地球沸騰時代を痛感する酷暑の7月下旬。表参道にてパタゴニアの2024年の秋冬新作展示会が開催された。UOMOブランド統括の山崎(身長178cm)と副編集長の薬師神(身長165cm)の2名が実感情報をまじえて新作をチェック! 前編はパフォーマンス・カテゴリーにフォーカス。
展示会場入口に置かれたフィッツロイロゴに「PRESS PREVIEW」の立て看板もすっかりおなじみ。受付を済ませるとこの日UOMOチームにアテンドしてくれるパタゴニア日本支社 マーケティング部の牧野知生さんが挨拶をしてくれた。
牧野:パタゴニアの展示会ではシーズンのキャンペーンをいつも入口に展示しています。まずはこちらから説明させていただきます。
Wash, heat, repeat.|洗う、加熱、繰り返す。
牧野:パタゴニアの製品は機能的で、長く使っていただける耐久性を備えています。その機能をフルに生かしてもらうために、2024年秋冬は製品のお手入れにフォーカスします。
Wash→heat→repeatのサイクルを可視化したポスターのとなりには、大自然の中でアウトドアを楽しむ人の写真に
Dirt is cred. (汚れは勲章)
Clean is performance. (洗って機能)
というスローガンが書かれている。
山崎:この加熱(heat)というのはもしや乾燥機で乾かすこと?
牧野:ご名答。世界的に見てもレインウェアをきちんと手入れをしている人は少ないというのが現状です。レインウェアは汚れたままだと本来の撥水加工が発揮されなくなってしまうんですね。中性洗剤で洗って、乾燥機で低温で乾かすと、雨や汗などの汚れが落ちるだけでなく、撥水機能が蘇るんです。
山崎:機能性ウェアも自分で洗ったほうがいいんですね。
牧野:はい。ぜひ洗ってください。秋にはお手入れの体験イベントなども企画しています。
この一角にはパタゴニアの最新ドキュメンタリーフィルム『尊々加那志~とうとがなし』や、気候変動に対してのアクティビズムを紹介するコーナーも。
年々深刻化する気候変動へのアクティビズムについてはパタゴニア日本支社 環境社会部門の坪井夏希さんが説明をしてくれた。
坪井:今年は日本政府がエネルギー基本計画の見直しを行なうなど、気候変動にとって大切な年です。ただ「暑いですね」「省エネをしましょう」と言っているだけでなく、社会システムを変えていくために行動することが大事なんですね。パタゴニアでは市議会など地方議会や地域にももっと関心を持ってほしいと思い、トークセッションやイベントを予定しています。
今年の1月から2月にかけても「地方議員という選択。暑すぎた夏。日本の気候変動対策のいま」と銘打ってトークイベントなどが行われ活況を呈していたが、その第2弾が10~11月に開催されるとのこと。ぜひともチェックしてほしい。
Trail Runnnig|ウィンドシールドジャケットに ベンチレーションが!
さてここからはお待ちかね、パフォーマンス・カテゴリーのトピックを紹介していく。
牧野:トレイル・ランニングカテゴリーに新作はないのですが、定番のウィンド・シールド・ジャケットがアップデートされました。耐風性のある素材を使用したトレラン用ジャケットの後ろ身頃に、ベンチレーションを入れたんです。
01.メンズ・ウィンド・シールド・ジャケット¥28,050
山崎:着てみましょう。内側にキャプリーンクールライトウェイト素材を使っているというジャケットですね? サイドポケットも内ポケットもあって使い勝手がよさそう。
薬師神:確かに背面がオープン仕様になって、内側にはメッシュ生地があしらわれています。
山崎:アップデート前のモデルを着てないので違いがわかりませんが、着やすいです。
牧野:日常着としては大きな差は感じないかもしれませんが、トレランなどのアクティビティではこのベンチレーションが熱と湿気を放出してくれるので、パフォーマンスが上がると思います。
02.メンズ・フーディニ・スタッシュ・1/2ジップ・プルオーバー¥19,800
薬師神:これは春夏シーズンに新しく出たフーディニのプルオーバータイプ。新柄ですね?
牧野:新柄です。
薬師神:ブルー系の色みに引き寄せられてしまった…。
“ネイビー好き”薬師神らしく、ブラックベースに波や等高線を彷彿とさせる新柄が、この日のネイビーパンツにマッチ。
山崎:プルオーバータイプはフルジップの元祖フーディニと違って、左サイドに面ファスナー留めのポケットが付いているのが便利なんだよ。
“パタゴニアのヘヴィユーザー”でもある山崎はウィンタースポーツが趣味ということで、機能にもこだわりが。
Alpine|M10・ジャケットが復刻され サーマル裏地のR1も登場
牧野:アルパインはトピックがいろいろあります。まずはM10・ジャケット。これは一度2010年に登場しているんですが、不必要なものを取りのぞきできるだけシンプルにアップデートして再登場となりました。パタゴニアの中でもフィッツロイのような、岩と氷の山を登るクライマーのためにつくられたアイテムです。
03.メンズ・M10・ストーム・ジャケット各¥55,000
山崎:袖を通してみるとかなり細身ですね。
牧野:本格的なロッククライミングのためにつくられているので、ハーネスを付けたりヘルメットをかぶったりしたときベストなバランスになっています。
山崎:ファッションではないと。
04.メンズ・M10・アノラック¥57,200
山崎:プルオーバータイプはハーフジップなのにダブルファスナーというのが珍しい。
牧野:ベンチレーションのためにダブルファスナーになっているんです。服の内部が暑くなってきたら下側を開けて換気できます。
薬師神:ファスナーの配色がかわいい。
山崎:これはGORE-TEX?
牧野:どちらもパタゴニア独自の透湿防水素材、H2No®テクノロジーを使用した3層のアルパインシェルですが、表地の素材は微妙に違います。
山崎:なるほど。
牧野:こちらは新製品です。R1の裏地にサーマルを付けたR1・サーマルが登場しました。
山崎:グリッドの目が細かいですね。
牧野:はい。サムホールも付いていているので、手を上げる動作でも腕が剥き出しにならず、あたたかいです。
05.メンズ・R1・サーマル・フーディ¥30,800
山崎:暑いけれど(この日の気温は36度!)、着てみました。Mサイズで僕にはちょっと小さめ。スノボのインナーによさそうです。
牧野:スノーのアンバサダーも絶賛しておりました。
山崎:僕はスノボのときにキャプリーン・エア・フーディを愛用していますが、これもとてもよいですね。R1シリーズはシーズンのはじめに完売してしまうアイテムが多いので、これもそうなりそうな予感。
テクニカルフリースが裏地に採用され、表面はマットなポリエステル素材だからシティユースにも応用しやすい。汎用性の高い製品は、完売が予想されるので、早めにチェックしておこう。
06.メンズ・DAS・ライト・フーディ¥49,500
牧野:非常に軽量なビレイフーディもフード部分などがアップデートされて再登場します。パタゴニアを象徴するパープル、ブルー、オレンジの3色がファスナーに使われているのも注目のポイントです。
山崎:通常のDAS・パーカもまだありますか?
牧野:あります。
薬師神:さっきのM10・アノラックと同じ配色ですね。裏地がパープルというのも素敵です。(試着すると)これ、メチャクチャ軽い!
山崎:ファスナー3色使いって確かに今までなかったかも。
牧野:はい。2色使いはよくありましたが。
山崎:着てみました。これもMサイズ? 軽くて、普通にいいですね。
牧野:DAS・パーカはビバーク用(山中で一夜を過ごすこと)にジャケットの上からも羽織れるサイズ感でつくっているので、少し大きめになっています。
ダウンのように軽量な防水性PlumaFillシンセティックインサレーションと耐水用のシェルでつくられたダス・ライト・フーディ。裾には調整用のドローコードも付いている。
07.メンズ・ナノエア・ライト・ボトム¥31,900
牧野:アルパインのラストはこちら。ナノエア・パンツが復活しました。
山崎:ナノエアはレイヤリングシステムの中でもハイブリッドなやつですね。
牧野:中間着(ミッドレイヤー)として出ていますが、肌着(ベースレイヤー)がなくても違和感なくはけるんですよ。白馬や北海道のストアスタッフは、普段も雪山に行くときも、一日中これをはいてるそうです。ナノエアはあたたかくて蒸れないので、アクティブに行動するときもそうでないときも快適なんです。
山崎:スノボウェアの下にこれをはいてもいいわけだ。
牧野:ポケットが付いていて生地感もほどよく、街ではいていただいても違和感がありません。
山崎:次は?
牧野:フィッシングを紹介しましょう。
Fish|様々なシーンに応用できる ハイブリッドアイテムもラインナップ
フィッシングは、もともとイヴォン・シュイナード(パタゴニアの創業者)がフライ・フィッシャーということもあり、創業当時から力を入れているカテゴリーだ。
08.メンズ・リバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディ¥17,600
薬師神:パタゴニアではどんなフィッシングアイテムを展開しているんですか?
牧野:このシャツはフィッシング・ラインのものです。最近はシャツ・スタイルで楽しむ人も増えました。ボディ部分はふつうのシャツのようなストレッチポリエステル生地ですが、袖の部分に吸湿発散性に優れた素材をパネル使いしています。
薬師神:フィッシング界ではシャツが人気…なんですね。
牧野:UPF40+日焼け防止機能が備わっていて、取り外しできるフードも付いています。フィッシングだけでなく、クロスカテゴリーで提案できる製品になっています。
牧野さんが解説する横で、山崎は別の気になる製品を見つけた。
山崎:ナミナミだ…。
山崎がいうところの「ナミナミ」とは、中空糸を使用した独自のジグザグ構造のフリースのこと。
09.メンズ・R2テックフェイス・プルオーバー¥27,500
10.メンズ・R2・テックフェイス・パンツ¥23,100
牧野:このテクニカルフリースも新製品です。ボトムだけでなくプルオーバーのトップスもあって、毛足の長いフリースを使用したR2タイプになっています。
山崎:これを上下で着て上にウェーダーを着るわけですね。
牧野:寒い環境での釣りもずいぶん快適になると思います。
薬師神:このカテゴリーは色使いがシックですね。抑えたトーンが多い気が…。
牧野:アースカラーが多いですね。スノーウェアも今季は派手なトーンよりも抑えめなトーンが多くなっています。
山崎:派手な色だと魚にバレちゃいますからね。目立たないように。
牧野:ですね。
Snow|ビブなしのシンプルな スノー用パンツが初登場
パフォーマンス・カテゴリーのラストは山崎が楽しみにしているスノー。
牧野:今季のトピックとしてはこのアントラックド・パンツ。
11. メンズ・アントラックド・ジャケット¥94,600
12.メンズ・アントラックド・パンツ¥83,600
山崎:今までパンツがなかった?
牧野:ビブ付きのパンツはあったんですが、いわゆるパンツがなかったんですよ。アントラックド・ジャケットと同様に、完全PFCフリーの3層GORE-TEXシェルを採用しています。このパンツをつくったことでプレミアムな3LGORE-TEXシリーズが完結しました。オールマウンテン、バックカントリーと幅広く対応します。
13.メンズ・ストームストライド・ジャケット¥70,400
山崎:このジャケットは?
牧野:軽量な防水スノーシェルとしておなじみのストームストライド・ジャケットです。生地を100% リサイクル、PFC フリーにアップデートしました。
14.ディセンジョニスト・スノー・パック 37L¥39,600
山崎:これもバックカントリー用のバックパックですね。
牧野:はい。ディセンジョニスト・スノー・パックもアップデートです。
山崎:取り外し可能なヘルメットキャリー。こういうの、大事です。
前編のパフォーマンス・カテゴリーはここまで。後編はおしゃれ心をくすぐるライフスタイル・カテゴリーを紹介するので、乞うご期待!