2021.03.06

「インドア」スタイリスト&エディターが選ぶ「アウトドア裏名品」20選 -PART3-

本誌1月号で対談した「無課金スタイリスト&エディター」のコンビはアウトドアとは無縁のインドアコンビでもある。誰よりも繊細な視点をもつ二人が実際のフィールドとかけ離れた場面で考える「裏名品」の話。

「インドア」スタイリスト&エディターが選の画像_1

11K-WAY/LE VRAI 3.0 CLAUDE

縦18㎝×横27㎝×マチ12㎝。¥15,000/ザ・ノース・フェイス パープルレーベル(ナナミカ 代官山)


「インドア」スタイリスト&エディターが選の画像_2

12yamatomichi/Light Alpha Vest/Jacket

Polartec Alpha Directを採用し、ベストにもなる本格派。¥35,000/山と道(ムーンライトギア)


「インドア」スタイリスト&エディターが選の画像_3

1366°NORTH/Arnarholl Anorak

アイスランドで創業。ウエストのドローコードがアクセント。¥27,500/66°NORTH(CROSS)


「インドア」スタイリスト&エディターが選の画像_4

14tilak/Crux Pants

コットン100%でドライタッチ。一枚で着やすいビッグシルエット。¥7,000/バンブーシュート


「インドア」スタイリスト&エディターが選の画像_5

15MAMMUT/Innominata Light ML Jacket&Pants

ジャケット¥12,000・パンツ¥11,000/マムート(マムート スポーツ グループ ジャパン)


E 最近はグッチとザ・ノース・フェイスのようにアウトドアブランドとラグジュアリーブランドのコラボも珍しくなくなりました。僕が気になったのは昨年発売されたフェンディとケーウェイのコラボ。

S あのコラボアイテムでもベースになっていたケーウェイのウインドブレーカー⑪は最近着ている人を見かけなくなりましたが、あらためてかわいいと気づかされました。ブラックナイロンに走るオレンジと黄色のグラデーションジップライン!

E 普通に芸術的なラインですよね。無駄に高機能すぎず「フランスの国民的カッパ」という親しみやすい立ち位置も納得です。ジップのかわいさでいうと山と道のジャケット⑫も負けてない。フロントジップが裾から首に向かって斜めについているのは口元へのアタリをなくすためらしいのですが、デザインとして純粋にかっこいいです。

S 肩のジップを開けて袖を外せばベストにもなる。66°ノースのアノラック⑬のようなミリタリーライクなものもちょっと新鮮じゃないですか?

E 北欧のどこかの軍のデッドストックかと思いました。そもそもミリタリーとアウトドアは親和性がありますもんね。武骨なデザインと人懐っこい丸みのあるフォルムのバランスが絶妙です。

S 軍モノだと綿100%なんですが、これはポリエステルが55%入っていて撥水性があります。

E アウトドアらしい恩恵が生地に入っていますね。ティラックのパンツ⑭も軍パンみたい。

S ベルトのバックルがシャープ。カラビナ調になっていて初期設定でこのベルト付きは男心をくすぐります。ポケットの収納力が高く、立体裁断のストレッチ素材で座りやすい。見た目にモダンな大人のファティーグパンツといった感じ。

E これはもはや「文化系ミリタリー」だな(笑)。マムートのフリース⑮はセットアップですか?

S 実はトップスはXLでパンツはSサイズを買った私物なんです。アウトドアブランドはレイヤード前提の作りなので、普段のサイズ選びが通用しないことも。これはピタッと着るベースレイヤー寄りのジャケットと、タイツの上にゆったりはく用のパンツなのかもしれません。試着して吟味したところ身長175㎝の僕で上がXL、下がSのサイズバランスがしっくりきたんです。山の専門家からすれば、当然ジャストサイズがオススメかと思いますが(笑)。肩や膝に補強のパッチがあることで部屋着感もなくてお気に入り。

E イメージしているフィールドが違うのでアウトドアショップで店員さんと話が嚙み合わないことは文化系あるある(笑)。それにしても選んだウェアは見事にほとんどが黒ですね。

S 本来レスキュー信号を発する可能性のある場で黒は不向きですから、街でこそ着るべき。

E 黒のアウトドアウェアは文化系のために作ってくれていると勝手に解釈しています。

S ただ選ぶ黒にちょっとした変化はありましたね。1年前であれば⑪のジップはボディと同色の黒のものに惹かれただろうし、⑫は裏地のフリースまで黒であってほしかったはず。黒って単純なようでいて実はフォルムや素材、配色でそのときの気分が最も反映されやすい色なんです。

E 僕らの黒も、この一年で癒やしを求めてだいぶ丸くなりましたね。また足元だけにカラーを入れて、ガチなアウトドアテイストを楽しむのも許せる。

PART 4へ続く



Photos:Yoshio Kato 
Stylist:Junichi Nishimata 
Text:Takako Nagai

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