40歳男子のワードローブに欠かせないローファー。いつかはジョンロブの傑作「ロペス」を履きたい、そう考える大人に、王道ドレススタイルではなくあえてカジュアルにデニムと合わせる新スタイル“デニロペ”を提案。「ロペス」愛用者と初心者、洒落者二人がハマった履きこなし方を聞く。

JOHN LOBB“LOPEZ”
最高級の素材と高度な職人技によってKing of Shoesという異名をもつジョンロブ。中でも今年で誕生75周年となるローファー“ロペス”は、華奢さと堅牢さを兼ね備える名品。フロントのハンドステッチ、楕円形のコインポケットも美しい。
愛用者 金子恵治さんのいつもの“デニロペ”

「20代から愛し続けるスタイルです」
26歳のとき、パリのショップでロペスにひと目惚れ。背伸びした買い物でしたが数十年と愛し続け、個人的には崇高な一足です。アメリカ好きなら〇〇、ヨーロッパ好きなら〇〇と土地のルーツを感じるローファーはいろいろとありますが、ロペスはお国柄やカルチャーが匂うというより、純粋にモノとして美しい。一枚革に精緻なステッチワーク。曲線が強く出がちなアウトラインをスッキリさせ、どの角度から見ても端正なアッパー。まさに黄金比です。削ぎ落とされたフォルムながら木型は意外にも個性的で、最初に足を入れて当たる部分が他の靴とは違いますが、履き慣らすとビタッと馴染む。ミリ単位で追求された恐るべき美意識を感じます。
そしてロペスと最高の相性だと思っているのがデニム。見た目も出自もギャップがあるから引き立て合う、というのが僕の考えです。最近は501RXXくらい武骨な合わせが気分で、歴史の深さでつながる部分はありつつも、雰囲気は真逆。より細かいところでいうと、エプロンステッチが生きる裾幅や裾丈を考えるのも楽しい。ミニマルな一足だからこそ、シャルべのシャツにスケーターブランドのジャケットをはおるようなミックススタイルへの包容力もある。美しいロペスをどう崩すか、僕の理想の“デニロペ”探求には終わりが見えません(笑)。
卓越した審美眼と先見性で常に動向が注目されるコンセプトディレクター。L’ECHOPPEの立ち上げを経て、現在は多数のブランドやレーベルを監修し、自身の店BOUTIQUEも運営する。
初心者 佐藤佑樹さんのはじめての“デニロペ”

「デニムにロペスという贅沢に気づいた」
実は昔、自分のブランドのルックを撮影するためにロペスを購入したことがあります。それはモデルさんに履いてもらうための一足でしたが、今やっと、僕自身がロペスを履きたいと思っています。きっかけは今季、自分でデザインしたデニムです。スラックスの曲線的なパターンを取り入れて生地はネップさせた一本を作りましたが、アノニマスでリラックスできるデザインが狙い。そこにニュートラルな革靴を合わせたいと思ったときに、ロペスという答えに行き着いた。
正直、ロペスって「無口な靴」だと思うんです。さまざまな革靴を経験しながら、曲線がロマンティックなもの、機能性が強く工業デザインが際立つもの、と雄弁に語る靴との出会いはありましたが、ロペスは至極、言葉少なで硬派。トウに縦ステッチがない一枚革の仕立てやミニマムに構成されたベルトなどの細部まで謙虚なこだわりを感じますが、この究極的にシンプルなエレガンスはあらためて対峙すると謎が多い…。人間でも奥深い人はかっこいいもので(笑)、この歳になってロペスはゴールであり始まりでもあると気がつきました。レザージャケット・デニム・ローファーという字面では主張が強いと感じる合わせもモダンになる。洗練と匿名性、どちらも兼ね備えたデニロぺが、今の僕にとって最高の贅沢です。
美術大学を卒業後、ギャラリーや美術館の勤務を経て自身のブランドCaleを手がける、異色の経歴のデザイナー。自身の洗練された着こなしやライフスタイルも多くの読者から支持される。
お問い合わせ先
ジョン ロブ ジャパン
TEL:03-6267-6010