2019.10.06

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.28 ミラ・ショーンのパジャマ|2016年7月号掲載

寝るときは断然パジャマ派である。で、最近の大ヒットがこのパジャマ。日本製の〈ミラ・ショーン〉で綿100%だ。袖丈やパンツ丈のサイズ感が完璧で、柄とデザインも今の気分であ~る。パジャマパーティ~、よろしく!

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ロサンゼルス、ローマ、ロンドンと、一カ月の間に「ロ」で始まる3つの都市に行った。僕のパスポートは今年の年末に期限が切れるので、もうスタンプを押すスペースはほぼない。でもあと半年のために査証ページの増補をするのも嫌で、なんとかこのまま乗り切りたいと思っている。



先日入国したヒースロー空港のイミグレーションでは、審査官に「もういっぱいじゃないか」と2度ボヤかれた。彼はため息交じりにページを何度もめくり、結局スタンプがぎっしり押されているその上にドン!と押した。イミグレーションの審査官は、どこも曲者が揃っている。



曲者といえば、わが家にも一人いる。この春、晴れて浪人となった息子である。彼は塾へ行く以外、基本的には家にいるのだが、家での格好はパジャマと決まっている。パジャマで寝て、パジャマで起きて、パジャマで食事。パジャマで勉強して、パジャマでゲームを愉しみ、風呂に入ったら別なパジャマに着替えて寝る。その昔、中村雅俊主演のドラマに万年浪人の居候がいたが、確か彼も四六時中パジャマか浴衣だった。なんだかまるで入院患者のようでもある。



そんなわが家の曲者の格好を「あ~あ」と思って眺めているが、半面、うらやましさもある。実際、僕も休日は一日パジャマでいたりする。なにしろラクだし。モード界でもパジャマが話題だが、いつでもどこでもパジャマでOK、なんてことになると服の価値も相当変わると思う。



素敵なバーやレストランに行くときは、贅沢な素材で誂えたパジャマにスモーキングコート。ドライブするときは、肌触りのいい起毛コットンのパジャマにエルボーパッチをつけたりして。夏のビーチではトロピカルカクテルにストローハットが似合うアロハなパジャマ。海島綿にプリントをのせた素材なんかがいいよね。かしこまった茶室では、渋い焦げ茶のリネンのパジャマに同素材のかぶりもの…とかね。



パジャマは携帯しやすく着替えも簡単なので、場所や時間によって、一日に何度も着替えるのも可能かもしれない。それらを和服のように風呂敷に包んで持ち歩く。そんなこんなの、ユルくて楽ちんなパジャマ帝国への妄想は果てしなく広がっていくのである。最近はラグジュアリーブランドもパジャマを外で着るという提案をしているし、僕の妄想が現実になる日も近いかな? 待望、ビスポーク・パジャマ!



さて、旅の多い僕にとって、パジャマは重要な必携品の一つである。外国ではホテルに浴衣なんて置いてないからね。仕事で行くと、ホテルなんて「寝るだけ」ではあるけれど、結局睡眠時間を削ってメールのチェックをしたり、原稿を書いたりと、室内であれこれすることも多い。だから、ぐっすり眠れて部屋着としても快適な上質のパジャマは必需品だ。



で、これがなかなかない。ロンドンの老舗テイラーのパジャマは素晴らしく素敵だけど、なにせサイズがてんで合わない。オーダーすればいいのかもしれないが、パジャマに6万も7万もかけるのもねえ…。と思っていたときに見つけたのがこれ。日本製なので日本人サイズ、ってところがまずナイスだし、素材の質感が最高なのだ。熟睡できる。突然ルームサービスが来ても自信をもって出られるし。今のところ、マイ・フェイバリット・パジャマはこれに決定なのである。



(左)僕の幸運色であるパープルベース&ピンクのドット柄。ネイビーのパイピングがエロい配色を落ち着いた雰囲気にしてくれている。(中)タッターソールのタイプは、シャツの裾がラウンドになっていて、二つのポケットは一日家でゴロゴロするときに重宝しそう。(右)パープルベース&ピンクのドット柄の色違い。ネイビーとブルーでシックです。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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