武骨な佇まいにぐっとくるけれど、取り入れる際の野暮ったさが気になるところ。本気の軍モノを愛する大人は、この難題をどう解決している?
フランス軍のM-38 モーターサイクルパンツ
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クラシカルなアイテムで味を出しつつアクも抜く
柿本陽平さん/ブルーム&ブランチ ディレクター
フランスでの買い付けで幸運にも出会った、仏軍のバイク部隊が着用していた’50年代のM-38。「特徴的な極太ラインが今の空気に合いますね」と絶賛愛用中だ。「共布のベルトや裾のストラップといったもともとの意匠が少々土くさいですが、エムズブラックのツイードコートやレユッカスのギリーシューズが醸す上品さで中和しています」。
U.S. AIR FORCEのL-2A フライトジャケット
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上質なアイテムの緊張感をミリタリーで解きほぐす
児島晋輔さん/キャプテン サンシャイン デザイナー
「軍モノは好物」という児島さんだが「本気っぽくは見せたくない(笑)」とカーキや黒は避けてきた。手にしたのは“エアフォースブルー”。「運命的」と発見に興奮した’50年代のL-2Aも同様で「キャプテン サンシャインのカシミヤニットやスラックスのハズシとして活用しています」。浮かないよう同系色でまとめるのもポイント。
スウェーデン軍のM-90 コールドウェザーパーカ
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主役はボリューミーなコート。ほかは色も量感も控えめに
雨宮功治さん/イルミネート バイヤー
ミリタリーウェアを豊富に揃える渋谷の名店、イルミネートの雨宮さんは、稀少なスウェーデン軍のコートを纏って登場。「米軍のアウターに比べてすっきりしたデザインが気に入っています。これ一着で様になるので、出勤時もコンビニに行くにも重宝しています。ボリュームがあるぶん下半身はスリムに。色数も少なめがマイルール」。
U.S. AIR FORCEのCWU-9/P キルティングジャケット
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軍モノを手なずける色味と意表を突くインナー使い
坂田真彦さん/アーカイブ&スタイル 代表
「ミリタリーウェアはいわば機能服」と信頼を寄せインナー使いしたのは’60年代製の米軍のキルティングジャケット。「“らしさ”が際立つナイロン地&アーミーグリーンですが、インナーであれば馴染みやすい。シックなバブアー×ソフのコートを軸にグレートーンで全体をまとめたことで、軍モノ特有の泥くささも抑えています」。
U.S. ARMYのM-43 フィールドジャケット
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ラギッドなジャケットをドレススタイルでモダンに
大島拓身さん/ビームス VMD
「軍服はもともと制服だけあって、現代のドレススタイルとも親和性があるんです」と大島さん。「ただし、ラギッドなミリタリーウェアは一点のみ投入が基本。クリースの入ったウールパンツやネクタイなど上品なものと組んでドレッシーに。くすんだ色味が多い軍モノは、紺や赤などハッキリした色と合わせると、いっそう引き立ちます」。
U.S. ARMYのM-51 フィールドパンツ
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素材感とフェードカラーで男くささを程よくいなす
柳 雅幸さん/メイデン・カンパニー PR
ミリタリーパンツを何本も持っているという柳さんが選んだのは、米軍で1951年に採用されたM-51パンツ。「ギアっぽくて男心をくすぐります。ショートブルゾンでパンツのサイドポケットは見せたいところ。アメリカらしい武骨なパンツと、北欧ブランド、ヤンマッケンハウアーのクリーンなシャツという、国境もテイストも超えたスタイリングが気分ですね」。
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Text:Masato Nachi Ryo Kikuchi