前編では機能的なパフォーマンスカテゴリーの注目アイテムを紹介したが、後編はTシャツやバギーズなど、デイリーに着られるライフスタイルカテゴリーを中心にお届け。
今回の会場は以前のところよりも広めで、ゆったり見られるだけでなく、展示されている製品の数も多い。ライフスタイル分野はパタゴニア マーケティング部の小林優子さんが案内してくれた。
シンプルでささやかな喜びがあるものを毎日!
薬師神:50周年記念アイテムでもコットン・イン・コンバージョンにフォーカスしていましたよね。心なしか、オーガニック・コットンのほうが肌にやさしい感じがする…。
01メンズ・デイリー・ポケット・ティー ¥8,250
薬師神:フェアトレード・サーティファイドは、従業員にプレミアムな賃金が支払われる「搾取」しない公正な取り引きのことですよね。
小林:このリジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットン製のポケットTのように地球の未来を気遣っている製品は、毎日着るときにささやかですが喜びが感じられます。
山崎:ヘザー調のグレーのポケットTはサイジングもいいし、シンプルなデザインも魅力的。
小林:こちらのスウェットもリジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットンを使用した新作です。着心地がよくベーシックなので長く着ていただけます。
小林さんが教えてくれるなり、気になる色をさっそく試着するふたり。
02デイリー・フーディ・スウェットシャツ ¥17,600(左) 03デイリー・クルーネック・スウェットシャツ ¥14,850(右)
山崎:洗濯しても乾きがいい厚みだよね。襟元にガセットが付いたクラシックなデザインも好みだし。ちなみに春アウターのおすすめのものが着たいんですが、どれになりますか?
小林:新作のノマダー・ジャケットはいかがですか?
04メンズ・ノマダー・ジャケット ¥28,600
05メンズ・リバーシブル・シェルド・マイクロディニ・ジャケット ¥30,250
薬師神:僕はマイクロディニ・ジャケット。裏面はベロア・フリースであたたかいです。これ、リバーシブルなんですよね? フリース面はネイビーのポケットがあってアクセントになっています。
小林:こちらは新作ではないのですが、端境期にラインナップしているアウターです。リバーシブルだから活用範囲も広く、パタゴニアが掲げるいろんなシチュエーションで使える製品のひとつです。
小林:パタロハは「アイランド・アース」をテーマにハワイの植物や生態系をプリントに採用し、人間がいかに解決策の一部となって大地を助けるために取り組んでいるかに焦点を当てています。トルソーに着せているオレンジとラック手前のグリーンは同柄で、絶滅の危機に瀕しているアルラという植物がモチーフです。
山崎:ショーツの隣にあるのはタロイモの葉っぱ柄ですよね?
小林:そうです。ハワイではカロと呼ばれていて、主食でもあるとても重要な植物です。カロ柄はスリムフィットになっています。
06メンズ・バギーズ・ショーツ-5インチ ¥8,800
小林:無地のほか、フーディニのところでも説明した通り、ベンチュラの本社から見えるチャンネル・アイランドの自然に着想したパターン。セットアップでも着られるように上下でそろえています。
山崎:バギーズはインナーにメッシュショーツが付いているから、街でもはけて海にもそのまま入れる。「いろんなシチュエーションに使える製品」の先駆けだよね。
07メンズ・アウトドア・エブリデイ・ショーツ-7インチ ¥13,200
山崎:エブリデイ・ショーツもクラシックロゴで、ポケットにパッチが!
小林:アウトドアエブリデイ・ショーツも前編でご紹介した、多用途に使用できる製品コレクションのひとつです。「スピリテッド」、「アウトドア」、「ファンクショナル」それぞれのスタイル提案として、カラーやロゴのパッチを変えて展開しています。また、こちらはストレッチナイロン素材でDWR(耐久性撥水)加工を施しています。バギーズと違ってインナー(メッシュショーツ)のないデザインです。
メッセージを読み解くのが楽しいTシャツ
重要なメッセージを楽しいロゴやグラフィックで伝える、パタゴニアのTシャツ。パタゴニアのデザインチームやスタッフだけでなく、気鋭のアーティストが描いているものも多く、アメリカのカルチャーが感じられるという点からも注目度が高い。各自がおすすめをピックアップした。
08メンズ・トレイル・ハウンド・オーガニックTシャツ ¥7,150
山崎:犬がマウンテンバイクに乗っていて、しかもスポーツサングラスをかけて、ネオンカラーのTシャツを着ている。インパクトあるよね。
コミックアートで高く評価される、Alexis Ziritt(アレクシス・ジリット)のグラフィックは、偶然にも本社でマウンテンバイクカテゴリーを担当しているEric Wallis(エリック・ウォリス)にそっくりと社内で話題に。
09メンズ・コモントレイル・ポケット・レスポンシビリティー ¥7,150
薬師神:自然を描いているのに、とてもグラフィカルでアートな印象。色使いにも癒されます。
ほっこりした作風で人気を集めるWyatt Hersey(ワイアット・ハーシー)のマウンテンバイク・グラフィック。ナチュラリストでバードウォッチャーでもある彼は、自然との調和をテーマに描く今をときめくアーティストだ。スケートカルチャーにも造詣が深いせいか、抜群にセンスがいい。
10トレイル・トロッターズ・レスポンシビリティー ¥7,150
山崎:キノコのランニングマンがマタンゴみたいで、面白い。真ん中のはコンブ人間?
こちらはトレイル・カテゴリーのグラフィックで「Trotter and Friends(走る人と友だち)」。真ん中にいるのはコンブ人間ではなく「Tree Trotter(走る木)」。前後を走るのはカルフォルニア・ポピーと森のキノコだ。キャラクターの下には「RUNNING THROUGH THE MIND,BODY AND SPIRIT(全身全霊で走ろう)」のメッセージが。
11メンズ・CTA・オーガニック・Tシャツ ¥7,150
薬師神:「TAKE ONLY WHAT YOU NEED(必要なものだけを獲る)」というメッセージはシビアですが、グラフィックはクールですよね。
こちらはコール・トウ・アクション(行動を呼びかける/CTAは省略形)・グラフィックのシリーズ。スピアフィッシング(魚を捕らえる水中スポーツ)に着想を得たグラフィックとメッセージ。中央に描かれているのは魚を突くヤスだ。
12メンズ・シュイナード・クレスト・ポケット・レスポンシビリティー ¥7,150
小林:「BUILT TO ENDURE(長持ちする製品作り)」というパタゴニアのもの作りのポリシーをクラシックなグラフィックに組み合わせました。
ダークボディに鮮やかなアクセントカラーのコントラストも美しい。
サーフ・カテゴリーのクラシックロゴに心酔
ロゴ・カテゴリーの隣はサーフ・カテゴリー。普段はスルーしてしまうところだが、ワニのグラフィックに山崎が反応。
小林:SURF GATOR(サーフ・ゲーター)です。1970年代のシュイナード・イクイップメントのザックなどに使われていたSUPER GATOR(スーパー・ゲーター)を現代的にアレンジしました。
山崎:シュイナード・ドラゴンと呼ばれていたキャラクターですね? キッズTもあるんだ。親子ペアできますね。
小林:今季はクライミングとサーフ、両方のカルチャーを持つパタゴニアのDNAを「ウォーター・ピープル」というテーマに集約しました。ロゴ、ハイク、ライフアウトドア、イクイップメントなどクロスカテゴリーからなるコレクションです。
13メンズ・ハイドロピーク・ボードショーツ 18インチ ¥10,450
山崎が親子ペアをあれこれ思案する傍ら、薬師神はクラシックロゴのブラックホール・ギア・トートを見つけた。
14ブラックホール・ギア・トート61L ¥16,500
小林:このフォントやデザインは1970年代のシュイナード・イクイップメントのラベルからヒントを得たものです。CHOUINARDのCを菱形で囲んだロゴにならって、PATAGONIAのPを菱形で囲んでいます。
15メンズ・ウォーター・ピープル・オーガニック・ポケット・Tシャツ ¥7,150
グリーンやブラウン、2024年のファッショントレンドとマッチするカラー展開で、取り入れやすい。
ブラックホール・ダッフルとキューブを改良
16ブラックホール・ダッフル 40L ¥22,000
小林:素材だけでなく内側のスタッフポケットの容量が追加されるなど、より使いやすくアップデートされています。40Lは機内に持ち込み可能なサイズでもあります。
17ブラックホール・キューブ14L ¥8,800
小林:はい。以前は3L、6L、10Lの3サイズでしたが、今季から10Lが14Lにサイズアップして、ほかのサイズも形状が変わりました。
18ウィンウィン・パッキング・タープ 22L ¥11,000
山崎:ピクニックシートとして使ってもいいわけですよね?
小林:そうですね。いろいろ応用できるバッグです。外側にシンチストラップが付いているからショルダーバッグのように持って歩くこともできますしね。
小林:こちらはリユースの一環で残反を使って作っているので、今季だけの展開となります。
パタゴニア・プロビジョンズから味噌が発売に
ひとおとり製品の説明を受けた後に、今回はパタゴニア・プロビジョンズのおもてなしが。受付カウンターの並びにプロビジョンズの日本酒と3月14日に発売される「オーガニック味噌」を使った小料理が用意され、試食を楽しんだ。
新バイブル『レスポンシブル・カンパニーの未来』
最後は40周年を記念して出版された名著『社員をサーフィンに行かせよう』の改訂版の話題で締めくくろう。
100年後も社会への責任を果たす影響力のある会社としてパタゴニアがどう歩んでいくのか? この本が新たなバイブルとして、世に広まっていくことに違いない。
パタゴニアの春夏製品は2月2日からECで、2月22日から直営店でローンチする。こうご期待。
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https://www.patagonia.jp/home/
Composition & Text:Hisami Kotakemori