ザ・ノース・フェイスのダウンジャケットの中で、いざ買うとなると迷ってしまう2枚看板が「ヌプシジャケット」と「バルトロライトジャケット」だ。双方を徹底比較すべく、編集部員のY神とH條がプレスルームで試着ルポを試みた。
さあ、冬本番。ボーナスもゲットして、人気のダウンジャケットを狙っている「THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)」ファンも多いことだろう。だが、2枚看板ダウンである「Nuptse Jacket(ヌプシジャケット)」と「Baltro Light Jacket(バルトロライトジャケット)」、どちらも完成度が高すぎて選べないという声も聞く。
プレス嶋田:私がお手伝い致します!
そこで、編集部員のY神とH條が「ザ・ノース・フェイス」のプレスルームで試着ルポ。ムロフィスのプレス マネージャーを務め、ホライズンレッドのバルトロライトジャケットを颯爽と着こなす嶋田哲也さんに、選択の基準となるスペックの違いと心構えを伝授してもらった。
Y神:そういえば去年も結局、迷って選べなかったんだよね。あれ? H條さんはいずこ?
ダウンがたっぷり入ったバルトロのスリーブとフードを手でモミモミするH條。見た目はボリューミーだが、サンプルのLサイズで約940gと意外と軽い。日本ではXXSからXXLまでのサイズ展開で、ハーバーブルー、ホライズンレッド、ニュートープ、ブラック、ラピスブルー、バナディスグレー×メルドグレーの6色展開。
Y神:そうでした。30周年特設サイト「東京の『ヌプシスト』たち」もぜひチェックしてください!
プレス嶋田:私が手にしているヌプシはどちらも同じブラックですが、右手のほうが防風性と透湿性に優れた「GORET-TEX INFINIUM(ゴアテックス インフィニアム)」素材でアップデートした新作の「GTXヌプシジャケット」で、左手のほうが今秋冬からサイジングが変わった2022年度バージョンの「ヌプシジャケット」です。手に触れた際の質感も、GTXヌプシが30デニールで、通常ヌプシが50デニールと違います。ちなみにデニールとは繊維の太さの計量単位になりまして、「1デニール=9,000メートルで1グラム相当の糸」を意味します。
H條:あっ。このチョコレート色、Y神さんが夏から気になっていたヌプシですよね?
Nuptse Jacket
カラー:ダークオーク / ¥37,400
165cm・60kgのY神、サンプルのLサイズを試着。XLがマイサイズのY神だが、ヌプシの特徴的なディテールであるスタンドカラーを上まで締めても窮屈そうには見えず、着丈もベルトまで覆われている。
H條:嶋田さん、2022年秋冬にマイナーチェンジしたサイジングはどのあたり?
プレス嶋田:身幅と袖丈が2サイズ大きくなりまして、着丈が1サイズ長くなりました。
H條:そうそう。ヌプシって、身幅が狭くて袖丈と着丈も短い正方形の印象でしたよね。古着で本国のビッグサイズを買おうにも、首周りが開きすぎてマフラーを入れなきゃ寒かった記憶があります。
プレス嶋田:茶色のカラーは公式には「ダークオーク」です。ファスナーも同じトーンで、ホワイトの「THE NORTH FACE」の刺繍が引き立ちます。
H條:このダークオークはブロンドヘアと相性もよいようで、映画『ゴーン・ガール』(2015年)で本格的に女優業に進出したファッションモデルのエミリー・ラタコウスキー(31)が着ています。コメディアンのピート・デヴィッドソン(29)とのバスケ観戦デートでのヌプシスナップが、海外セレブネタとして12月にSNSで拡散されていました。彼女は今年7月に離婚したばかり。
Y神:これください。
プレス嶋田:えっ。バトルは!?
H條:推し対決的な。漫画『ろくでなしブルース』で例えますと、正道館高校(池袋)の葛西と極東高校(大阪)の川島が仮に闘ったらどっちが勝つか考察するような夢バトルですかね。
Y神:ふわっとしとる。ダウンみたいに。
なぜかワクワクしてしまう「ヌプシ vs バルトロ」。比較検討しやすいよう、同じ「バナディスグレー×メルドグレー」を選択。店頭で購入を迷う大人男子が続出しているという共通カラーだ。さあ、対決!
Y神:遠近感が変だよね。
プレス嶋田:あきらめてそこで試合終了。
勝敗の決め手はマッチョ感。バルトロのメインファブリックは、「ゴアテックス インフィニアム」の2層構造を使用した30デニールで比較的柔らかい。コーディネートの落ち着きを見せたY神のヌプシと比較して、185cm・88kgのH條がバルトロを試着すると、膨張したダウンの塊になってしまいバランスが悪いのだ。
Y神:H條さんは肩幅あるし、スポーツマン体型過ぎるのかも。ゆったりしたスウェットパンツを合わせるよりも、バルトロの見た目のパワーを抑える方法をサイズ選びやコーディネートで考えましょう。
H條:ぐむむ。
袖丈はLでも標準的だが、これ以上のサイズアップを試みると降雪地やウィンターレジャー以外に着て行く場所も限られてしまう。あくまでも、大人男子向けのタウンユースで料理したいところだ。
Y神:防寒着ではあるけれど、おしゃれ着ではない感じ。洋服好きならわかる基準だよね。
プレス嶋田:H條さん、気落ちせずに。「ザ・ノース・フェイス」にはバルトロ以外にも、キャンプシエラショート、ヒムダウンパーカ、ビレイヤーパーカなど目的と用途に応じた有名モデルは他にもあります。注力するスペックが違うので、そもそも「ヌプシ」と「バルトロライトジャケット」は絶対比較するのも難しいのです。
H條:公式にありがとうございます。
おしゃれ基準で簡単に決着してしまった感が否めない「ヌプシ vs バルトロ」。そんななか、Y神とH條の背後に見慣れた女子が現れた!
Baltro Light Jacket
カラー:ハーバーブルー / ¥62,700
Y神:めっちゃシュッとしとる。これはこれは「ザ・ノース・フェイス」プレスの谷本さん。
H條:夏に公開した速報試着ルポでは、後編のキャンプグッズ編でお世話になりました。
TNFプレス谷本:ところでキャンプには?
Y神&H條:仕事が忙しくて行けてません!
谷本プレスが試着するバルトロはカジュアルスタイリングに合う新色の「ハーバーブルー」。フードを被っても窮屈に見えず、文化系アウトドア女子の空気感が漂っている。これは文句なく、勝ちだ。
Y神:ボクもH條さんのバルトロを着てみる!
Y神:(それさっきも聞いた…)
H條:(おしゃれ基準では関係ないのよ…)
Y神:バルトロに勝ちたい。
H條:私のカタキをとってください!
プレス嶋田:(彼らは何と闘っているんだ…)
Baltro Light Jacket
カラー:バナディスグレー×メルドグレー / ¥62,700
H條:さすがです。あと、Y神パイセンのヘアにグレートーンが合ってると思います。
TNFプレス谷本:フードを被ってもフロントに余裕があるくらいが、バルトロでは程よいサイズ感です。Y神さんにLサイズだと袖は長い気がしますけども、そのくらいのモコモコ感がバルトロライトジャケットの魅力でもありますし、オシャレとしてはアリですね。
Y神:試着してみてわかった。肩から腕にかけての吸い付くようなフィット感がハンパないから、真冬の防寒着としては大いにアリ。だけどシルエットもタイトだから、ルーズに着たい人は2サイズくらいサイズアップしたほうが今っぽくデイリーに着こなせる。
H條:ほう。
Y神:サイズに迷ったら、自分の二の腕にフィット具合を聞いてみるとよいと思う。
H條:いいこと言った感。今度は逆に、私がヌプシを着てみます。色も黒なら問題ないはず。
GTX Nuptse Jacket
カラー:ブラック / ¥60,500
まさに、黒星と白星。プレスルームのカウンターには、2022年秋冬新作の「アンダイドヌプシジャケット」を着て優雅に佇むY神の姿があった。
H條:オレはゴン=フリークス。命を圧縮する事でしか成し得ないであろう能力。二度と念能力が使えなくなってもいい。それ程の決意と覚悟でなければ不可能。天賦の才を持つ者が、更にその才を全て投げ出してようやく得られる程の力…。
Y神:ちょっとなに言ってるかわからないけど、筋肉モリモリに見えてしまうことはわかった。丸っこいヌプシのシルエットが体型に沿いすぎちゃってるね。
TNFプレス谷本:ファッションのことはそこまで詳しくはないですが、顔が大きいとか、首から肩にかけての筋肉が張ってるとか、痩せればいいとか、そういう問題でもない気がします。着慣れることも重要です。
Y神:さらっとクリティカルヒット。
H條:とっくにH條さんのライフはゼロよ。
Undyed Nuptse Jacket
カラー:アンダイド / ¥40,700
余裕のY神にフォーカス。白であって白ではない「アンダイドヌプシジャケット」は、製造工程で最も水を必要とする染色工程をあえて行なわない素材を採用し、リサイクルダウンを使用した環境負荷の低い大人向けダウンだ。表地は15デニールのリップストップリサイクルポリエステル素材、ダウンパックに干渉する肩部分は30デニールのポリエステル素材の切り替えで、かなり柔らかい。素材そのものの色を生かしている無染色もトレンドだ。
プレス嶋田:おかげさまで好評です。ホワイトの刺繍ロゴで主張は控えめでありつつ、ファスナーがブラックで芯が通った印象がある。そのあたりのデザインも、大人のハートを掴んだ要因かなと。
H條:ナポリタンとか食べれなさそう。
Y神:お行儀よくしないと汚れちゃう。
TNFプレス谷本:これは参考までにですけど、カスタマイズサービスで作ってみた私物のヌプシと比較してみます。アンダイドと色調がこれだけ違います。
谷本プレスのカラーオーダーはホワイト。Y神着用の「アンダイド」はホワイトを意味しないが、見た目はホワイトダウン。同じ「ザ・ノース・フェイス」でも雰囲気が違うことがわかる。ちなみに、自分だけのカラーとサイズを組み合わせることでプロダクトが完成する次世代のカスタマイズサービス「141 CUSTOM」は、「THE NORTH FACE LAB」(渋谷パルコ)と「THE NORTH FACE+」(グランフロント大阪)で受付中だ。
H條:私のGTXヌプシも着てみてください!
GTX Nuptse Jacket
カラー:ブラック / ¥60,500
30デニールのナイロンを使用。エンボスロゴやアジャスターを排した接着リブなど、とことんまで黒を突き詰めたミニマルデザインの「GTXヌプシジャケット」は大人向け筆頭ダウン。ステッチのない接着バッフル仕様によりコールドスポットを軽減し、「ゴアテックス インフィニアム」が防風性と透湿性を担保する。コンパクトに収納可能なスタッフサック付き。
TNFプレス谷本:ビジネスライクなコーディネートにも合うダウンジャケットですよね。パリッとしたスーツに合わせる男性も多いです。
Y神:わかる気がする。
プレス嶋田:もう一方のヌプシもぜひ!
Nuptse Jacket
カラー:ブラック / ¥37,400
50デニールのリップストップリサイクルナイロンを採用し、質実ともに硬派な印象の「ヌプシジャケット」。先ほどの「ゴアテックス インフィニアム」素材の「GTXヌプシジャケット」が柔らかめの30デニール。ちなみに「アンダイド」のメイン素材は15デニールだ。
Y神:素材感が選ぶ決め手になるね。
プレス嶋田:ぜひ、いろいろ店頭で試着されてみてください。キャップとセット買いもお勧めです。
Nuptse Jacket
カラー:イエローテール、ラピスブルー / ¥37,400
Y神:これがラストかな?
H條:ツートンカラーのヌプシと言えば、1997年の年初でしたか、安室奈美恵さんとSAMさんが成田空港でパパラッチされて交際が発覚した写真が有名です。SAMさんが着ていた赤ベースで黒切り替えのツートンヌプシが、今も記憶に焼き付いております。
Novelty Nuptse Vest
カラー:アイスダイアンテロープタン / ¥31,900
ミックスした染料を砕いた氷に載せた柄はランダム。軽快にTシャツでも着こなせる「ノベルティーヌプシベスト」のテイストに合わせて、地味にキャップまで衣替えしたY神が激写したその先には…。
Y神:タダでは負けないH條さん、復活。
H條:私もダウンベストを試着してみたら、二の腕の太さが気にならず、全体もキュッと引き締まって取材もしやすくて調子がいいです。これで逆転勝利!
基本のスペックは「GTXヌプシジャケット」と同一。大人のブラックコーディネートに奥行きが出せる「GTXヌプシベスト」が、H條の正解だった。
TNFプレス谷本:もともと「バルトロライトジャケット」にはベストタイプの生産はありませんので、最後は「ヌプシ」が残った感じですね。
プレス嶋田:お疲れ様でした。
GTX Nuptse Vest
カラー:ブラック / ¥49,500
H條:でもこれ、ロゴがホワイト刺繍になった定番ヌプシのベストもある…ってコト!?
プレス嶋田:シンプルな「ヌプシベスト」(¥29,700)ですね。もちろんございます。
Y神:まだ迷うんかい!
ザ・ノース・フェイスの2022年秋冬をもっと知りたい!