限りあるお金をどこに使って、どこにかけないのか、センスのいい5人に「正しい」課金方法を取材。ものの値段だけに縛られない審美眼が見えてくる。
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Profile
東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。2015年から東京藝術大学美術学部彫刻科で非常勤講師を務める。独創的な彫刻作品を精力的に発表。UOMO本誌では私服スナップも人気で、モデルとしても活躍している。
同じジャンルのアイテムで、お金をかけるものと抜くもの両方揃える
「アウターならダウンジャケット、トップスなら白、パンツはセンタークリース入りのトラウザーズタイプ、アクセサリーは手首に一つ。ジャンルごとに好きなものは決まっているので、それらを組み合わせるだけ。そのとき、どれもが低価格だとただの作業着になってしまうし、どれもが高額だったりすると張り切りすぎた印象になってしまう。同じジャンルでお金をかけた服、抜いた服両方揃えることで、きちんと感・抜け感のバランスを簡単に調節できるんです。ジャバラに組み合わせるだけで完結する。低価格なものはいつでも補充できるという安心感の価値があるし、高額なものは一期一会の価値がある。これで作品制作も個展もどんな場面でも自然体で対応できます」
DOWN JACKET
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ウインターギアのダウンジャケット
(右)冬場の作業着を探していたら約5000円で発見。「作業服店で売られるヤッケのような簡素なデザインが気に入って購入しましたが、何にでも合わせやすくて日常的に重宝しています」。
’90sモンクレールのダウンジャケット
(左)若い頃に思い切って買った上質なダウン。ブランドロゴのパッチがなく、シャカシャカしないマットな質感が上品。「おじいちゃんになっても着られそうなので、大切に使っています」。
WHITE TOPS
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グッドウェアのカットソー
(右)「消耗品は在庫が切れず買い足し続けられるものがいい。ヘビーウェイト好きとしてはプロクラブやキャンバーもいいけど最近はグッドウェアのXXL。襟ぐりと袖のたまり具合が好きです」。
スタジオニコルソンのシャツ
(左)「主張しすぎないデザインと上質な生地が素晴らしく、よくチェックするブランド。バンドカラーのシャツはTシャツの延長線上のような気分でドレスアップできるのがいいですね」。
CASUAL PANTS
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ディッキーズのワークパンツ
(右)「10代から補充してはき続けている不朽の一本。時代によってはきたい太さは変わるし、買いたてのパリッとしたプレスラインが気持ちいいので、たびたび買い替えるのが基本」。
コム デ ギャルソン・オムのスラックス
(左)「個展やパーティではおしゃれしたいんですが派手なものは苦手だし、やはり普通でいたい。だからツータックの上質なスラックスって都合がいい。適度な“よそいき”感を出せるんですよね」。
WATCH&JEWELRY
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G-ショックの腕時計
(右)「衝撃に強いのはもちろん、タフソーラーと電波時計を搭載して自動充電で動き続けるG-ショック。それって値段は安くとも一生モノですよね(笑)。クラシックなデザインも好きです」。
プラチナ製のブレスレット
(左)「時価で貴金属を売るお店で作られたシンプルなアクセサリーをつけることが多くて。このブレスは数年前の価格で5万円ほど。ブランドネームではなく素材本来の価値に課金したい」。
お金をかけたいほど魅力的なスニーカーがここにある。
Text:Takako Nagai
Videographer:Kousuke Usui[BYNAZR]