
ポールとリー!
英国を代表するファッションライフスタイルブランドの「PAUL SMITH(ポール・スミス)」では、待望の2025年春夏シーズンがスタート。洋服好き大人男子が注目すべき筆頭が、1889年に創業した米国の老舗ジーンズブランドである「Lee(リー)」とのコラボカプセルコレクションだ。
「ポール・スミス」らしいツイストを加えたストームライダーやエンジニアジャケット、ストライプ柄のデニムなどが3月14日(金)から先行予約が開始。3月20日(木祝)から一般発売される。



コラボのお披露目は昨年6月にフィレンツェで開催された「Pitti Imagine Uomo(ピッティ・イマージネ・ウオモ)」だった。
歴史ある世界最大級のメンズ展示会のゲストデザイナーとしてポール・スミスが招聘され、各国取材陣やジャーナリストたちにシグネチャーブランドのプレゼンテーションが行なわれた。その中で、ブリティッシュテーラリングをマッシュアップさせる一要素として、「Paul Smith + Lee(ポール・スミス + リー)」が提案されたのだ。
Hello! ポールさん!

フィレンツェでの喝采から半年。「ポール・スミス + リー」の日本発売に先んじて、サー・ポール・スミスが来日。コラボコレクションへの想い入れとともに、「ブリティッシュワードローブとアメリカンカジュアルの邂逅」について語ってくれた。
UOMO:こんにちは。まずはポールさんと「リー」との出会いについて教えてください。
ポール・スミス:とても縁があります。「リー」が創業した1889年は私が生まれた年ですから。
UOMO:本場のブリティッシュジョーク!




UOMO:初めてショップをオープンしたとき、「リー」のデニムも販売していたと聞きました。
ポール・スミス:まだ「ポール・スミス」のビジネスを本格的に始める前、ノッティンガムのバイヤードレーン6番地(6 Byard Lane, Nottingham)に私のお店の第1号店を出店しました。ほんの3メートル四方の小さなお店です。私がデザインした服の隣に英国外の旬なブランドも買い付けて置いていましたが、そのうちの1つに、アメリカから仕入れた「リー」のジーンズがあったのです。
UOMO:今でいうところの、自社オリジナル商品も扱うセレクトショップのような?
ポール・スミス:よい物をお勧めしたい一心で、意識はしていませんでした。当時のロンドンでも珍しかったと思います。私は妻と一緒にデザインしたシャツなどを作り、それに合わせてもらいたいパンツをいろいろとセレクトしたのです。


UOMO:1970年というと、日本では池袋にパルコ1号店がオープン(1969年6月)し、「みゆき族」の後継として舶来品をミックスした「ニュートラ」「ハマトラ」が生まれたあたりです。当時のポールさんのお眼鏡に適ったブランドとは?
ポール・スミス:日本で有名かはわかりませんが、「Madewell(メイドウェル)」というカウボーイデニムブランド(米マサチューセッツで1937年創業)や、アメリカンワークブランドの「SMITH'S(スミス)」(NYブルックリンで1906年創業)が記憶にあります。あとは「リー」や「リーバイス」など。ハンマーループ付きの「リー」のペインターパンツは飛ぶように売れました。きっと、おしゃれにガーデニングでもするのでしょう。

UOMO:デニムやワークでひねりを加えたブリティッシュスタイルは20代から好きでしたか?
ポール・スミス:イエス。今春夏は、芸術・文化の全盛期を謳歌したボヘミアンたちにオマージュを捧げた「1960年代の英国ソーホースタイル」を打ち出しました。アーティストがスタジオに籠って絵を描いた後にそのままディナーに向かったり、カフェで深夜までアート談義に耽るようなとき、そんなシーンでもラフになり過ぎないスタイルを、「ポール・スミス + リー」で提案しています。
「Paul Smith + Lee」公式ヴィジュアルをチェック!




ポール・スミス:ピッティでのプレゼンテーションでは、クラシックな千鳥格子やグレンチェック、プリンスオブウェールズチェックなどのジャケットに、ストライプ柄のコラボジーンズを合わせました。油絵の具が飛び散るので、アーティストたちのボトムスの基本はワークパンツやジーンズです。パトロンに出会えるかもしれないパーティーに向かうべく、ジャケットを気取って羽織るのです。
UOMO:織りで表現されたストライプの柄はピンストライプスーツのようですね。ポールさんらしいセレクトだと思います。



ポール・スミス:フラワーモチーフで仕立てたノーカラーのジャケットやワイドパンツも「リー」とのコラボです。いつもはジャケットの裏地やシャツの柄で使っているので新鮮でした。
UOMO:ノーカラーのショート丈は「リー」の古着でも人気のエンジニアジャケットがデザインベースですね。それをいかにも「ポール・スミス」らしいフラワーモチーフで仕立てている。


ポール・スミス:このエンジニアジャケットのVゾーンを使って、白シャツとタイを合わせてもよいと思います。あと、パンツのフロントボタンは真鍮から洋服に使う貝ボタンにチェンジしています。
UOMO:互いをリスペクトしつつ、双方のプライドが拮抗している。コラボの醍醐味が洋服から伝わってきます。担当者も感激ひとしおでしょう。

ポール・スミス:彼らはとてもよい仕事をしてくれました。若い人たちでした。
UOMO:過去にもバイシクルブランド(英Mercian、英Brooks England、伊Pinarello、カシマックスなど)やカメラメーカー(Leica)などともコラボしていますが、上手にビジネスを進めるうえでの秘訣はありますか?
ポール・スミス:長く続いているブランドでベストセラーと呼ばれる商品は、ほぼ完成されたデザインだと思っています。「リー」のカバーオールやペインターパンツもそうです。そこから私が手を加えることができる箇所といえば、生地をデニム以外に変えたり、ディテールにアレンジを加えるなど、マイナーチェンジに限られるのです。


ポール・スミス:今回の「リー」とのコラボにおいて、一見するとわからないほどの細かいディテールやデザイン変更箇所も、ほとんどがネット上での打ち合わせで進行できました。少し前までは、打ち合わせがあると現地まで飛行機で飛んでいったものです。厳しいコロナ禍を経て、幸か不幸か新しいコミュニケーションスキルに到達し、さらなるクリエイションの広がりを感じています。
UOMO:シンプルなウォッシュドデニムも「リー」とのコラボですか?
これぞ、ポール・スミスの遊び心



ポール・スミス:セルビッジを見てください。カラフルな色でアレンジしたので、ロールアップして着用するとよいでしょう。ストームライダーの裏地に施したブランケットの配色もオリジナルです。タグにはユーモアを加えてみました。
UOMO:なんと! 嵐に耐えるカウボーイが馬に乗っている「STORM RIDER」のタグが、ポールさんの趣味である自転車になっていました。
ポール・スミス:「リー」は豊かな伝統を持っており、彼らのデニムにおける専門性と、私たちのプリントやデザインへのノウハウと組み合わせてコレクションを作ることができたことを嬉しく思います。他にも、日本限定でウィメンズも作り、トートバッグ、キャップ、バンダナなどもあります。

UOMO:この「ポール・スミス + リー」のデニムカジュアルに身を包んで、英国紳士が集いそうな高級カフェに行っても大丈夫ですか?
ポール・スミス:こちらがスノッブではダメ。あくまで自然体でいるべきでしょう。ロンドン市内でのお勧めは、ハマースミス・アンド・フラム区にある「リバーカフェ(The River Cafe)」です。テムズ川を一望できる店内にはブルーのカーペットが敷き詰められ、ロンドンでも格式高いカフェのひとつです。ここに「ポール・スミス + リー」を着て行ってもウェルカムだと思いますよ。
UOMO:超高級店ではないお店でのお勧めは?
ポール・スミス:私が1960年代に通っていたカフェの「バー イタリア(Bar Italia)」です。今もソーホー地区にまだありますよ。
UOMO世代に一言!


UOMO:最後に、学生時代から「ポール・スミス」に親しんできたUOMO世代に一言ください。
ポール・スミス:私たちがよく知っているはずの「カジュアル」は、既に「クラシック」の域にあるのかもしれません。昔は反骨の象徴でもあったジーンズカルチャーでさえ、今や古きよき伝統として保守層に支えられている側面もある。ファッションは本当に“democratic”なものだと思います。恐れずに今を楽しむことです。Enjoy!
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PAUL SMITH + Lee
シーズン:2025年春夏
発売日:2025年3月20日(木祝)
※3月14日(木)先行予約開始
販売店舗:全国のポール・スミスショップ、および公式オンラインショップ