アミのスニーカーは厚底。背が高くなる! グッチのトートバッグは柔らかな質感で軽やか。ノースリーブのタートルネックはサラサラ質感。LBPT(ラグジュアリーブランドプリントTシャツ)には今季、このノースリーブシャツを合わせて着る。梅雨のジメジメした時期でもサラッと着られる。今の僕の必需品は目線が高くなるスニーカーと軽快トートバッグ、それにサラサラインナーだ。
ちょっとした縁で、ドミニク・ブシェのソース・ペアリング ディナーを食する機会を得た。冒頭、ブシェ氏は「ソースのない料理は愛のないカップルと同じだ」と言った。「うまいこと言うね〜。じゃあ、ファッションは何が欠けると愛のないカップルと同じになるんだろうか」なんて考えながら、絶品ソースのかかった料理を口に運んだ。
話は変わるが、最近、立て続けに韓国映画を見た。『タクシー運転手 約束は海を越えて』『犯罪都市』、そして『名もなき野良犬の輪舞』。3本ともすこぶる面白くて大好きな映画だった。ストーリー、映像、キャスティングが素晴らしい。
仕事柄どうしても衣装に目がいってしまうのだが、どれもストーリーと演じる役者にしっかり馴染んでいてさすがだった。衣装だけが目立ったりせず、作品の中にしっくりうまく溶け込んでいる。もちろん、時代背景への気配りも行き届いていた。「流行のファッション」などまったく関係ない映画だが、着こなしや色選びなど、ちょっとしたところに微妙なセンスを感じた。
またまた話が変わるが、先日テレビを見ていたら、クロゼットの整理整頓をテーマにした番組が始まり、つい見てしまった。ある一般女性のクロゼットを片づけるために、プロがいろいろとアドバイスをするという内容。
プロ曰く、「まず、何を捨てるかを決めるために、なりたい自分を考えましょう」。女性は男前でサッパリとした格好をしていたいと答えた。で、若い頃に着ていた肩パッド入りのバブルスーツやフェミニンなワンピースは処分。すると、ギュウギュウに詰まっていた衣類の量が減って、一気に使いやすいクロゼットになった。クロゼットがきちんと片づいていくのはうらやましかったが、でも、サッパリとした服だけが残ったクロゼットは味気なくも思えた。
僕も、インテリア雑誌に出てくるような、スッキリ片づいたクロゼットに憧れる気持ちがないわけではないのだが、実際、そんなクロゼットであったためしがない。おそらくマイ・クロゼットは、この先もスッキリすることはないだろう。なぜなら僕は服が大好きだから。よく買うし、買ったものを愛しすぎて処分なんてできないから。つまり、増える一方ってこと。
でもそれってそんなにダメなことなのだろうか。テレビに映るスッキリ片づいたクロゼットと自分のクロゼットを頭の中で比較しながら、「無駄のないクロゼットは愛のないカップルと同じだな」と思った。いやいや、負け惜しみでも何でもなくね。
さて、最近の僕の買い物で皆さんにもおすすめしたいナンバーワンは、ノースリーブのタートルネック。首元がルーズなLBPTの下に合わせるために、黒、白、クリームなど数色をゲットした。コットン100%のカットソーなのだが、編み地の関係なのか、汗をかいてもお肌サラサラで気持ちよし。この年になると、なかなかTシャツ一枚では勝負できなくなるのでこれは有り難い助っ人だ。
アミのスニーカーは、クリアなグリーンにひと目惚れ。厚底で、ちょっと背が高くなって視界が開けるのも快感。ブルーのもちょっと欲しいと思っている。グッチのトートバッグは、赤黒のチェックとエンブロイダリーが魅力。“FLORENTIA”はグッチ創業の地、フィレンツェのかつての呼称、“L’ORTO DI GIOVE”はピッティ宮殿内にあるジュピターの庭園を意味する言葉だそうだ。
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa