大人男子に支持される「ナノ・ユニバース」がマルチレーベルストアとしてリブランディング中。セレクトショップの位置付けから舵を切り、今後は「ナノ・ユニバース」ブランドを打ち出していく。注目の第1弾より、使えるセットアップ5体を試着ルポ！
東京・渋谷発のセレクトショップとして1999年3月に誕生した「NANO universe（ナノ・ユニバース）」が、25周年を迎える2024年に向けて今年3月からリブランディングを実施中。6つのレーベルとゴルフから成る「マルチレーベルストア」を打ち出していく。
期待のオリジナル商品が初登場する2022年春夏は、大人男子に向けたバラエティ豊かなセットアップが出色の出来映え。ウオモ本誌でもお馴染みのモデル髙橋義明が、「ドレス・カジュアル・デイリーユース」の3つのカテゴリーで試着ルポを試みた。
ありふれたサラリーマン御用達スーツに堕ちない“ファッションアイテム”としての輝きこそ、「ナノ・ユニバース」が目指すリブランディング。セレクトショップ業態歴20年以上の経験値に裏付けられた審美眼と卓越したマーケティングセンス、生産工場や繊維関連会社との長年のパートナーシップがそれを後押ししている。
LB.01 ステイトメント
素材と縫製にこだわったドレスレーベル
6つのレーベルのコンセプトは、新ロゴが刻まれたタグに一目瞭然。とにかくわかりやすいのだ。試金石となるマルチレーベルの三本柱は以下のとおり。
・「LB.01 ステイトメント」：高品質な素材と縫製にこだわったドレスレーベル
・「LB.02 ビブリオグラフィー」：ワークやヴィンテージテイストのカジュアルレーベル
・「LB.03 セクション」：使いやすいトレンドを提案するセカンドレーベル
この三本柱に加えて、Eコマース＆アウトレット専売（LB.04）と仕入れ商品など（LB.05、LB.06）を合わせた6つのマルチレーベルで構成される。余暇時間に限りのある大人にとって、狙いを外さずに回遊しやすいストア設計は嬉しい限り。
01（ドレス）、02（カジュアル）、03（セカンドライン）の順に、オンからオフまで使える「大人セットアップ」を5つのスタイルで厳選する。購入ニーズに隙なくフィットする6カテゴライズだが、ベーシックな買い物は基本的に01から03までのチェックでOKだ。
セットアップ-①：ネイビーのサマースーツ
1体目のセットアップは、「スリーBシングルテーラードジャケット」と「サイドアジャスター付きツープリーツテーパードパンツ」を組み合わせたネイビーカラーのコーディネート。ミニマルスタイルで汎用性が高く、個を打ち出すビジネスシーンはもちろん、気心の知れたフォーマルな集いでも大活躍間違いなし。
春風に揺らぐ身頃には芯地を使用しておらず、肩回りと上衿にはあえて薄くて張りのある芯地を入れ、格式ばらないニュートラルな立ち位置をジャケットの作りで見事に演出。高密度に織り上げられたサーマーウールはシャリっとした肌触りが心地よい。
ユニークなアクションプリーツが背面に施された「レギュラーカラーハーフスリーブシャツ」は、ドロップショルダーのビッグサイズと美麗バックシャンが魅力。主役級の半袖シャツだ。
ここで、プレスから更なる提案が。
高密度サマーウールで仕立てたジャケットは、同素材で「ジップアップブルゾン」も用意するという。
セットアップ-②：スーツ地ブルゾンのセットアップ
ヘルシーな仕事着として「スーツのドレスダウン」を、サマーウールで仕立てられたMA-1型ブルゾンと同素材スラックスで「ブルゾンのカジュアルアップ」を、トップスのスイッチでその両方向を楽しめる。
大人男子に向けたこの提案力と着回し力の高さは、オリジナル商品の企画・生産に注力する新生「ナノ・ユニバース」の矜持に他ならない。ぜひ、バリエーションとして2スタイルを揃えておきたい。
LB.02 ビブリオグラフィー
ヴィンテージテイストのカジュアルレーベル
古今東西の伝統服やヴィンテージ、ワークウェア、ミリタリーなどを現代的に解釈したカジュアルは、服好きが耽溺する沼のよう。インスピレーションのルーツは海外でも、日本製にこだわっている。
インナーは古着のような風合いの「ロングスリーブクリンクルシャツ」を選択。手に握られたセットアップの素材は、オーガニックコットンのムラ糸とコットン＆ヘンプの混紡糸で織り上げたヘンプデニムだ。
ボリューミーなワイドシルエットの「ヘンプデニムダブルニーモーターサイクルパンツ」は、1960年代のチェコ軍で使用されたモーターサイクルパンツがデザインベース。ダブルニー仕様や共地ベルト、裾を絞るボタンなど、玄人好みのディテールが満載。ちなみに、今後は定番モデル化も検討中だという。
「ヘンプデニムカバーオールジャケット」に見られる可動範囲の広いアクションプリーツなど、過度に現代的なミニマルデザインを推し進めると削ぎ落されがちなディテールは、ルーツへの最大限の敬意を払って残された。これには古着マニアも納得だろう。
セットアップ-3：ヘンプデニムのセットアップ
生成りのセットアップ3体目。
ユーロミリタリーとアメリカンなジージャンスタイルを日本製のヘンプ混紡素材でコンバイン。「ナノ・ユニバース」ならではの玉石混合のバランスは、玄人好みの極みだ。生成りのナチュラルテイストを、思い切ってラフに楽しもう。他色にネイビーもあり。
LB.03 セクション
旬のトレンドを提案するセカンドレーベル
今までの「ナノ・ユニバース」を踏襲しつつ、「LB.01」と「LB.02」のエッセンスが入った「LB.03 セクション」は、扱いやすいトレンドをミニマルかつベーシックなデザインで提案。粒揃いのアイテムが入荷中だ。
綿・麻・ポリエステル・ポリウレタンの混紡生地は、横糸に麻を使用することで独特のスラブ感と光沢が生まれている。天然素材と機能糸を組み合わせることで、吸湿速乾と接触冷感も期待できる。
セットアップ-④：黒リネンの夏向けセットアップ
インナーは白Tシャツ1枚、レザーサンダルで抜け感を出すくらいの緩さで。シャツ感覚のジャケットとイージーパンツ仕様のカーゴパンツは、単品でも幅広いコーディネートで組み合わせることが可能だ。
クールタッチリネンに続く真夏向け清涼セットアップの機能素材として、東レが開発した「Dot Air®︎」に注目。ちりめんのような凹凸感とざらつきのある麻のような風合いが、暑い夏でも清涼感を感じさせる。
セットアップ-⑤：真夏のショーツ使いセットアップ
レトロなチェコ軍のミリタリーウェアに着想を得たプルオーバーシャツと、同素材のショーツと合わせたセットアップ。これぞ、真夏のドレスコードだ。
以上、新生「ナノ・ユニバース」が強力プッシュする、春夏の様々なシーンでオンからオフまで活用できるセットアップ5体すべての試着ルポが完了。実店舗で羽織って体感してみて欲しい。
己の中に「極小の宇宙」の萌芽を見たならば、“新ブランド”の「ナノ・ユニバース」にお任せ。TPOを網羅するセットアップが良き相棒になってくれる。
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Photos: Hiroaki Horiguchi
Text: Takafumi Hojoh
