー自身がハンドメイドで製作するというところが第一の魅力です。ステッチもほぼすべてが手縫いで、ミシン縫いでは再現できない味わいがありますし、着心地も非常によくなります。また、完成までに“仮縫い”、“中縫い”というフィッティングを行うのも特徴で、その都度お客様と話し合いながら完成度を高めていきます。いわばお客様とわれわれの共同作業によって一着のスーツを作っていく。そこに独特の面白さがあるのです。



Photos:Teppei Hoshida 
Composition&Text:Hiromitsu Kosone

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