久々に気分の革靴だけど、普通に履くんじゃ芸がない。どうアップデートすべきか? レザーシューズひと筋のベテランスタイリスト片貝さんと、リアルなトレンドに詳しい若手スタイリスト中道さんがニューウェーブをキャッチ&プレゼン!
片貝俊がプレゼン
ダッドな革靴で、年相応なオシャレおっさんに
「年相応」がかっこいいからダッドな革靴という選択を
「足元をフレッシュに一新したいからといって、トレンドを追うあまり若づくりに見えてしまうのはNG。個人的にもあの痛々しさは絶対に避けたい…。僕らの年頃でファッションを楽しもうとするときのジレンマですよね。そこで今回発掘したのが『ダッドな革靴』。数年前、いかにもおじさん的でやぼったい『ダッドスニーカー』が流行したことがありますが、それを革靴でやってしまうのが今、新鮮。ぽってりしたフォルムやいなたいステッチ、簡素すぎる仕上げ…などダッドなディテールはファッションとして変化球なんですが、等身大で履けるから安心(笑)。ありそうでなかったデザインをどうこなすか考えるのも楽しみの一つです」
どのぐらいダッドに攻めるか? クセの出し方は自分好みで
Paraboot
人気ブランドの中にも、僕らのための一足が隠れていました。例えばパラブーツのキャッスルはまるまるとしたトウが印象的。これまで日の目を見てこなかったけれど実は定番の型らしい…。
Proposal ぽってりフォルムがダッド
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ミカエルと同様の素材と製法で丸く張り出したようなプレーントウに仕上げた「キャッスル」。立体的なアッパーと外ハトメ仕様のアイレットがいい味。¥70,400/パラブーツ
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「パラブーツと言えばミカエルやシャンボードですが、これは見たことないうえにオンラインストアにも掲載されていないレア品。トウがほかの型と比べて異様に丸くない?とツッコみたくなる愛らしいフォルムです」
F.LLI Giacometti
ジャコメッティは配色とステッチが独特。ブラックではなくレトロなダークブラウンで、さらにドレスシューズらしからぬ太いステッチを白で差しています。二足とも華美ではないひねり方が好印象。そしてダッドと言えば、履き心地のよさも求めたい。長時間履いた日に疲れるようなシャープな革靴はもういらないので。
Proposal 白ステッチでレトロな表情
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職人技が光るジャコメッティのボートシューズ。高級タンナーと共同開発したカーフスキンを使用。¥111,100/フラテッリ ジャコメッティ(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店)
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「一目でダッドな雰囲気の配色ですが…外羽根には細く繊細な白ステッチ、アッパーには太いダブルステッチを入れているところにイタリアブランドならではの細やかな作りを感じてニクいですね」
HIMALAYA
ヒマラヤの一足はシボ加工された柔らかいレザーで、まるでウォーキング用のスニーカーみたい。アッパーの表情とモカシンのフォルムとが相まって往年のタレントが普段履きにしてそうな貫禄さえ感じます(笑)。
Proposal モカシンをシボ革で
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スペインのリオハ地方発、創業50年のヒマラヤ。アッパーの表革と裏地の間のクッション材が優しく足を包み込む。¥18,700/ヒマラヤ(シルバー・アンド・ゴールドトウキョウ)
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「黒ではなくブラウン、ツルッとしていないシボ加工、ブランド定番のモカシンに丸みを加えたというぽってりしたフォルム…年相応というより、むしろこれから長く履けそうな、ダンディなデザインです」
MARIANNU
マリアンヌはリハビリシューズ由来のデザインだと知って絶妙な佇まいに納得。ファッションブランドには珍しいニュアンスが加わり、履き心地は申し分なし。どちらも「それ、どこで買ったの?」と聞かれる一足ですよね。
Proposal 平らな厚底ソールがかわいい
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リハビリシューズをベースに脱ぎ履きしやすい柔らかなレザーと厚底ソールで、軽い履き心地がかなう。¥16,500/マリアンヌ(ランチキ セントリューム トーキョー)
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「医療用をベースにしているからこその、ジェンダーレスなフォルムが面白い。柔らかい厚底ソールとスクエアなトウの形にはツヤっぽさや、とがった印象がまったくなく、かわいげあるダッドデザインです」
Stylist:Shun Katakai[tsuji management] Yasuki Nakamichi
Composition&Text:Takako Nagai