話題の「ザ・ロウ」が全部ある!
2018年10月の期間限定店オープン時から、ブランドファンにとっては馴染みの場所である「Dover Street Market Ginza(ドーバー ストリート マーケット ギンザ)」3階の「THE ROW(ザ・ロウ)」が、3月15日(金)に拡張リニューアル。春分の日を経た今、昨年6月と9月にパリで発表されたメンズとウィメンズの春夏コレクションのほか、定番のエッセンシャルラインやバッグとシューズのフルコレクションが勢揃いしている。
加えて、同館1階のエレファントルームでは「ザ・ロウ」ならではのコンセプチュアルなインスタレーションが4月4日(木)まで開催中だ。今回の試みでは、生命力溢れるエレファント像の足元に敷かれた黄色のタペストリーに注目して欲しい。
そこでは、イギリスの現代アーティストであるステファニー・クエール(Stephanie Quayle/1982年~)が手掛けた巨大粘土像の足元で、5頭の架空の動物たちが軽やかに行進している。フランスの織物アーティストであるジャン・リュルサ(Jean Lurccat/1892~1966年)が手仕事でタペストリーに織り込んだ絵柄が、時代とアートの境界線を飛び越えて共振を果たしているのだ。
一世紀前に製作されたタペストリーと現代の造形作品が織りなす詩情豊かな協演は、多くを語らない「ザ・ロウ」の精神性を鑑みるといささか饒舌に過ぎるかもしれない。たとえアパレル本丸とは直接的な結びつきが皆無であるにせよ、である。
先の2月に催された2024-25年秋冬パリ・ファッションウィークにおいても、「ザ・ロウ」はゲストたちによる場内撮影やSNS投稿を禁止にし、出席者のみにコレクションを披露するという縛りでショーを敢行したというから驚きだ。
アシュリー・オルセン(Ashley Olsen)とメアリー=ケイト・オルセン(Mary-Kate Olsen)が提案するスタイルは、さらに円熟した完成度に到達しつつある。そして、ジャン・リュルサが紡いだ架空の動物たちのように、「ザ・ロウ」のような高みでブランドエクイティを保つファッションブランドは今の21世紀では幻に近い存在でもある。
余談をひとつ。現代のファッションシーンを理解するうえでのキーワードに躍り出ている「クワイエット・ラグジュアリー」だが、その称号が相応しいブランドのひとつとして「ザ・ロウ」が推挙されることに誰も異論はないはずだ。しかし、それはオフィシャルには「Non!」である。
「余白を大切にするブランド」のエスプリを1階のエレファントルームで摂取して、その余韻を忘れずにフルコレクションが勢揃いする3階へ。リニューアルした「ザ・ロウ」に触れてみよう。
THE ROW DOVER STREET MARKET GINZA RENEWAL OPEN
住所:DOVER STREET MARKET GINZA 3 階
東京都中央区銀座6-9-5 ギンザコマツ 西館
TEL:03-4560-4181
営業時間:11時~20時