2022.12.01
最終更新日:2024.03.08

祐真朋樹の密かな買い物 |Vol.100 スタイルがあるということ

祝! おかげさまで連載100回目を迎えました。キリよく、今回が最終回であります。毎日の超私的な出来事とそのときの心境などをあれやこれや楽しくコラムに記してきました。面白く読んでいただけたでしょうか? 僕はこの先もファッションに携わりながら、文を書いたり写真を撮ったり服作りしたり。今後も見守っていただけるとうれしいです!

祐真朋樹の密かな買い物 |Vol.100の画像_1

 エリザベス女王が亡くなられた。続々と追悼番組が組まれ、僕もついつい見てしまったのだが、女王には紛うことなき威厳があったし、女王たるゆえんがあった。それをつくり出している理由の一つは、ファッションだったと思う。女王は何を着ていても、どんなアクセサリーをつけていても、すべて自分のスタイルにしていた。もちろん衣装を用意する人はいるのだろうが、何を身につけても、けっして “コスチュームプレイ”には見えなかった。いつだって本物ならではの威厳と風格に満ちあふれていた。そしてそこには、常にあのチャーミングな笑顔があった。「自分らしく生きる」ことの素敵さを教えられた気がする。



 さて最近、僕の生活はゴルフを中心に回っている。いまだにスコアがギリ100…というのは微妙だが、半年以上教えていただき、ゴルフの面白さを再確認させてくれた師匠には感謝してもしきれない。ゴルフに関してはエラそうなことを言える立場ではないが、プレイ時の格好にも日々頭を悩ませている。マナー違反にならず、しかもおしゃれないでたちを極めたい。個人的にはキャップよりもハットのほうが似合うと思っているので、最近は気がつけば「いいハット」を探している。ハットの難点は風に飛ばされやすいこと。特にグリーンでパターを構えたときに飛ばされることがよくある。そんなことが続くと集中力が途切れるので、キャップをかぶることも増えていた。そんなとき、タイミングよくひも付きのエンジニアド ガーメンツのハットに出会った。雨にも強い素材なので言うことなしである。



 僕は普段の服選びと同様、ゴルフウェアも機能優先で選ぶことはできない。見た目がよくて、何か蘊蓄のあるようなものに惹かれてしまう。さすが歴史のあるスポーツだけあって、道具の魅力も奥深く、クラブの素材など、こだわりだすと本当にキリがない。が、とりあえず実力がつくまでは趣味性の強いクラブに手を出すのは我慢。パターカバーだけを買うことに。スタイリストの野口強さんに教えてもらった、目黒区八雲にある「VOX GOLF OF AMERICA」には、ピンやアーノルドパーマーなど、ほかの店にはないしゃれたクラブカバーが揃っていた。プレイ中、ついゴルフバッグからのぞくクラブカバーに目がいくと、スタイリスト心をくすぐられるのである。



 ところで、クリエイティブディレクターを務めている「ランバン コレクション メンズ」の表参道店が9月17日にオープンした。今もビルの外装工事が続いているのだが、一歩ずつ素敵な店にしていきたい。秋冬コレクションでいちばん気に入っているのは、黒地に白いドット柄のビッグボウブラウス。秋になったら、ベルベットのジレ&パンツと合わせて着るつもりだ。同じランバン コレクション メンズのネクタイは、芯なしで薄く、シルクの柔らかさにこだわった一品。風になびくスカーフのような、軽やかなタイを作りたいと思ったのだ。結び目は小さくして剣先は広く、というような通常のネクタイとは対極に位置するエレガントなタイ。これはまさに会心の一本です。ランバンのエンブレムが入っているのも好きな点の一つ。襟がロングポイントの白いシャツに合わせて着るのがおすすめです。



 それでは8年に及ぶ長期連載、ご愛読ありがとうございました。また、いつかどこかで。

(左)ピンのパターカバーは黄色いパイピングにひと目惚れ。エンジニアド ガーメンツのハットは、ナイロン素材だが耳当て部分の内側がコットンでできているのでとても快適。(中)ベルベットジレとの合わせがポイント。今季のビッグボウブラウスはキュプラとレーヨンを使いました。(右)ネクタイはブラックのほかに、ミッドナイトブルーとレッドもあり。この秋はしなやかに、新しい着こなしをどうぞ!
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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