クラシックな佇まいの正統派20本を、N.ハリウッド デザイナー尾花大輔さんが試着して、今本当にはきたいベスト5を選出。最高の審美眼によるスラックス選びは意外性の連続だった。
DIOR
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ヴァージンウールとシルクを使用した厚手で張りのある生地により、立体感のある美しいフレアシルエットが実現した。
タイトなウエストとシワの出ないヒップは上品そのもの
「ドレッシーにしたいというかなり強い意志を感じる。’70年代後半を思わせるフレアで、ウエストバンドはフロントのボタンを見せない持ち出し付き。それでいて内側はホックとボタンで3カ所留める必要がある。面倒だし(笑)、現代の強度のある芯地を使えば留めは1カ所でもいいはず。でもしない。ヒップポケットのパイピングも、ループで留める仕様のくるみボタンも、クラシックなドレス由来だけれど作り手からしたら相当大変な仕様。すべてがクラシックなスラックスをモダンに甦らせるためのデザインで、ビタッとタイトなウエストとシワのまったく出ないヒップは上品そのもの。ディレクター自身が純粋にドレスを楽しんでいるのが伝わってきます。ノーベルトで腰まわりを見せ、極上のコスプレ感覚ではきたい一本です」