2025.01.29
最終更新日:2025.01.29

【パタゴニア2025年春夏新作試着ルポ|前編】テックなジャケット、バックパックやミニバッグにも注目アイテムが!【Patagonia】

パタゴニア2025年春夏新作をあれもこれも試着!

1月下旬に行われたパタゴニアの2025年春夏展示会。今回は副編集長の薬師神とともに、スタイリスト瓜坂拓海が参戦。前編ではパフォーマンス・カテゴリーとエクイップメントを紹介しよう。

パタゴニアのプレスプレビューに訪れるのは初めてという瓜坂(身長175cm)。少し緊張しながら受付を済ませ、展示会場入口に置かれたフィッツロイロゴの立て看板をはさんで、薬師神(身長165cm)と撮影をはじめると、背後から聞きなれた声が。

内野:薬師神さん、こんにちは!  今回は私がテクニカルスポーツの説明をさせていただきます。

薬師神:今回はブランド統括の山崎が出張中につき、僕とスタイリストの瓜坂君でお願いします。

昨年の春夏もアテンドしてくれたパタゴニア マーケティング部の内野宗一郎さんが、まずは今シーズンのメッセージから話題をスタート。

Season Topic|目標に掲げてきた全製品PFAS不使用を2025年春夏シーズンついに達成

パタゴニア_目標に掲げてきた全製品PFAS不使用を2025年春夏シーズンついに達成

内野:パタゴニアは自然の中で遊ぶための道具をつくっているので、いかに自然環境に悪影響を与えずに最高品質の製品をつくるかを、常に模索しています。おふたりは、釣りはやられますか?

薬師神も瓜坂も「いえ…」と小さな声で回答。

パタゴニア_2025年春夏_PFAS不使用のウェーダー_釣り_チェストハイのパンツ

内野:ウェーダーはわかりますか? 釣りのときに着用するチェストハイのパンツで、これをはいて水の中に入っていくわけです。パンツの裾はウェットスーツと同じネオプレン素材で、砂利などがブーツの中に入ってこないようになっています。ずっと水の中に入って、濡れた状態で行うスポーツなんですが、この春、PFAS(ピーファス/有機フッ素化合物の総称)不使用のウェーダーがついに登場します。

薬師神:PFASって自然界で分解されず、環境汚染を起こす物質ですよね? 成分によっては使用が法律で禁止されている…。

内野:おっしゃる通りです。パタゴニアは2025年までに全製品でPFAS不使用を掲げてきたので、これでようやく達成できました。

瓜坂:おめでとうございます! ウェーダーをつくる過程での苦労が、このボードに書かれていますね…。

内野:ありがとうございます。では、さっそくパタゴニアの根幹となるアルパインのトピックから紹介しましょう。

Alpine|進化したレギュレーターのR1とナノエア・ウルトラライトに注目!

パタゴニア_2025年春夏_アルパイン_レギュレーター・シリーズ_R1というテクニカル・フリースを一新

「アルパインはパタゴニアの根幹となるカテゴリー」ということで内野さんの解説にも力が入る。

内野:今シーズンは大きなトピックが2つありまして、ひとつはレギュレーター・シリーズ。袖や裾にRの文字が入っているのがレギュレーターで、保温力をしっかり保ちながらも、体を動かすスポーツで着用するので、汗をかいたらしっかり透湿してくれる体温調節に適したフリースです。そのR1というテクニカル・フリースを一新しました。

瓜坂:古着屋でもよく見る、グリッドのフリースですよね。

R1は1999年に、軽い、蒸れない、かさばらないレギュレーターとして登場。グリッド構造が象徴的で、優れた体温調整機能と快適性に定評がある。

01.メンズ・R1プルオーバー・フーディ ¥25,300

パタゴニア_2025年春夏_アルパイン_フリース_メンズ・R1プルオーバー・フーディ_¥25,300

内野:同色なので、全体が同じ素材に見えるかもしれませんが、例えばフードの部分は上にヘルメットをかぶったりするので、ゴワつかないほうがいいんです。そういった部分や汗が抜けてほしい脇、背中などにはキャプリーンのサーマルウェイト素材を使用し、体幹部分のフロントには体をあたためるポーラテック・パワー・グリッド・ファブリックといった具合に、生地を変えています。

パタゴニア_2025年春夏_アルパイン_フリース_メンズ・R1プルオーバー・フーディ_裏地

薬師神:裏面を見ると素材の違いがわかりやすい!

ということで、進化したR1をさっそく試着してみることに。

02.メンズ・R1ジャケット ¥24,200

パタゴニア_2025年春夏_アルパイン_フリース_メンズ・R1ジャケット_¥24,200

内野:腕を上げていただくと脇がひっぱられないことがわかると思いますが、いかがですか? 常に腕を動かすスポーツで着ることが前提なので…。

瓜坂:本当ですね。動かしやすいです。厚手のニットの上に着てるんですが、全然余裕で着られました。とても着やすいです。

03.メンズ・R1ベスト ¥17,050

パタゴニア_2025年春夏_アルパイン_フリース_メンズ・R1ベスト_¥17,050

薬師神:僕はベストを着てみました。ベスト・オン・ベストになっちゃいましたけど(苦)、部位、部位で素材が細かく変わっているのがしっかりわかります。

内野:もともとは登山やクライミングなどのスポーツに適したアイテムですが、さまざまな用途に使っていただけます。日常でも気温差の激しい時期の調整アイテムとしてとても有効かと。

04.メンズ・ナノエア・ウルトラライト・フルジップ・フーディ ¥35,200

パタゴニア_2025年春夏_アルパイン_メンズ・ナノエア・ウルトラライト・フルジップ・フーディ_¥35,200

もうひとつのトピックがナノエア・シリーズの新製品。

内野:定番にナノエアという製品がありまして、これは通気性と伸縮性に優れた、化繊の中綿を詰めたシリーズで、着ていてもストレスがないのが特徴です。保温力が一番高いナノエアが中綿60g、次いで中綿40gのナノエア・ライトというジャケットが出ていますが、今季の新製品は中綿が20gしか入っていません。

薬師神:名前はどうなるんですか?

内野:ナノエア・ウルトラライトです。

薬師神:なるほど(笑)。

内野:僕たちも混乱します(笑)。フリースに等しい保温力で風に強いので、冬のスポーツにも使えます。

瓜坂:これくらいの中綿のほうが、中にも外にも使いやすいですよね。

05.(左)メンズ・ナノエア・ウルトラライト・プルオーバー ¥28,600

パタゴニア_2025年春夏_アルパイン_メンズ・ナノエア・ウルトラライト・プルオーバー_¥28,600

薬師神はフルジップ、瓜坂はプルオーバーを試着。

内野:袖口を持っていただいて、肘を前に出してみてください。突っ張らずに伸びてきますでしょう? 腕下部分にはやわらかくて伸縮性があるキャプリーン・クール・ライトウェイト生地を使っていて、袖まくりもしやすくなっています。

瓜坂:あー。本当ですね。そして、めちゃめちゃ軽いです。

薬師神:中綿が入ってますって言われてなかったら、こういう生地なんだと思ってしまう。

内野:アウトドアスポーツって、ひとつの製品でことが足りてしまうモノほど使いづらかったりするんですよね。ナノエア・ウルトラライトのようなアイテムがあると、中に着るもの、外に着るものをどう組み合わせて使っていくか、選択肢が広がるので、とても使いやすいアイテムだと思います。

Trail Running|マルチに応用しやすい6インチのレングスが今シーズン充実

パタゴニア_2025年春夏_トレイルランニング_ショーツの6インチ丈が登場

トレイルランニングカテゴリーは、新製品はないものの、日本で支持を集めそうなショーツの6インチ丈が登場。

内野:トレラン用のショーツはランナーの好みによって股下の長さも異なり、レースに出るような方は足さばきがいい5インチのものを着用されますが、7インチ丈の長いものを好まれる方もいます。日本で万人から支持を得るのは中間の6インチではないかということで、アメリカの本社にリクエストをしていました。

06.メンズ・マルチ・トレイルズ・ショーツ 6インチ ¥11,000

パタゴニア_2025年春夏_メンズ・マルチ・トレイルズ・ショーツ 6インチ_¥11,000

トルソーが着用していた鮮やかなピンクをはじめ、気分の上がるカラーや柄でバリエーション豊富に今シーズンは展開される。撥水加工も施され、中にはボクサーブリーフ型ライナーも付いているから、多用途で使えるのがうれしい。

Mountain Bike|テックなベストに迷彩柄のパンツ。ファッション感度の高いアイテムが!

パタゴニア_2025年春夏_マウンテンバイク

続いては近年力入れているマウンテンバイクのカテゴリー。

内野:このカテゴリーもマウンテンバイクにしか使えないわけではなく、さまざまな用途で役に立つアイテムをラインナップしています。珍しい迷彩柄などの登場もありますが、一番のトピックはディーラー様向けの展示会でも非常に注目された新製品のベスト。

07.メンズ・トレイル・クラフト・ベスト ¥17,050

パタゴニア_2025年春夏_マウンテンバイク_メンズ・トレイル・クラフト・ベスト_¥17,050

このベストを見るなり目を輝かせた瓜坂が試着。

瓜坂:今シーズンはイエローがシーズンカラーですか? 会場でもあちこちで目につきますが。

内野:イエローは新色です。ベストはイエローとブラックがあります。このベストもよくできていて、フロントにはMTB(マウンテンバイク)のジャケットに使われているダート・ローマーの生地、背面にはトレランのプルオーバーでおなじみのエアシェッドの生地を使っています。

パタゴニア_2025年春夏_マウンテンバイク_メンズ・トレイル・クラフト・ベスト_イエロー

瓜坂:前は自転車に乗ったときに風を通さない防風素材ってことですよね。

内野:ハンドポケットに収納できるパッカブルだから、バッグにひとつ入れておけば、さまざまなシーンで使えると思います。

08.メンズ・ダート・クラフト・パンツ ¥20,900

パタゴニア_2025年春夏_マウンテンバイク_迷彩パンツ_メンズ・ダート・クラフト・パンツ_¥20,900

瓜坂がベストと並んで気になったのがこの迷彩パンツ。

瓜坂:パタゴニアに迷彩のイメージってなかったので、これは新鮮ですね! パープルとマスタードのようなくすんだ配色も好みですし、アートな迷彩って感じです。

内野:そう言っていただけるうれしいです。マウンテンバイクのカテゴリーには、実は隠れたいい製品もあります。

ダート・クラフト・パンツはMTB用らしく、伸縮性と通気性を備え、腿の内側と膝の裏側にはレーザー加工で通気孔が施されているというテック・アパレルだ。

Hike|過酷な登山用の耐久性に優れた厚手生地のパンツが新たに登場

ハイク用のパンツを多様に展開しているパタゴニア。今季は高山や縦走登山、岩場などの多いトレイルに耐えるパンツがアップデートされた。

09.(左)ウィメンズ・テラヴィア・ピーク・パンツ ¥25,300

パタゴニア_2025年春夏_ハイク_テラヴィア・ピーク・パンツ_¥25,300
(メンズも同じスタイルで同じ価格)

内野:メンズのサンプル製品のご用意が無く、恐縮です。テラヴィア・ピーク・パンツは、テラヴィア・アルパイン・パンツよりも厚い生地を使用しています。裾にベルクロで調整できるマチも付きました。里山でも使用可能ですが、富士山を登るときはこのぐらいのパンツがおすすめです。

10.メンズ・リバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディ ¥17,600

パタゴニア_2025春夏_ハイク_メンズ・リバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディ_¥17,600

瓜坂がハイクのラックから気になるシャツをピックアップ。

瓜坂:このシャツはフードが付いていますが…。

内野:これはフィッシングのカテゴリーからのシャツなんですが、ハイクでもこのフードが日よけになっていいんですよね。マルチに使えると話題でハイクでも紹介しています。

Equipment|テラヴィアシリーズに新しいモデルが仲間入り

パタゴニア_2025春夏_バッグ_テラヴィア_新作

バッグのカテゴリー、エクイップメントには、毎回気になるアイテムが盛りだくさん。

内野:ウルトラライト・ブラックホール・トート・パック27Lとウルトラライト・ブラックホール・ミニ・ヒップパック1Lがテラヴィア(Terravia)シリーズに加わります。テラは地球、ヴィアは経由を意味する言葉で、直訳すると「地球を経由する」となる通り、旅に活躍するアイテムと位置付けて今後は展開していきます。

薬師神:名前が変わっただけですか?

内野:素材など適宜アップデートはされています。

会場には注力アイテムや新色が並んでいた。

11.テラヴィア・トートパック 24L ¥14,850

パタゴニア_2025春夏_バッグ_テラヴィア・トートパック 24L_¥14,850

薬師神:このトートバッグ、気になります。

内野:これはライトウェイトの人気商品で、素材がより軽量なリサイクル・ナイロン・リップストップにアップデートされました。内蔵のショルダーストラップも通気性のいいフォームとメッシュ素材になっています。

12.テラヴィア・ミニ・ヒップ・パック 1L ¥5,280

パタゴニア_2025春夏_バッグ_テラヴィア・ミニ・ヒップ・パック 1L_¥5,280

薬師神:このヒップパックも好きです。グレーの色みもいいし、サイズ感がかわいい。メッチャいいです。

瓜坂:ネイビーに合いますね。

内野:これは形が少し変わりました。1Lサイズではありますが、かなりコンパクトです。

薬師神:財布とスマホが入ればいいので。

瓜坂:バッグを持ちたくないフェスとか、旅先で使うのに最高ですね。

内野:メンズはバッグ持ちたくない派、多いですからね。

一同、うなずく。こちらも素材の耐久性やパーツの使いやすさが向上している。

13.テラヴィア・パック 22L ¥19,800

パタゴニア_2025春夏_バッグ_テラヴィア・パック 22L ¥19,800

バッグ好きの薬師神は次々と気になるバッグを手に取り、背負ったり、肩掛けしたり。

薬師神:このバックパック、欲しいです。バンジーコードとか付いてますが、普段使いしたい。

内野:これも素材を用途に見合った薄手のリップストップ生地にして、バックパネルのつくりを小さくしました。それから底面にレインカバーが内蔵されているので、突然の雨などにも安心です。

パタゴニア_2025春夏_バッグ_テラヴィア・パック 22L_底面にレインカバーを内蔵

薬師神:(バックパックの底面を確かめて)あ、これですね。

パタゴニア_2025春夏_バッグ_テラヴィア・パック 22L_簡単にレインカバーをかけられます

内野:はい、こんなふうに簡単にレインカバーをかけられます。これは22Lで、日帰り登山などにいい14Lや、もう少し装備の多い山向きの28Lなどもラインナップしています。

14.ステルス・スウィッチ・パック 3L ¥8,800

パタゴニア_2025春夏_バッグ_ステルス・スウィッチ・パック 3L_¥8,800

瓜坂はテラヴィアシリーズの隣に並ぶ、フライフィッシング用のバッグに興味津々。

瓜坂:なんかフィッシングはミリタリー感がありますね。このモコモコしている部分は…?

内野:それは釣り用のパックで、毛鉤を留めておくフライパッチが付いています。

チェストパック、ヒップパック、あるいは他のパックにクリップして使うことができるマルチパーパスなデザイン。

15.ステルス・スウィッチ・パック 5L ¥14,300

パタゴニア_2025春夏_バッグ_ステルス・スウィッチ・パック 5L_¥14,300

薬師神:僕も釣り用のパックを付けてみました。こんな感じでいいんですか?

内野:ウェーダーに付けるならもっと上になりますが、斜めがけして使ったりもできます。

薬師神:何気に、めっちゃ容量がありますね。

今季はフィッシングに注力していることもあり、エクイップメントのコーナーにも多彩な釣り用パックが並んでいた。その奥には見慣れたアイテムが。

16.ブラックホール・ギア・トート 61L ¥17,050

パタゴニア_2025春夏_バッグ_ブラックホール・ギア・トート 61L ¥17,050

薬師神:これは、確か犬も洗えるブラックホールのギア・トートバッグ。ここにもトラウト・ロゴが…。魚、目立ってますね。

内野:そうですね。最近ファッション業界でも釣りを始められる方が多いと伺っています。

薬師神:僕はあくまで文化系なので…。

ブラウンにパープルのハンドルや、ネイビーにピンクのステッチが入ったトートはいずれも新色。

17.ブラックホール・トート 25L ¥11,000

パタゴニア_2025春夏_バッグ_ブラックホール・トート 25L_¥11,000

瓜坂:これも見たことが…。イエローは新色ですよね。フロントのウェビングの模様もかわいい。

ふたりが釘付けになっていると、内野さんからパタゴニアのリペア・サービスについての説明が。

内野:パタゴニアは鎌倉に修理部門もありますので、どのバッグも直しながら何年も愛用していただけます。もしどこか壊れてしまったら、すぐに新品を買うのではなく、パタゴニアの窓口にご相談ください。

薬師神:思い出のあるバッグをずっと使い続けられるというのは、いいですよね。

ひとつの製品を長く使い続けることもパタゴニアが推進するサステナブルのひとつの方法だ。薬師神も瓜坂もファッション寄りの視点の持ち主だが、今シーズンはエクイップメントだけでなく、パフォーマンス・カテゴリーでも、ふたりの目が輝く製品が多かった。後編はライフスタイル・カテゴリーを紹介するので、乞うご期待!

パタゴニア日本支社 カスタマーサービス TEL:0800-8887-447

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