2019.10.27

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.43 バレンシアガのプリントT|2017年10月号掲載

閉店が決まったパリのcoletteでバレンシアガのTシャツを買った。店頭で好きなプリントの絵柄を決定、その場でたちまち出来上がる。このスマートなシステムに感動! 久々にわくわくした買い物体験だった。

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6月のパリコレ会期中、coletteに寄って買い物をした。東京に戻ると、coletteがなんと今年の12月20日をもって閉店するというニュースが流れていた。ここしばらく足が遠のいていたが、久しぶりに買い物に行ってよかったと思った。



20年前にオープンした頃は、今のように混み合った雰囲気ではなく、もうちょっとリラックスして物が見られた。当時の僕は、オープンしたてのホテルコストに泊まり、到着したらまずcoletteをチェックするのが常だった。そのcoletteがなくなってしまうのは寂しいが、結局最後の買い物になってしまいそうなバレンシアガのTシャツと出会えてよかった。



このTシャツ、まずは店に設置されたパソコンで、数百種類の絵柄や文字から自分がプリントしたいものを選び、次にプリントしたい場所が胸元なのか全体なのかを考えつつ、文字と絵柄の組み合わせをつくっていく。画面で自分のデザインを確認したら、スタッフを呼んでTシャツにプリントしてもらう。ものの5分でオリジナルのプリントT シャツが出来上がるというシステムだ。



こんなこと言ったらなんだけど、いわゆる「プリントゴッコ」の要領。選べる文字や絵柄に、デムナ・ヴァザリアのセンスが生かされているのがいい。で、それを目の前でプリントしてくれるなんて、まるでパン屋で焼きたてのバゲットを頰張れるみたいなもんじゃないか。そんな店ってなかったから、Tシャツ一枚なんだけど、出来上がってくるまでの5分間、ドキドキわくわくしながら待つのが楽しかった。



Tシャツ自体は1型でワンサイズ、白のみ。ほかにスウェットパーカもあったが、僕はTシャツを選んだ。隣にいたカップルは、デザイン選びでさんざん遊び、液晶画面に映し出されたそのデザインの前で自撮り写真を撮りまくっておきながら、結局オーダーはナシ。後ろには数名の客が待っていたのに、まったくお構いなしであった。勝手なものである。でもまあ、実際にやってみないと買いたいかどうかわからないし、仕方ない。



僕は、あらゆる場面で後ろに人が待っている、という状況に耐えられないので、文字も絵柄も瞬時に決定。即プリントしてもらった。僕の前には客がいなかったので、5分で完成した。プリントの機械を担当するスタッフはピッツァ職人みたいな風貌だった。プリンターに挟まれるTシャツが、ピッツァやパンみたいにホカホカになって出てきそうな気がした(実際、少しホカホカだった)。僕は焼き芋を持ち帰るような気持ちで、出来たてのTシャツをホテルに早足で持ち帰った。



結局僕が選んだプリントは、豹のアップショットとポップなフォントのBALENCIAGA。狙ったわけではないが、サーカスの看板みたいな仕上がりになった。背中にはバレンシアガのショップリストがプリントされている。ショップリストを商品にプリントってのが面白いね。日本にかなりの数のショップがあることをそれで知った。なぜかうれしい気持ちになった。



上のイラストでローブの中に着ているタートルニットもバレンシアガのもの。僕はタートルニットにはウルサイ。どれも同じように見えるが、首まわりのフィット感が重要なのだ。これは非常に気に入っている。ローブはシャルベのもの。基本、室内用だが、この秋、僕はアウターとして着用したいと思っている。



(左)バレンシアガのTシャツは、ソフトな素材感を生かした美しいドレープがポイント。コットンのビッグTだが、ドレスなムードが気に入っている。(中)グッチのビッグボウ。ミラノではなく、パリ・マドレーヌの店で購入。コンビのストラップシューズとポケットチーフ、それにコサージュも一気買い。(右)ひと目でわかる、LVとシュプリームのコラボレーションアイテム。迷わず黒のブリーフケースを買いました。「Su」部分が好き。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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