「自分は特別なファションの知識なんてないし、けっしてスタイルがいいわけでもない。言っちゃえばただの素人」と語る腰の低さとは裏腹に、UOMO誌面で披露する着こなしや私服への反響の高さと着たら! 「いま大人が最も憧れる大人」、アートディレクター藤村雅史の実態に迫る!
VEST : GRAPHPAPER SHIRT : JOHN SMEDLEY PANTS : MARNI SHOES : SALVATORE FERRAGAMO
――今日の服装のテーマは?
テーマは「藤村雅史」。今日は特集の扉ページの撮影と聞いてどうしようか悩んだんですが、結局、普段の仕事着で。グラフペーパーのグレーのニットベストに、マルニのデニムパンツ、ビットローファーはフェラガモ。カジュアルでリラックスできるのが自分らしいスタイル。チャームポイントは白髪。分け目は狙い。逆分けだと本当に真っ白だけど、こっち分けだといい具合にごま塩感が出ていいんです。メガネと靴は黒で締めて。スメドレーのシャツの袖のボタンを外してるのは、作業時に袖が汚れないようにまくれるためです(笑)。
――誌面での私服の反響について、率直にどう思う?
それが、なぜ読者からの評判がいいのか自分でも本当にわからなくて。なんとなく…常になんとなくでやってきたので。そういう意味ではまったく力んでいない。頑張らないし、こだわらない。それが今の時代に合ってウケているのかな? 今回の特集だってありがたい反面、自分なんかでいいのか戸惑ってます…。
――服だけでなく作業机もしゃれてます。
イタリアの家具メーカー、ザノッタのレオナルドデスクと、ハーマンミラーのアーロンチェアは、34歳の頃、アートディレクターとして独立後、初めて事務所を開いたときに買った思い出のもの。机は5、6台持っていたけど、いろんな人にあげてしまって、残っているのはこの1台だけ。天板は合板ですがしっかり重量感があってたわまないし、とても丈夫。アーロンチェアも同じく「独立したら絶対これを買うんだ」って。どちらも長い間、僕の相棒。仕事道具でも服でもいいものは長く使える、これ本当なんです。
1962年神奈川県生まれ。’96年より藤村雅史デザイン事務所代表を務める。現在は『UOMO』をはじめ、集英社の男性・女性ファッション誌6誌のアートディレクションを手がける。
Photos:Yuhki Yamamoto
Special Thanks:Mellemau Resort