「私服」って、その人となりを、時にその人自身より雄弁に物語ってくれるもの。それは万人の目にオシャレに映るものではないかもしれないし、理解されないこともあるかもしれない。でも、どうだっていい。だって「好き」なんだから! 欲しがりな大人男子の、至福の私服をクローズアップ!!
N.HOOLYWOODデザイナー 尾花大輔
これまでの自分にはなかった新しい買い物のあり方かも
尾花さんが最近もっぱら買い続けているというマイアミのスケートブランド「Andrew」。現地に店が一軒あるだけの、若いスケーターたちが手がける小さな日本未上陸ブランドだ。
「このブランドを最初に見つけたのはインスタ。単純にグラフィックの文字がいいなって、自分の中で妙に引っかかったんですよ。そこから頻繁にネット買いするようになりました」
古着やミリタリーに造詣が深く、N.ハリウッドでも毎シーズンさまざまな歴史や文化を深く掘り下げたコレクションを展開する尾花さんだけに、そんな買い方ってちょっと意外だ。
「自分がこれまで大切にしてきたプロセスと“全然違うあり方”に興味があって。今の若い世代ってブランドの出自や背景どうこうで服を買わない。その感覚を自分のスタイルに置き換えられたら面白いんじゃないかと。Andrewのことは本当は教えたくなかったんですが(笑)、そんなフィーリングを大人世代にも伝えたいと思いました。“掘る”だけが男のトラディショナルではなく、雰囲気的に惹かれたものを直感で買うことも自分の中で大切にしたい。服を作る人間としては、若者の動向を追い続けるという意味でも新鮮な発見が多いですよ」
「日本で売っていないこと自体は価値とはあまり関係ない。僕はみんなが着ているものでも平気で着ちゃいますし、“レアだから”という価値観はもっていないので。Andrewを買い始めてSNSをこまめにチェックしていると、彼らの周辺の仲間や関係の深いクリエイター、スケートブランドなんかがバンバン出てくるんですよ。そこが’90年代の裏原に近い感じがして興味深いなって。とは言いつつ、いろんなブランドに手を出すのではなく、こうやっていいなと思った一つのブランドをひたすら買い続けるスタイルは自分らしいなと」。
DAISUKE OBANA
1974年神奈川県生まれ。古着店のバイヤーなどを経て2001年にN.ハリウッドを設立。’11年からNYにコレクション発表の場を移す。10月には8年ぶりの東コレ参加が話題を集めた。
Interview&Text:Kai Tokuhara