2022.11.09

スタイリスト二村 毅と考える、ファッションと「落ち葉色」との優しい関係 PART.1

気づけば黒、ネイビー、グレーの服を選んでいる都会の大人たちへの、スタイリスト二村毅氏からのはっとさせる新提案。それが“枯れた葉っぱ”、つまり自然にある色=茶系色の服を取り入れるというもの。もともと馴染み深い色ではあるけれど、自然や季節にもっと寄り添いながら着てみると気分がひと味違う。それこそ大人のファッションの楽しみ方だ。

BIRKENSTOCKの「ボストン」

ビルケンシュトックの「ボストン」
その快適な履き心地は言わずもがな、甲が覆われたアッパーが革靴ライクな上品さも印象づけるビルケンシュトックの定番「ボストン」。そんな永遠の名作は、温もりのあるトーンが風合いのよさを引き立てるスエードの「ミンク」があらためて気分。 サンダル¥20,900/ビルケンシュトック(ビルケンシュトック・ジャパン カスタマーサービス) パンツ¥71,500/ビズビム ソックス/スタイリスト私物

JOHN SMEDLEYのクルーネックニットと visvimのフィールドチノパンツ

ジョン スメドレーのクルーネックニットと ビズビムのフィールドチノパンツ
薄手だけれど暖かく、それでいて蒸れない、メリノウールを100%使用した24ゲージクルーネックニット。日本人の体型に合わせたモダンフィットモデルの最新作から今回のテーマに沿って「ジンジャー」カラーをチョイス。コーディネートしたのは上質な超長綿を高密度で織り上げたフィールドチノパンツ。ごくベーシックな上下の合わせも茶色の濃淡と素材の深みによってぐっと奥行きが増す。 ニット¥38,500/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー) Tシャツ(2枚パック)¥15,400/グラフペーパー パンツ¥71,500/ビズビム バッグ¥49,500/ゴローズ ベルト/スタイリスト私物

YAECA WRITEのコットンラミーシャツ

ヤエカ ライトのコットンラミーシャツ
ミロバランという落葉中高木を染料に、環境負荷の少ないボタニカルダイで品のあるオリーブカーキに仕上げたコットンラミーのワークシャツ。オーソドックスなデニムとの合わせに、腰に巻いたブラウンのシェットランドニットが程よい立体感をプラス。 シャツ¥35,200/ヤエカ ライト(ヤエカ) Tシャツ(2枚パック)¥15,400/グラフペーパー デニムパンツ¥35,200/アナトミカ(アナトミカ 東京) 腰に巻いたニット¥15,180/ハーレーオブスコットランド(ザボウ渋谷店) バッグ¥3,190/エル・エル・ビーン(L.L.Beanカスタマーサービスセンター) ベルト/スタイリスト私物

UNUSEDのモヘアニットカーディガン

アンユーズドのモヘアニットカーディガン
ふわりと包むように身体にフィットするモヘアニットカーディガンは、緑や赤のナイロン糸をメランジ調に編み上げることでこげ茶色に深みをもたらしている。同系色のコーデュロイシャツ&パンツに合わせた秋のワントーンの装いは、リラックス感たっぷりながらもモダン。 カーディガン¥42,900/アンユーズド(alpha PR) シャツ¥35,200/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー) Tシャツ(2枚パック)¥15,400/グラフペーパー パンツ¥19,800/ピルグリム サーフ+サプライ バッグ¥27,500/ブレディ(ビショップ)

visvimのスウェットパーカ

ビズビムのスウェットパーカ
自然なムラ感があるドライタッチの表地に対して裏地は肌触りが滑らか。そんな高品質の裏毛ボディを用いたスウェットパーカは、柿渋とティンギという天然草木の染料を掛け合わせることでほんのり赤みがかったきれいなブラウンカラーに。ストンと肩の落ちたボリュームシルエットはレイヤリングにも適しているので、中にシャツを重ねて知的なムードを印象づけて。 パーカ¥70,400/ビズビム(エフ アイ エル トウキョウ) シャツ¥39,600/コモリ(ワグ インク) パンツ¥36,300/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー)

ファッションを通じて自然や環境にどうアプローチできるか。最近それが自分の中で大切なテーマになっていて、自然由来の素材や、実際に自然の中で美しく感じる色からヒントをもらっています。そんな折、散歩の道すがら偶然拾った一枚の葉っぱから、「こんな茶色にオレンジがちょっと混ざったような色をファッションに取り入れられたらいいな」と。イメージは農業などの一次産業で働く人々やそこに興味をもつ人たち。自然の近くで暮らす彼らが作業着と遊び着を一緒にして楽しむ姿を想像しながら、服選びや着こなしを提案しています。もちろん都会で着るのにネイビーやグレーの服はシャープだし、ハイテク素材の服だって美しい。でもそこに少し、枯れた葉っぱのような茶系色を昔ながらの素材とともに取り入れてみると着こなしにいい味が出るし、何より秋冬の風景にすっと馴染んでくれる。この企画から何かしら気になる服をチョイスしてもらったり、着こなしのフックにしてもらえたらうれしいです。もっと外に出かけて日差しを浴び、少しの無精髭くらい許せるような心持ちになれば、“枯れた色”を着るのがより楽しくなりますよ。

―二村 毅




Direction&Styling:Tsuyoshi Nimura 
Photos:Hiroaki Aoi 
Model:Kenjiro Tateyama 
Composition&Text:Kai Tokuhara

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