2019.11.10

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.54 エンジニアド ガーメンツのコーデュロイショーツ|2018年9月号掲載

17歳ではいた赤いコーデュロイショーツが、僕のショーツ選びのスタンダードになった。兄のクロゼットから内緒で持ち出したそれは、左の裾に白糸で〈OP〉と刺繡ロゴが入っていた。当時はショートボードで波乗りを始めていたが、僕には才能がなく、その後は陸サーファーの道へ。ショーツに関しては西海岸テイストに傾倒した。この夏は、エンガメのショーツで乗りきります!

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僕の場合、夏にはくショーツは圧倒的に細うねのコーデュロイが多い。それは17歳のときに兄から拝借したショーツがたまたまコーデュロイだったからかもしれない。特別な思い出があるわけではないが、当時、コーデュロイのショーツにはなぜか大人っぽい印象があった。



それ以前にはいたショーツといえば、七五三にでも行くのか?といういわゆる半ズボン。今ならオジさんなのでそれもOKだが、当時はなんとなく恥ずかしかった。が、兄のクロゼットにあったオーシャンパシフィックの赤いコーデュロイショーツは、プリントTシャツやマドラスチェックシャツ、ポロシャツなど、何と合わせてもクールにはけたのである。



そのときの経験が今のショーツ選びにも影響している。イラストのエンジニアド ガーメンツのショーツ(写真左)は、丈の長さも素材感も超マイタイプのため、即購入と相成った。



蒸し暑い日本の夏には、鹿の子ポロやリネンのシャツが快適。いやいや、今やもっと進んだ優秀なハイテク素材もある。が、そちらはマイタイプではなく、僕はあくまでも天然素材にこだわりたい。



で、アメ横でひと目惚れしたのがボタンダウンの柄つきシャツだ。ハサミ、スコップ、レタス、トマト、イチゴ、そしてじょうろ。ガーデニングツールの絵柄満載のプリントに惹かれた。手紙のように、そんなに上手でもない書き文字が入っているのもいい。



エンジニアド ガーメンツのショーツと合わせるときは、裾は出してユルめに着たい。柄だけでも十分にユルいのだが、夏場は袖まくりしてさらにユルく着るつもりだ。バーベキュー愛好者がキャンプ場の調理場を仕切るがごとく着るのだ。



ニューバランス1300への憧れは、’80年代中盤頃から。すごく欲しかったのだが幾度となくチャンスを逃していた。が、この4月、偶然アメ横でM1300CLSと遭遇。その後2カ月寝かせたが、やっぱり欲しくて購入。今まで履いてきたニューバランスと比べると、シャープなシルエットが特徴だ。今回はショーツと組み合わせたが、ミリタリーパンツやスーツにも合わせる予定だ。



サングラスはティアドロップのミラーグラス。透き通ったブルーのリム部分とミラーレンズの輝きは、強炭酸水の爽やかな喉ごしみたいでひと目惚れ。実際にかけるとキマりすぎるのだが、照れずにかけたい。



ティアドロップのサングラスといえば、僕が子どもの頃、絶大なるインパクトを受けたのは、ドラマ「時間ですよ」。いつも小料理屋のカウンターで一人飲みをしている藤竜也がかけていた。あのティアドロップ姿は、当時の人気ミュージシャンの誰よりも存在感で勝っていた。



ピンストライプのスーツにティアドロップのサングラス&ヒゲ。そして、ほぼ無言で酒を飲む。子どもの頭では理解できないことが多かったが、藤竜也のその「訳あり」ムードにたまらなく惹かれた。そして、小料理屋の女将である美しすぎる篠ひろ子が彼に酒を注ぐ姿にも悶絶。開けてはいけない大人の扉を開けたような気がしたものである。



この藤竜也のティアドロップこそが、いまだに僕のナンバーワンである。まあ、ティアドロップがおしゃれなのか?といえばそれは疑問だが、でも男なら隠し球として持っていたい。とにかくかけるだけで、即ハードボイルドな謎の刑事!に変身できるんだからね。



(左)エンジニアド ガーメンツのコーデュロイショーツとプラダのミラーサングラス。どちらもセブンティーズな西海岸気分が漂うアイテム。僕は今年も陸サーファーで行きます!(中)ニューバランス1300。スクエア気味なトウの感じが好き。素足で履くのは苦手なので、素足で履いてる風に見えるインナーソックスで履きます。(右)ガーデニングはしないけど、庭道具の絵柄に惹かれた。織りネームのピンクフラミンゴもイケてる。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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