2020.02.09

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.71 マルニのセットアップ|2020年2月号掲載

グレンチェック愛好歴はかれこれ50年になる。始まりは卒園式のダブルJK&ショーツだった。今はマルニのグレンチェックに魅了されている。この伝統柄、グレンチェックを軽い気分で着たい。カジュアルに、ワークウェアのごとく。足元に合わせるのはチロリアンシューズ。ファーがあしらわれているのが少々照れるが、今季、ヘビロテすること間違いなし!です。

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新しくなった渋谷パルコのオープニングパーティへ行った。劇場、ギャラリー、ブティック、レストランなどなど、193店舗が立ち並び、まるで一つの街がビルの中に収まっているかのようだった。これは新しい渋谷の顔になること間違いなしだろう。さすがです!パルコ。



その中に入っているショップ「2G」が主催するアフターパーティに招待してもらった。会場は同じビル内にあるタイレストラン。50名ほどの着席ディナーで、隣に座ったのは初対面の役者さんだった。少し話をしていると、言葉の節々に関西弁のイントネーション。僕の関西人DNAが敏感に反応して「もしかしてカンサイ出身ですか?」。「はい。僕、八尾です。知ってますか?」と彼。「八尾といえば、朝吉親分。映画『惡名』の舞台ですやん」と言うと、「えっ! 『惡名』、知ってます?」と返されたので、僕の長年の“惡名愛”について話させてもらった。



すると彼は、最近地元のために何かしたいという気持ちが高まり、八尾が舞台になる映画『惡名』を復活させたいと思っていると言う。「僕はモートルの貞を演じたくて…」。「え? ほな朝吉親分は?」と聞くと「それは地元の人をオーディションするのがいいかと」と言った。大胆な発想だが、八尾という土地柄を連想すると、朝吉親分にぴったりな人がたくさんいそうに思えてきた。新しい『惡名』ができるのかと思うと、期待で胸がいっぱいになった。ちなみに、僕のDVDラックには、映画『惡名DVD-BOX全15枚組』が大切に保管してある。その翌日、僕は1泊2日で秋の京都へ。新幹線から富士山を眺め、弁当を頰張りながら、勝新太郎演じる朝吉親分と田宮二郎演じる貞の掛け合いシーンを思い出していた。性格、肉体、振る舞い、衣装…二人の凸凹な対比が映画の肝だったな〜。最高!



今回イラストに描かれている服は、マルニのセットアップ。ルーズなトップスは、ハーフコートのようでもあり、カバーオールジャケット風でもある。大きなポケットとレザーのトリミング、それに切りっぱなしになった袖が特徴的。いつもなら長い袖は直すが、切りっぱなしの袖を折り返して着るのもいいかと思い、そのままにしている。パンツは、ジャケットのルーズシルエットとは相反してストレート。センタープリーツなしのスラックス仕様になっている。



僕は思い切って丈を短くしてニッカボッカーズ風にしてみた。足元にもポイントが欲しいので、パラブーツのミカエルを合わせた。ハードなブーツや大きなスニーカーではなくて、少しだけ大きくてかつドレスなムードがあるのがよかった。ツートーンカラーのマフラーはオレンジ使いがポイント。顔まわりが明るくなっていい。



真冬に着るには少々物足りないコートではあるが、中に暖かいニットを合わせれば日本の冬は乗り切れる感じがする。ちなみにマフラーに隠れて見えないが、中に着ているのは1995年にグッチのローマ店で買ったタートルニット。カシミヤが贅沢に使われていて、肌触り抜群なのだ。タグにはメイド・イン・スコットランドと表記されている。モカ色のホーズはターンブル&アッサー。これはロンドンの店で買って10年寝かせていた。クロゼットに眠っている古い服と新しい服がうまく合うと、三歩進んで二歩下がる(?)な気分になるのはナゼ??



(左)パラブーツのミカエルを初購入。エルメスのチロリアンシューズに憧れたのはかれこれ30年以上前だったかな? (中)マルニのグレンチェックコート。袖丈を短くするべきか、この原稿を書きながらも悩み中。大きなポケットは好きだが、内側に小さなコインポケットがあればもっとよかった。(右)事務所の近くにあるCOSにて衝動買い。ブライトなオレンジが一部に使われているのがいい。軽くて巻きやすいのもグー。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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