日本に輸入代理店がなく基本的に海外通販でしか手に入らない新生J.クルーと新鋭パンゲアの2ブランドのアイテムを購入。目の肥えた二人の先輩と海外ブランド好きな編集・中野が試着し、人気の秘密を掘り下げる。
PANGAIA を坂田真彦が試着代行！
PANGAIAとは？
英国発祥、現在はアメリカに拠点を置く最旬サステナブルブランド。科学者やデザイナーが集結した「マテリアル・サイエンス・カンパニー」として、自社開発した環境配慮型の素材を使いミニマルなデザインに落とし込む。ウェアはすべてユニセックスで展開される。
サイトは英語だが日本国内への発送に対応。価格は米ドル表記で、注文後にDHLより別途、輸入関税と消費税を請求される（今回は￥11,800だった）。＄350以上の注文で送料が無料になる。注文時「1週間ほどで配達」と表示され、実際に注文から4日後には手元に届いた。
編集・中野（以下N） パンゲア自体、僕は最近知ったのですが、坂田さんは以前からサイトを見て気になっていたそうですね。
坂田（以下S） コロナ禍でリラックスウェアをリサーチしていたときに見つけました。昨今のアメリカのムーブメントを感じるブランドですよね。まず10年前からのノームコアの考え方が根底にある。そこに社会貢献を問われる時代性が結びつき、ミニマルかつメッセージをまとえる服はすごく今っぽいです。環境に配慮しているという情報を洋服に直接プリントしたり1、3、秘密結社感のあるアイコンの刺繡2、4や、理系っぽいサイトの作り…とすべて面白い。
N オンラインではさまざまな人種のモデルがジェンダーレスに登場しますね。サステナブランドの中でもパンゲアにはモードな感性があるように見えますが、いかがでしょう？
S 確かに海や山を感じるほっこりした方向性ではなく、無機質なムードが都会的。シンプルさの中にちょっとしたこだわりを加えているのが好印象です。オーバーサイズジャケット1はプレーンな仕立てで誰にでも似合うパターンですが、適度にボックスシルエットかつ比翼仕立てでひとひねりされている。ただマテリアルについてはっきり主張するのは、アメリカ的な感覚ですね。日本人はどうしても「陰徳の美」の感性があるのか（笑）、環境に配慮しているとしても、積極的にウリにしないというか。
1
ITEM
COLOR
SIZE
PRICE
:Organic Cotton Oversized Tailored Blazer
:Black
:Small
:$325
N なるほど…。リサイクルコットンを使用したボーダーT2は、振り切った発色で案外着やすいなと思いました。ビッグシルエットもファッションとしてキマりますね。
2
ITEM
COLOR
SIZE
PRICE
:Recycled Cotton Stripe Boxy T-shirt
:Jasper Red
:Small
:$85
S ボックス型のフォルムと張りのある生地で程よくボリュームが出る。襟はしっかり詰めているのでTイチでもだらしなく見えず大人も着やすいです。NYのカジュアルなオフィスなら、これくらいのあんばいが現実的なのかな。ちなみに僕は定番のスウェットパンツ3がいちばん気に入りました。メンズには珍しい肉厚かつきれいに落ちるシルエット。裾ゴム付きで粗い素材だとLA的ないなたい雰囲気になると思いますが、これはストレートでつるりとした光沢が上品。ラインがきれいなので女性ファンも多そうです。
5
ITEM
COLOR
SIZE
PRICE
:365 Straight Leg Track Pants
:Stone
:Small
:$150
N メンズでストレートシルエットのスウェットとなると、薄手かつスポーティな印象のものが多いのでこの上品さは貴重です。
S まさに。内側も裏毛とは呼べない程度に微起毛していて抜群に気持ちいい。お尻のポケットがないのは、美しいヒップラインが出てレディスで好まれる手法ですが、個人的には、後ろ姿でお尻を主張したくないのでバックポケットが欲しかったかな（笑）。
N リサイクルウールのロンT4はどうでしょう？ ほぼ黒なディープグリーンがしゃれていますし、細かく施されたステッチや生地と同色の刺繡で、とことんミニマルです。
4
ITEM
COLOR
SIZE
PRICE
:Recycled Wool Jersey Long-Sleeve Top
:Foliage Green
:Small
:$130
S これは確かにソリッド。フェルトのようなテクスチャーも面白い。リサイクルウールは肉厚なフリースなんかに使用されがちですがあえて上品に仕立てていますね。
N 見た目はかわいいですが、着心地は？
S 正直、僕らが一枚で着るとチクチクする。日本人は欧米人より体毛が比較的少ないので、肌の感覚が繊細らしいですよ。
N なんと。海外の大人がシェットランドウールを一枚で着ている謎が解けました。
S ちなみにコレ、身幅が細く丈が長めという日本で見ないパターン。鍛えているニューヨーカーたちが、パツパツでセクシーに着ることが想定されているのかも。
N パンゲアは「サステナブルでモード」かつさまざまな着こなしの嗜好に対応すると。
S 都会のウェアとして世界のスタンダードを目指すようなブランドなのかも。そして環境問題と向き合う姿勢が素晴らしいからこそコンセプト先行ではなく、自分らしく着こなせるかどうかが問われそうです。
結論
素材もコンセプトも、世界のスタンダードになる可能性がある
※2月28日現在の公式オンラインショップでの販売価格です。価格が変更されたり取り扱いが終了している場合もあります。商品に関する編集部へのお問い合わせはご遠慮ください。
Masahiko Sakata
デザインスタジオArchive&Style代表。コレクションブランドで経験を積んだ後、デザイナー、ブランドディレクターとして独立。パンゲアはSNSやWEBをフォローしていたものの、実際袖を通すのは今回が初めて。
Illustration:Anri Yamada
Text:Takako Nagai
