2022.07.03
最終更新日:2024.03.07

祐真朋樹の密かな買い物 |Vol.96 チェットのオープンカラーシャツ

仕事でも遊びでも、一生懸命な姿は美しい。そんな「一生懸命になれる遊び」を見つけた。なんとゴルフ! 今さらだが、プレイに目覚めた。これまで、聖地セント・アンドリュースをはじめ、ハワイ島にあるフアラライ ゴルフコースなど、海外の素晴らしいグリーンも経験してきたが、今ほどうまくなりたいと思ったことはなかった。目標は、「還暦を迎えるまでに80切り」である!

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 ゴルフブームが到来していると思う。都内のゴルフ練習場や、東京近郊のゴルフ場が軒並みにぎわっていて、昔ながらの愛好者から若い世代まで、たくさんの人たちがゴルフを楽しんでいるのだ。



 僕のゴルフ歴は、長すぎるブランクもあるのだが、初体験は高校3年生のとき。つまり、かれこれ40年くらいになる。が、何事も長くやればうまくなるというものではない。ずっとちゃらんぽらんにやってきた結果、初体験時のスコアが135、つい最近が121。驚くべきスロー進化である。一時期、92なんかが出たこともあったが、それももう、昔話だ。向いてないのだからもうやらなきゃいい、と思っていたのだが、去年の暮れ、ひょんなことからコンペのお誘いを受け参加したところ、僕にとってのゴルフ開眼元年となった。一緒に回った同年代のメンバーの中に、一人、僕と似た境遇の人がいた。つまり、経験は長いがスコアはキビしいという人。本気で頑張った時代はなく、下手なまま今日まできたというパターンの人だ。そして、もう一人、腕前はプロ級で教えるのも抜群にうまい、僕よりちょっと年上の先輩(以下、「師匠」)がいた。師匠は自由自在にボールを操る。ドライバー、アイアン、ユーティリティ、そしてパターをうまく使って、あの小さいボールを飛ばしたいように飛ばし、転がしたいように転がすのだ。その師匠が、僕に似た人を教えていた。その姿を見て、僕はこの師匠に弟子入りしたいと強く思った。師匠は快く受け入れてくれて、僕にもこれ以上ない完璧な指南をしてくれた。僕の癖や力量を把握したうえで、クラブまで選んでくれた。この師匠との出会いにより、僕の中に「ゴルフに真剣に挑もう」という気持ちが芽生えた。今や、寝ているとき以外は常に頭の中にゴルフスイングのイメージがある。グリップの握り方、足裏の重心、膝の曲げ具合…。師匠が教えてくれたすべての注意点が頭の中でリフレインしている。



 何かに一生懸命になれることは素晴らしい。まさかこのタイミングでゴルフに夢中になるとは思っていなかった。まずは普通に100を切れるように頑張りたい。そして、ゴルフ場におけるファッションも大きく進化するといいな、と思っている。言い訳じみた話になるが、僕がいまひとつゴルフに本気になれなかった理由に、ゴルフウェアの問題がある。ゴルフには、スポーツの側面と、レジャー&社交の側面がある。ウェアも含めて、その時間を楽しめるようになればいいと僕は思うのだ。ゴルフウェアとはうたっていないのだが、僕がディレクションをしている「ランバンコレクション メンズ」では、クラブハウス→コース→アフターゴルフに着られそうな、おしゃれで格好いい服を一部提案している。単に機能性だけではない、おしゃれなゴルフスタイルを模索中なのだ。



 イラストで着ているワコマリアのオープンカラーシャツは、名盤『チェット・ベイカー・シングス』のジャケットをプリントしたもの。このアルバムを知ったのも、ちょうどゴルフ初体験と同じ40年ほど前だ。ゴルフ場でこのシャツを着るのは許されないだろうが、マフィア映画のように、陽気にこんな格好をしてコースを回ってみたいものだ。ゴルフファッションは、まだまだ未開の地。格好いいゴルフスタイルを公私ともに目指したいと思う。

(左)ランバンコレクション メンズで作った「PARIS SWING TOP」。撥水性、透湿性に優れた素材を使用し、袖つけをスプリットラグランにしてスイングしやすくしています。(中)『チェット・ベイカー・シングス』のジャケットが大胆にバックプリントされたオープンカラーシャツ。インナーにヘインズの白Tを合わせて着る予定。(右)師匠と同じエリートグリップ。ヘッドの★柄に惹かれて真似しました。何ごとも形から入ります!
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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