機能的で品位ある「日常着」の提案。
普遍的な価値観をベースに、カッティングとシルエットにこだわる「Y's for men(ワイズフォーメン)」2024-25年秋冬コレクションが待望の立ち上がりを迎えた。デザイナー山本耀司の創造性とデザイン哲学を凝縮した「ワイズフォーメン」は、天然素材を用い、手仕事により丁寧に作られ、緻密なテーラリングや独自のシルエットに定評がある。
シルエットとは意思であり、身体と服の間を占める空気感や分量感は、意識しない者にとっては未知の伸びしろである。その方程式を知り尽くし、繊細なバランスで展開されるワードローブだからこそ、世の大人男子の支持を得ているのだ。
ナチュラルな素材感そのままのコットンリネンやウールギャバジンはもちろん、天然素材ゆえの経年変化を楽しめるデニム、ダンガリー、シャンブレーなどのラギッドな生地でさえ、緻密なテーラリングが生み出す美しいシルエットに帰結。ありきたりでルーティンな日常に意思のある影を落とす。
手引きのパターンメイキングから生ずる、粗野で無骨なシルエットが魅力のモッズコートやトレンチコートは、早めの夏の終わりを切望してしまうほどの逸品だ。1月にパリで催された「Yohji Yamamoto POUR HOMME(ヨウジヤマモト プールオム)」2024-25年秋冬ランウェイにて発表された「ワイズフォーメン」秋冬最新コレクションは実店舗とオンラインで発売中。
ミリタリーやワークウェアの要素を取り入れたジャケットとパンツのセットアップは、時代に左右されることのない普遍的なスタイルだ。今秋冬はジャケットの肩章部分にはバックルが縫い付けられ、実際に肩幅の調節が可能になっている。
デザイナー山本耀司が、白と黒の生地の分量や切り替え位置を細かくデザインしたというコットンシャツから手始めにゲットしてもよいだろう。着慣れた定番のモノトーンスタイルに、少々の冒険心と緊張感をカジュアルに付与してくれる。
振り返ると、デザイナー本人が所有する数多のワードローブを反映していた「Y's for men(ワイズフォーメン)」は、1979年にデザイナー山本耀司が最初に手掛けたメンズブランドで、ちょうど1年前の2023-24年秋冬に13年振りにリブート。モードの洗礼を受ける登竜門的ブランドであるだけに、「ワイズフォーメン」復活のインパクトは世の大人男子に諸手を挙げて受け入れられている。
「Y'sを着ている女性の隣にいる男性が似合う服」という変わらぬコンセプトも、いかにもデザイナー山本耀司らしいではないか。
漆黒の闇に浮かぶ、これみよがしではない個性。
大人男子のハートを射抜いてやまないモノクロームのヴィジュアルは、閑寂のパリでの撮り下ろしだ。フォトグラファーTAKAYとの辣腕タッグは昨年のブランド・ローンチ時から継続。2024-25年秋冬の世界に引き込まれる。
群れているのか、いないのか。反骨のスピリットを醸しつつ、夜のとばりのなかで彼らはどこへ向かうのか。商品購入時に進呈されるヴィジュアルカタログにもシーンの結末は載ってはいない。
ありきたりな毎日と対峙し、打ち返し、謳歌し、機能的で品位ある日常着を着る男の背中に、連綿と受け継がれるモードのストーリーが続くのだ。
Y's for men
2024-25 Autumn/Winter Collection
販売店舗:Y’s表参道 / Y’s 伊勢丹新宿店 / Y’s 松坂屋名古屋店 / Y’s 天満屋 岡山本店 / Ground Y 渋谷PARCO / WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO OSAKA / 全国のYohji Yamamoto POUR HOMME店舗
Photographer: TAKAY
Stylist: Tsuyoshi Noguchi