2019.11.17
最終更新日:2024.03.07

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.58 マルニの中国模様ジャケットと太パン|2019年1月号掲載

コレクションでミラノへ行き、マルニの店をのぞく。で、店頭に飾られた中国模様の赤いジャケット、シワ加工された極太パンツ、ポップなリボンタイ、そしてリバーシブルのデカ襟シャツを衝動買い。パンツは5種類はき比べたが、ほかは即決だった。お直しも不要で、テンポのいい買い物に気分爽快。翌日はそれら全部を着込んでマルニのショーへ。足元は着ぐるみ風スニーカーでキメました。

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ファッションショーを見に行くときに、そのブランドの服を着て行くのは少し照れる。どのブランドだろうと、ただ素直に自分が好きな服を着てショーを見に行けばそれでいいはずなのに、どうしても自意識過剰になってしまうのだ。



ところで今年は日仏交流160周年。パリ市内では「ジャポニスム2018」と銘打ったさまざまな文化イベントが繰り広げられている。9月にはルーブルで香取慎吾さんの個展があり、そのレセプションに僕も参加。翌日はシャイヨー国立舞踊劇場で中村獅童さんの歌舞伎公演を観劇。ほかにも劇団☆新感線の公演や、プティパレでの伊藤若冲展など、どれも充実した内容だった。



その後はミラノコレクションへ。プラダとマルニが素晴らしかった。特にマルニは、ショーの後にデザイナーのフランチェスコ・リッソに会う予定だったので、やっぱりマルニの服を着て行こうと思った。



思えば昔、ファッションニュースメンズやファッション通信の仕事をしていた頃は、デザイナーに会うときにはできる限りそのデザイナーの服を着るように努めていた。それがどれだけポーズだと思われたとしても、相手はけっして悪い気がしないことを実感していたからだ。実際、僕はマルニの服が好きなので、今回、それを着て会いに行くのは素直に気分がいい。



半年前、フランチェスコが東京に来たときにカクテルパーティがあったのだが、そのとき僕は、胸に“BALENCIAGA”とロゴが入ったブルゾンで参加した。当時いちばん気に入った服を着ていたので、それでいいと思っていたが、わざわざデザイナーを囲む会に違うブランドのロゴが目立つ服を着て行く必要はなかった。帰り道で、遅ればせながら大反省した。



そんなこともあって今回は絶対にマルニを着て行こうと決めていたので、ミラノ到着早々、マルニのショップへ向かった。モンテナポレオーネにあるマルニの店は、以前は老舗のレストランだった。肉屋さんが経営していたその店は、生ハムやチーズなどのイタリア食材を売りながら、レストランも営んでいた。



まめにミラノコレクションへ来ていた頃は、滞在中、一度か二度は必ずそのレストランで食事をした。が、今は丸ごときれいにマルニのオンリーショップへと変貌を遂げている。店へ入り、即地下のメンズフロアへ行くと、感じのいいショップスタッフに笑顔であいさつされた。が、特に話しかけてくることもなかったので、僕は集中して商品を見ることができた。



ひと目見て惚れたのは赤い中国模様のジャケット。短い着丈やパイピングなど、すべて僕好みである。これには絶対太パンが合うなと思っていたら、さっきのスタッフが絶妙なタイミングで太いパンツを持ってきた。買う気満々で来たのだから何の問題もないが、まんまと“カモ”的な展開になった。



ジャケットは最初から絶対に買うつもりだったが、それに合うパンツが欲しかったので、勧められた太パンのほかにもウールスラックスなど計4本を試した。最終的には初めに試した太パンに決定。太くてボリュームのあるシルエットだったが、素材の軽さに惹かれた。シワ加工が施されていて、歩くとなびくのがいい。デカ襟シャツはリバーシブル。表と裏で、そしてタイドアップとオープンカラーで、全然違う着こなしが楽しめるのが面白い。マルニ、やるじゃん!



(左)マルニのシャツ。裏を表にして着る場合は、オープンカラーとして着ます。中にTシャツかタートルネックのニットを合わせて、裾を出してカーディガンのように着る予定。(中)派手です。こういう中国模様のアイテムをカジュアルに着るのが好き。(右)マルニのシャツをちゃんと表側で着るとこうなる。襟がロングポイントで美しい。ボタンはきちんと上まで留めて、ポップなタイを合わせます。タイももちろんマルニ!
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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