
アナ・ウィンター(左)も大注目!
ここは米・ニューヨークのカルバン・クライン本社(205 West 39th Street, New York)敷地内に設置されたランウェイショー会場。現地時間2025年2月7日(金)、新クリエイティブディレクターに就任したヴェロニカ・レオーニ(Veronica Leoni)のデビューショーとなる「Calvin Klein Collection(カルバン・クライン コレクション)」2025年秋シーズンが全世界にお披露目される数分前のスナップである。

ニューヨーク発のカジュアルブランドとして世界的認知度を誇る「Calvin Klein(カルバン・クライン)」には、ワンランク上のコレクションラインが存在する。ミラノ、パリと並ぶニューヨーク・ファッションウイークの常連だった「カルバン・クライン コレクション」は、前任者のラフ・シモンズ(Raf Simons)が「カルバン・クライン205W39NYC」の名称で2017-18年秋冬シーズン(2017年2月発表)から2019年春夏(2018年9月発表)までランウェイを発表していた。
シモンズがブランドを去って以降、次の担い手に注目が集まっており、白羽の矢が立ったデザイナーがヴェロニカ・レオーニなのだ。

この御仁こそ、1968年のシグネチャーブランド創設以来、米国を代表するライフスタイルブランドとしての礎を築いたカルバン・クライン(1942年11月19日~)本人だ。リビングレジェンドの創業デザイナーはもちろん、1988年からアメリカ版「VOGUE(ヴォーグ)」編集長を務めているアナ・ウィンター(Anna Wintour)ら世界各国のファッション誌編集長やジャーナリスト、セレブリティなどの熱視線を浴びるなか、「カルバン・クライン コレクション」2025年秋コレクションがランウェイショー形式で発表された。
さあ、ヴェロニカ・レオーニの実力やいかに?
注目のランウェイがスタート!




新しい「カルバン・クライン コレクション」を象徴するメンズとウィメンズのルックをピックアップして紹介。研ぎ澄まされた緊張感とリュクスなボリュームが混然一体となるユニークなパターンテクニックは、ヴェロニカ・レオーニの得意技である。
卓越したテーラリング技術によって、高級素材の負の一面である重量が、アンコンストラクテッドなパターンテクニックで打ち消しあっている。タイト・クロップド・ドレープを織り交ぜた3種のシルエットはメンズとウィメンズに共通し、2025年秋のメトロポリタンを体現していた。




コレクション全体に浸透したコンセプトが、「アメリカンビューティーにインスパイアされた生活のための服」だ。奇抜なデザインや刺激的な色彩は鳴りを潜め、メンズではライトウェイトのコート、トレンチコート、スーツ、シルクブラウス、コットンシャツ、5ポケットのデニムパンツ、スクエアトゥのフラットシューズ、アイウェアや小物など、秋の定番ワードローブに焦点が当てられた。
加えて、素材はソフトウール、カシミア、ドライギャバジン、ツイル、モールスキン、起毛コットン、ウォッシュドデニム、サテンなど、見た目で高級であることはわかるが至ってベーシックなもの。それらを駆使した“生活のための服”を、ヴェロニカ・レオーニならではのミニマリズムでツイストし、最高峰のブランドエクィティを提案したのだ。




「CK」や「Calvin Klein」などのブランドロゴは一切なし。オーバーサイズトレンドに寄り添う姿勢と、かつてのブランドイメージを踏襲したカラーパレットに几帳面な一面が垣間見える。
ブラック・グラナイト(花崗岩)グレー・ムーングレー・ファッジ(キャラメル色)・オフホワイト・ポーセレン(磁気)などのニュートラルカラーは、バローロ(赤ワイン)・ラズベリー・ペールシトロン(薄黄色)などをスパイスにしつつ、新規のクワイエットラグジュアリーを解き放っていた。

なお、1994年に誕生したヤングフレグランスの代名詞である「CK One(CK ワン)」のボトルはクラッチバッグとして静謐なルックのアクセントになっていた。連綿と続くブランドヒストリーに敬意を払い、真摯に向き合う彼女の遊び心はこの程度。6年の空白を埋めるかのように、“生活のための服”が、アパレル産業の集積地であるNYのガーメントディストリクトにて静かなる咆哮を放った。
「カルバン・クライン コレクション」がニューヨーク・ファッションウイークに帰ってきたのだ。
翌日のプライベートパーティーでは…

「デザイナーとして、私は常に『カルバン・クライン』から深いインスピレーションを受けてきました。私の目標は、シェイプとクラフトを通して『ミニマリズム・純粋さ・究極で正確な表現』を定義し、カルバン・クライン氏の独創的なビジョンと独特なアプローチを現代に蘇らせることです」と、ヴェロニカ・レオーニは公式コメントを発表。
ランウェイショーの翌日に催されたプライベートパーティでは、俳優のアレクサンダー・スカルスガルド(Alexander Skarsgard)の隣でツーショットに納まっていた。クールで隙がない印象だ。




2023年度のLVMHプライズのファイナリストであり、「ジル サンダー」「セリーヌ」「モンクレール」「ザ・ロウ」など数々のブランドでデザイナーやアシスタントデザイナーを経験した才媛は、昨年5月30日の就任時は41歳。半世紀におよぶライフスタイルブランドのDNAを受け継ぎ、発展させ、未来の「カルバン・クライン」を率いてゆく。
日本での発売はいつ頃?

フロントロウでランウェイを見守ったカルバン・クライン御大も一安心といったところか。世界各国のジャーナリストからの評価も上々だ。
日本での取り扱いは9月以降を予定。ニューヨーク・ファッションウィークの大御所ブランド、「カルバン・クライン コレクション」2025年秋シーズンの発売が今から楽しみである。
Calvin Klein Collection 2025年秋コレクション
クリエイティブディレクター:
ヴェロニカ・レオーニ(Veronica Leoni)
日時:2025年2月7日(金)※NY現地時間
場所:カルバン・クライン本社(205 West 39th Street, New York)