昨年の秋から続くマイ・トレンドに、「ラウンドネックのトップス」がある。この秋も数点すでに購入ずみなのだが、ラウンドネックで気になるのは首元。そのままストンと着るのもいいけれど、首元から「何か」を見せるのもいいよね。
スウェットシャツとクルーネックセーター。子どもの頃から着慣れたアイテムではあるが、僕の場合、その時々で選ぶサイズやデザインのテイストが変わるので、実はまったく同じアイテムをリピートして着るということはない。たまに、「学生時代と同じブランドの同じセーターをずっと何回も買い替えて着てるんですよ」という人がいるが、「へ~」とうらやましく思う半面、「僕には無理だな」と思う。
今回、僕が着ているラウンドネックのトップスは、スウェットシャツ風ではあるが厳密には違う。素材は柔らかくて触ると若干バウンドする感じのボンディングタイプ。素肌に着たら、重さを感じないくらいエアリーなアイテムだ。たとえるならアスリート系ブランドのような着心地なのだが、なんとこれはヴァレンティノのシャツである。
実は最近、自他ともに認めるヴァレンティノ狂になっていて、かなりいろいろなヴァレンティノアイテムを購入している。なんでまたそんなに買うのかといえば、「プレタなのに頭抜けた高級感があるから」。ヴァレンティノに内在するオートクチュールのDNAが、そのままプレタにも受け継がれているのだ。
イラストのスウェットシャツは、当然のことながらオートクチュールには登場してこない。でも着心地はオートクチュールなのだ。着る人の気持ちを、確実にワンランクアップさせてくれる。つまり、ある意味、このスウェットはオートクチュール級のスウェットといえると僕は思うのである。
スニーカーはトム フォード。素材はカーフだが、コードバンのような上品な艶と存在感がある。一応、スニーカーではあるが、僕はいつも、脱いだら木製シューキーパーを入れ、特別な一足として大事にしている。
スニーカーといえば、『コンバース』のオールスターも買った。オールスターを買ったのは高校1年のとき以来だから、なんと30年以上ぶり。普段は素通りなのだが、今回は美しいマスタードカラーにひと目惚れしてしまった。が、在庫があったのはサイズ11のみ。僕はサイズ9なので明らかにオーバーサイズだが、どうしても欲しくて買ってしまった。イブニングスタイルに合わせてドレスダウンするってのはどうだろう?
プラダのクルーネックセーターは、タイトに着たくて通常より1サイズ小さめを選んだ。パープルのセーターを着るのは生まれて初めて。グレーとのツートーン構成にも刺激されてしまった。このセーターに合わせようと思い、パープルの5ポケットパンツも買ったのだが、家に戻って上下で着てみたら、「なんということでしょう!」、まったく合わない。店で試着したときには「お! いいね」と思ったのに…。まあよくあることだ。
セーターに合わせた細いマルチカラーのマフラーはアクセサリーとして重宝しそう。9月に入ると、まだ暑いのにあれこれ秋冬のワードローブを考える。暑くてコートなどの重衣料は試着する気にもならないのだが、そんなことを言っているうちに欲しいアイテムはどんどん売り切れていく。最近僕はそんなとき、「縁がなかった」と思えるようになった。これは成長したということなのだろうか。それとも単に退化したのであろうか!?
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa