2019.10.13
最終更新日:2024.03.07

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.34 Gucci DIY のブラウス|2017年1月号掲載

6月にミラノで発注してから3カ月。〈Gucci DIY〉のブラウスがついに到着した。あんなに欲しかったものなのに、なぜか注文したときと今の感情には微妙に温度差が発生している!! さて、いつ、どこで着ればいいのか?

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6月にミラノのファッションウイークに行った際、モンテナポレオーネのグッチのショップに2回通った。目的は〈Gucci DIY〉。一定の商品に、刺繡やトリム、イニシャルなどを入れてカスタマイズできるという新しいプロジェクトだ。



初回はショーの合間の時間つぶしを兼ねての下見。2度目は下見で目をつけたスーツやブラウスを「買う気満々」で再訪した。スカジャンやライダースジャケットにつける派手なワッペンのディスプレイを横目に、僕は奥のスーツとブラウスのコーナーへと向かった。



ハンガーに掛かったジャケットに触れるや否や、いきなり試着。スーツは僕好みのウールモヘアを使ったダブルとシングルの2型あり、裏地の柄が何種類かから選べる。スワッチブックには大胆な花柄やポップな幾何学模様など、アレッサンドロ・ミケーレ好みのぶち切れたパターンが贅沢に並んでいた。



スーツのシングルとダブルをそれぞれ試していると、スタッフが「それらは頼んでから5~6週間で日本に届く」と説明してくれた。話を聞きながら、「となると、8月はイタリア人のビッグバカンスだから、届くのは結局9月だな」と思った。



すぐに届かないのならば、〈Gucci DIY〉の初トライは、スーツのような大物よりもブラウスのような軽いアイテムから試すのがいいと思った。軽いとはいえ、シルクのブラウスだから、お値段は軽くない。が、もちろんスーツよりは軽い値段だ…。



僕の目当てのブラウスコーナーには、ラック2本に30種類ほどのデザイン違いのサンプルが掛かっていた。そのうち二つの柄を気に入って試着。最終的には、ワインのラベルになってもおかしくないような絵が描かれた柄を選んだ。



背中にお城が描かれ、胸側は城を囲む森になっている。裾にはグッチのトレードマークである紺×赤のリボン柄が使われている。ネックのリボンはボルドー。このリボンは色が選べる。固結びで着るのはクールだが、僕は今、これを蝶結びで着るのに夢中。断然蝶結びの気分なのである。



アレッサンドロ・ミケーレがクリエイティブディレクターになって以降、グッチの展開がとても興味深い。モードブランドとしての地位を取り戻しつつある。以前、トム・フォードがグッチを復活させたときの衝撃以来の出来事ではないだろうか。



そのトム・フォードは今も現役でフロンティア街道をばく進中。最近の僕のクローゼットは、ほぼこの2ブランドが占拠している。さりげなさと華やかさが同居した〈トム フォード〉のスリーピースルックと、きらびやかさと軽やかさが同居するグッチのラウンジスーツルック。それらが僕の現在のワードローブの中心だ。



さて、新たに届いたグッチのリボンブラウスはどう着よう? ミラノで頼んだときには一体どう着るつもりだったのだろうか。すっかり忘れた。あれほど感情が盛り上がったのに。多分、ただひたすらブラウスの柄にシビレて衝動買いしたのだと思う。



とりあえず、一枚で着るにはすでに寒い季節になってしまったので、ここは気を取り直し、タートルネックセーターを下に着て、その上に合わせてみた。パンツはシルクブラウスをドレスダウンさせたくて、マイアーカイブから取り出したマルニの色落ち七分丈ジーンズを合わせてみた。いかがなもんでしょう。



(左)〈トム フォード〉のミッドナイトブルーのシャツ。シャイニーな素材感がいやらしくて好き。NY店で購入。(中)背中にお城が描かれた王子ブラウス。リボンの色は何種類かから選べたが、サンプルのとおり、ボルドーで。イラストのように色落ちデニムと合わせるのも気分だが、ミッドナイトブルーのベルベットパンツにも合わせる予定。(右)トリプルソールの武骨な作りに惚れました。〈マッキントッシュ〉が〈エドワード グリーン〉に別注した逸品。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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