多くの服に袖を通してきた大人たちには、必ず原点となる思い出の一着がある。「大人にしてくれた服」との出会いに耳を傾ければ、洋服を着ることの楽しみを再発見できるはずだ。漫画家・渋谷直角さんにとってのそれは、ファッションの面だけでなく恋愛面でも大人にしてくれた、Ready Steady Go!のレコードバッグ。
Ready Steady Go!のレコードバッグ
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「ファッションとしても男としても僕を目覚めさせてくれたきっかけです」
渋谷直角さん/漫画家
「アメリカフリークの父親の影響でアメカジスタイルをしていた僕は、高校3年生のときにUK音楽のブームから服装もモッズにシフト。そんなときに、モッズを着こなすおしゃれな同級生の女の子がカッコいいレコードバッグを使っていて、どうやら代官山にあるレディ・ステディ・ゴーで買えるとわかったんです。このお店はロンドンの音楽やファッションをいち早く紹介していて、ベンシャーマンやロンズデール、フレッドペリーを扱っている聖地でした。当時は中古レコードを買うのがおしゃれで、原宿や渋谷、さらに代官山に買い物に行くなんてもう時代の最先端という感じ。そんなトレンド感をさりげなく、そして一気にアピールできるのが、このロゴ入りのレコードバッグだったんです。今思えば、僕のファッション的な自我を芽生えさせてくれたんだと思います。ちなみに、僕におしゃれの目覚めを経験させてくれた同級生の女の子とは、その後付き合うことになり、恋愛面でも大人になることができました(笑)」