2019.09.22

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.17 NYで買った自転車Tシャツ|2015年8月号掲載

3月に本誌の撮影でニューヨークへ。到着早々、自転車店で買ったのがNEW YORK×自転車Tシャツだ。今年は大量にTシャツを購入中。蒸し風呂のごときアジアな夏を、Tシャツのレイヤードで乗り切るぞ。

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とりあえず、息子への土産にしようと思って手に取ったTシャツだったが、「待てよ、俺も着るかも」と2枚買いした。その店へは撮影に使う自転車を借りに行ったのに、店に入って最初に僕の目に飛び込んできたのはこのTシャツのロゴだった。商売っ気のない適当なディスプレーと、これまたやる気のなさそうなスタッフのオフビートな感じがまさにNY! 日本人にはとても真似ができない雰囲気である。



で、このTシャツを日本に持ち帰り、そのまま寝かせること2カ月。ゴールデンウイークに、クローゼットの整理でもするかと重い腰を上げたら、「おお! こんなところにいたのか」と久々の再会を果たした。今年もゴールデンウイークは真夏の天気だったので、早速このTシャツに着替えた。目の前にあった〈バリー ブリッケン〉のネイビーチノを合わせて。



今季は、〈バラクータ〉のG9や〈バリー ブリッケン〉のチノパンツ、〈ジェイエムウエストン〉の「ゴルフ」など、彼女の言うところの「オジサンくさい格好」が密かなマイ・ブームだ。ベルトは〈トッド スナイダー〉で、これまたオジサンくさくミリタリー調。個人的にはこの“懐かしい感じ”が新しいと思っているのだが、「オジサンがオジサンっぽい服着ても、当たり前のオジサンにしか見えない」と彼女に言われた。



もちろん僕も50歳となり、立派なオジサンなのだが、それでもオジサン「くさい」と言われるのには抵抗がある。「くさい」って何だよ、「くさい」って。基本的に、オジサン服というのは(って、そんなカテゴリーはないけど)、いわゆる定番と呼ばれる服を指す。そういうアイテムをオジサンじゃない年代が身につけて「なんか落ち着いちゃったね~」みたいな感じがオジサン「くさい」ということなのだろうか?



僕はファッションには常に鮮度が必要だと思っているが、懐かしさもまた、その鮮度の重要な要素だと思う。そこに価値を見いだす男心を「オジサンくさい」と言われるのはなんともトホホである。でもまあ、あらためて高倉健さんはすごかった。〈バラクータ〉のG9を着て立つ姿は、もちろんオジサンではあったがおじいさんではなかった。享年83歳と聞いて驚いた。83歳になっても、健さんは全然おじいさんには見えなかった。



さて、このTシャツ、オジサンアイテムと合わせて着ていると、僕よりひと回りくらい上のオジサンやオバサンによく褒められる。「ブランド名は?」と聞かれ、それで初めてタグを見たら、〈ザ・ペダルプッシャーズクラブ〉というのだとわかった。つまり、自転車を愛する人たちのためのブランドってことだね。自転車は、僕も1台所有しているが、実際に乗るのは2年にー度くらい。ブランドの思惑とは大きく外れているわけだが、手持ちの服ともよく合い、買ってよかったと満足している。



ちなみに息子は、「ああ、ありがと」と受け取ってくれたが、一度も着ているのを見たことはない。来年まで寝かす気なのだろうか。



(左)〈シュプリーム〉のバスローブ。撮影現場でメイク中のモデルに使おうと思っている。(中)ひと目惚れのTシャツ。息子はなぜ着てくれないのか?? 親子ペアルックが嫌なのか? (右)〈トム ブラウン〉のカシミヤTシャツ。バックネックにはトリコロールリボンがついてます。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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