「私服」って、その人となりを、時にその人自身より雄弁に物語ってくれるもの。それは万人の目にオシャレに映るものではないかもしれないし、理解されないこともあるかもしれない。でも、どうだっていい。だって「好き」なんだから! エンジニアド ガーメンツ デザイナー 鈴木さんにとっての、至福の私服は?
【鈴木大器さん愛用品はこの7アイテム!】
1.エンジニアド ガーメンツのコーデュロイショーツ
「相当前のものですが、いろんなところを直しながらガンガンはいています。ボロボロですけどね(笑)」
2.ポロ ラルフ ローレンのパックTシャツ
「25年間同じクラシックフィットを愛用。形が変わらず、リブの細さや、横のシームがないのもいい」
3.フィルソンのマウンテンパーカ
「このパーカは何度も洗っているからオイル加工がどこかへ行っちゃった。それでも着続けていますよ」
4.アークテリクスのフリース
「アークテリクスが出始めた1994年頃のもの。人間工学的なパターンが当時は珍しかったですね。この前LAのショップにこれを着ていったら、店員が全員寄ってきて『オールドスクールでかっこいい』と」
5.古着のフランネルチェックシャツ
「普通のネルシャツと違い、これはプリントのチェックというのがかっこいい。今では手に入りにくい」
6.リーバイス®の501® XX
「’84年くらいに友人からもらったときはブカブカだったのに今ではぴったり(笑)。はくのは1年に1回くらい。ジーパンは何十本と持っているけど、時に『これじゃなきゃいけない』という日があるんですよ」
7.ギットマン ブラザーズ別注の柄シャツ
「’89年にアメリカに来て、翌年に初めてやった仕事。マドラスチェックの上にプリントというのがいいでしょう。もう一枚はアニマル柄。29年前にこんなシャツを作るなんてギットマンの人たちも驚いていた」
「最初はそれほど気に入っていなかった服ほど、不思議と後々好きになる。とっつきにくかったもののほうが最終的にはより愛着がわくというか、その服のよさが徐々に見えてくる。それが勉強にもなるんですよ」
鈴木さんがNYのアトリエで見せてくれたのは、10年以上は着続けている年季の入ったアイテムばかり。
「こういう服って、洗濯して乾燥機にもがんがんかけるから繊維が“燃え尽きている”ものが多いんだけれど(笑)、それでもやっぱり着たくなりますよね」
ずらりと並んだお気に入りのワードローブはほとんどがアメリカのもの。エンジニアド ガーメンツのテイストを考えると当然といえば当然だ。しかし今のスタイルに行き着くまでに、実はこんな変遷を辿ったそう。
「中学生になると自分で服を買いたくなるでしょう。それでメンズクラブやVANにどっぷりハマりました。16歳まではアイビールック。そこからブレずにいくと思いきや、高校の終わり頃から今度はコム デ ギャルソンばかり着るように。以来デザイナーズ一直線だったけれど、清水(慶三)さんとネペンテスをやり始めてアメリカもののよさを再発見していった感じです。さすがにこの先はもう変わらないかな(笑)」
DAIKI SUZUKI
1962年青森県生まれ。’89年に渡米。NYのネペンテス アメリカを拠点に’99年にエンジニアド ガーメンツを開始。2008年にCFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞を受賞。
Coordination:Yumi Komatsu
Interview&Text:Kai Tokuhara