港区虎ノ門に本社を構える「tonysame(トニーセイム):」のオフィス兼ショップにて、2023年上半期の新作アイウェア4本を試着ルポ。トニーセイム社長が自ら情熱リコメンドする“細かすぎる”製品説明に、文化系アイウェアの旬が詰まっていた。
おしゃれな大人男子からの支持を集めるグローバルアイウェアブランドの「tonysame(トニーセイム):」は、高い次元でのクオリティと職人気質、そして美意識を担保する文化系アイウェアの筆頭だ。その総本山である東京・虎ノ門の「tonysame: japan office/showroom」にて、モデルの松本雄司が試着ルポ。
細井 礼・トニーセイムジャパン社長:お暑い中、ようこそ。どうぞくつろいでください。
松本雄司:ドアを開けるまでは少し緊張していました。アットホームな雰囲気でホッとしています。
さて、最初の1本は?
① TS-10921-071 [T-cut]
¥41,800
ボストンシェイプの優し気な表情が印象的な新作。ちなみに、アーカイブも含めるとのべ300以上ものアイウェアを有する「トニーセイム」では、特徴的形状や製造過程などから着想を得たシリーズ名と、頭にTS(tonysame:)を置いた品番で管理される。
細井社長:ゴールドとネイビー、シャーリングゴールドとグレーマーブルなど、茶系ベースの上品なコンビネーションになります。静謐な佇まいの中に、研ぎ澄まされたクリエイティビティを醸し出せる自信作です。
松本:製品の特徴を教えてください。
細井社長:解説が長過ぎたらすみません。
文化系男子の買い物は、モノのバックボーンを知り、作り手のこだわりを熟知し、じっくりと吟味するスタイル。有益な商品情報は多い方が嬉しいはず!
松本:ナイロン糸?
細井社長:はい。素材とデザインを簡単に説明しますと、フロントに軽量・高耐食・高強度・バネ性に富んだ合金であるベータチタン×アセテートを、テンプルにアセテート×チタンを採用し、メタルナイロールリムにプラスチックリムを組み合わせたコンビネーションフレームになります。強度と軽さをスタイリッシュに追求する私たちの哲学は細かい箇所まで行き届いており、フレーム下のフチを排除して高強度のナイロン糸でレンズを支えるナイロール仕様にすることで、ずんぐりとしたキッチュな面構えよりもシャープな印象を強めています。一般的なコンビネーションフレームですと、フルリムメタルとの単純な組み合わせが多いと思います。
松本:シリーズ名の「T-cut」とは、付け根のところが「T」状だからですか?
松本:ほんとだ。デザインの奥行きが深い。
細井社長:ありがとうございます。見た目はシンプルなデザインに落ち着いており、秘めたこだわりが大人のお客様に支持されております。
辿り着いた機能美や黄金律を尊重し、浮ついた虚栄は皆無。「トニーセイム」は声高にブランド名を主張しない。
② TS-118-1001 [NewWave]
¥29,700
松本:サーモントは聞いたことがあります。フレームの上半分がごんぶとの眉毛のようになっている昭和っぽいメガネだったと記憶していますが…。
松本:取り入れやすく、しっかりと大人のニュアンスも与えてくれそう。
細井社長:そもそも1950年代に誕生したサーモント(Sirmont)デザインの由来は、眉の薄いモント(MONT)将校(Sir)が、掛けるだけで威厳を感じさせるデザインを所望したことがきっかけでした。その経緯もあって、レトロで男性的なアイウェアの代名詞になっています。我々は「女性でも掛けられる優しいサーモント」を目指して開発しました。初回カラーバリエーションでの「ブラウン・マットゴールド」「マットブラック」「マットワインレッド・マットブラウン」のカラーリングは弊社の女性スタッフが監修しています。
細井社長:マットブラック単色もどうぞ。
細井社長:素材はフロントがベータチタン×チタン、テンプルがアセテート×チタンです。通常はプラスチックパーツで表現されるブローバーを厚さ1.5ミリの極薄チタン材で作製し、テンプルパーツも細身に変更しました。通常のサーモントよりも丸みを帯びたリムも特徴的で、昨年秋に発表したスクエアリムのサーモントをさらにユニセックスに改良した新モデルです。ワイヤーカットで波型のカットを刻んだヒンジは「ニューウェーブパーツ」と名付けており、横から見ると2本の縦線になります。
松本:先に試着した1本線が「T-cut」、2本線が「ニューウェーブパーツ」…。
細井社長:テンプルの外面を見ただけでシリーズ名がわかるお得意様もいらっしゃいます。
③ TS-10769-824 [HDアセテート]
¥41,800
松本:八角形のフレームは少しクセが強い印象でした。実際に掛けてみるとそうでもないです。
細井社長:デイリーに取り入れられそうですよね。オクタゴンフレームの先入観を払拭すべく、先のサーモントと同じようにソフトなデザインで門戸を広げ、親しみやすく取り入れやすく顔馴染みもよい「トニーセイム」ならではのオクタゴンに到達できました。そのためになくてはならない素材が、高密度アセテートなのです。
細井社長:アセテートフレームは豊富なカラーバリエーションや独特なミックスカラーが魅力ですが、それは国内や海外のアセテート生地メーカーが作成した色になります。フレームデザイン、トレンド、そして「トニーセイム」らしさとマッチする生地のセレクトが大切です。
松本:ぜひ。顔馴染みもよいと思いますよ。
細井社長:そういえば、この品番はまだ公式ウェブサイトに掲出されていません。ガチで新作です。
松本:最もリーズナブルなお勧めは?
細井社長:そうきましたか。
初めて「tonysame: japan office/showroom」に訪れた松本雄司もいつしかリラックスして試着を楽しんでいた。ふたりのアイウェア談義に花が咲く。
④ TS-108 [VAL]
¥26,400
細井社長:元は6ミリのアセテート生地を削って作っており、かなり贅沢な素材の使い方をしています。プラスチックフレームのボリュームを好まれる方でも、チープに見えない程度には軽さを求めるお客様は多いです。一見相反する要望ですが、正面のボリュームを確保しながらデッドスペースの質量を減らすことでテクニカルに軽量化できました。もちろんアイウェアに必要十分な強度は確保しており、ブリッジや智といった力の掛かりやすい箇所には厚みをしっかりと残しています。
松本:智?
細井社長:智(ち)です。リムとテンプルを繋ぐ、フロントのちょうど角の箇所を指します。
松本:細かすぎる。勉強になります!
住所:東京都港区虎ノ門1-2-11 ザ・パークレックス虎ノ門 8F
TEL・問い合わせ先(店舗直通):03-5860-9662
営業時間:11:30~18:30(土日祝は予約制)
※時間外は電話相談にて対応可
Model: Yuji Matsumoto
Composition & Text: Takafumi Hojoh