CABANの白いフーディが気に入っている。グッチのヤンキースコートのインナーやビスポークのダンヒルのスーツと合わせると、大きなフードがいい雰囲気をつくってくれるのだ。スウェットパーカの感覚で気軽に着ているが、カシミヤが10%入った素材の特殊な織りが、滑らかな質感を生んでいて着心地満点。ルームブーツもポカポカで心地よいのである。
僕は、四六時中、頭のどこかで服のことを考えている。自分の格好や周りにいる人たちの格好、そして街角で見かける見知らぬ人々の格好、映画、演劇、テレビ番組に出ている人たちの格好…等々、気がつけば彼らの服装、髪型、メイクなどを目で追っている。お、素敵だな、と思うものもあれば、そうでないものも当然ある。
で、目の前にすごくいいと思った人が現れたときは、知り合いかどうかにかかわりなく「どこで買ったの?」とか「その服似合ってますね」と声をかけることも多い。時と場所にもよるけれど、基本、着ている服を褒められて悪い気がする人はいないはず。
僕も、「それ真似していいですか?」などと人から言われると、顔には出さないが頭の中ではガッツポーズの嵐だ。なんというか、例えば、小学校2年のときに好きな女の子が偶然隣の席になったような気持ち、っていうのかな。そんな照れと喜びが入り交じった感情が、心に一瞬フワッと舞い降りる。で、その後に、「やったね!」というガッツポーズ気分が電流のごとく押し寄せる感じだ。「それ真似していいですか?」は、僕にとって、最高の褒め言葉なのである。
最近、CABANの白いフーディを着ていたら、立て続けに3人から「それ真似していいですか?」「それどこで買えるの」「それ欲しいな、どこの?」と言われた。このフーディは、最初はシンプルで合わせやすいと思って着ていた。グッチやヤンチェ_オンテンバールのルーズなバルマカーンコートに合わせることが多かったのは、存在感のあるフードがビッグシルエットのコートと相性がいいからだと思う。
みんなが褒めてくれた理由はさまざまで、「長いループがいい」とか、「お腹部分のポケットのディテールがモダン」とか、「ループの先の金具が好き」…とか、本当にいろいろだった。僕が気がつかなかった魅力を教えられて、あらためてこれが「ありそうでない服」なんだと思った。
ニットとスウェットの中間のような素材感は、カジュアルすぎず、イブニングに着ていてもさまになる。先日招かれた某コングロマリットの会長を囲むディナーの席へも、ダンヒルでビスポークしたイブニングスーツのインナーに合わせて出席した。シャツもタイもなしだったが、その場にちゃんとフィットしていたと思う。
グッチのコートはサイズ50。バルマカーンコートをルーズに着るのが今の気分だ。ヤンキースのロゴは、野球少年だった頃からの憧れ。白×紺のピンストライプのユニフォームも昔から大好きだった。大人になってからは、ヤンキースロゴが使われたヘンリーネックのアンダーシャツや、ネルのベースボールシャツを、バックドロップ(渋谷にあるアメカジショップ)で頻繁に買っていた。
そのヤンキースロゴが、野球用品ではないグッチのコートに使われているのがいい。アレッサンドロ・ミケーレのアイデアに拍手。今度のリゾートラインでは、ロサンゼルスにある伝説のホテル「シャトーマーモント」のロゴを使ったアイテムも目白押し。それまた欲しい欲しい欲しい!
今、自宅をリノベーションしていて六本木に仮住まい中だが、床暖房がないのでなんとも足が冷たい。で、それ対策にルームブーツを買ってみた。このモフモフブーツは、履いた途端にすぐに足がポカポカになる。暑くて脱いだりするほど暖かい。見た目も癒やされる感じで、日々愛用している。
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa