多くの服に袖を通してきた大人たちには、必ず原点となる思い出の一着がある。「大人にしてくれた服」との出会いに耳を傾ければ、洋服を着ることの楽しみを再発見できるはずだ。「大人の階段を上るというのは、ネクタイを結ぶことにある」という原宿CASSIDYのバイヤー、八木沢博幸さんにとってのそれは、ルチアーノ バルベラのニットタイだ。
LUCIANO BARBERAのニットタイ
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「ニットタイを締めるようになって、ようやく本当の大人になれたんだと思います」
八木沢博幸さん/原宿CASSIDY バイヤー
「やはり大人の階段を上るというのは、ネクタイを結ぶことにあると思います。アメリカのトラッドに影響を受けてきたので、シルクタイはいろいろしてきましたが、ニットタイはおじいさんのようなイメージがあって、なかなか身につけてきませんでした。でも30代半ばで、イタリアのルチアーノ バルベラのニットタイに出会ったんです。アルパカを使った手編みで、いい意味でイタリアっぽさがない素朴な佇まいに惹かれました。このクラシックなタイをつけたら、さらに一つ階段を上ったように感じたんです。また、それまでアメリカ一辺倒だった自分に、いろいろな国のアイテムをミックスする楽しみを教えてくれたのもこのニットタイです。今はもう60過ぎの立派なおじいさんなので、逆にハマりすぎてしまうのかな(笑)」