日本でまだ大規模展開がないにもかかわらず、すでにおしゃれな大人たちを虜にしていると噂の一本は、パリにショップを構えるハズバンズ パリのスラックス。その魅力に3つの証言から迫った。
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証言-1
レショップ プレス、渡邉浩貴さんに聞く
ビッグシルエット全盛時代にいちはやく買いつけた理由
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一直線のパターンは唯一無二。春夏に快適な薄いトロピカルウールで、フロントはヨレずにはける持ち出しつき。背面は動きやすいVノッチ仕様と隅々まで丁寧に仕立てられた一本。¥75,900/ハズバンズ(レショップ 青山店)
「弁護士から転身し、ナポリで修業を積んだ創業者の二コラさんによる正統派スラックスを普段使いする提案は、スタイルとしてはクラシックながら、まだ日本では浸透していません。一貫してジャストサイズではくストレートかフレアを作っているのですが、カジュアルなビッグシルエットを着慣れた大人に、あらためてエレガントで普通のパンツのよさに気づいてほしかったんです。自分もその一人。いざお店で販売してみると、多くのお客様が直線的な美脚シルエットの新鮮さに感動していました。リピート買い希望で、すでに入荷待ちの方々も多数いらっしゃるほど、ファッション好きな大人に選ばれています」
証言-2
ハズバンズ オーナー、ニコラ・ガバールさんに聞く
とことん正統派なのに新鮮に見える理由
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「ハズバンズの創業以来、ハイウエストスラックスの熱烈な支持者です」
そう言い切る、オーナーのニコラさん。その言葉どおり、ハズバンズのスラックスはハイウエスト&ワイドシルエットのものがほとんど。自身も普段からハイウエストのボトムしかはかないという彼に、その魅力を聞いた。
「ウエストに自然にフィットする快適なはき心地。また、シルエットが視覚的に縦に強調されることで、脚を長く見せることができること。そして、ジャケット、ブルゾン、Tシャツなど、どんな服とも相性がよく、エレガントに見えるところです」
ニコラさん自身は普段どんなコーディネートをしているのか。
「今日のように、スーツで合わせることがほとんどです。よりフォーマルにするならネクタイを締めます。その場合ネクタイは長すぎないほうがいい。もし長い場合は、はみ出した部分をボトムの中に入れるのがマイルールです。足元はブーツ一択ですね」
’70年代のパリらしいエスプリを感じさせる正統派スラックスは「どう着るか」までを徹底的に考えて作られた、こだわりが詰まった一本だった。
「私はファッションを、自分自身を表現するための言語だと考えています。ですから、このスラックスは誰もが自由に着こなすことができるはずです」
テーラードに対するこだわりと、パリジャンらしい自由な発想。両者が融合し、ハズバンズのスラックスはクラシックなのに新鮮に見えるのだ。
証言-3
ファッション業界の愛用者に聞く
価格が高くてもはいている理由
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川辺慎太郎さん
トゥモローランド バイヤー
久しぶりに出会えたマイ・スタンダード
「もう制服にしたいほど気に入って同じパターンで追加オーダー中。ハイウエストでお尻がピタッとした設計はムダが削ぎ落とされた印象で、短丈のジャケットを合わせるのが気分。ちなみにこのファブリックはオリジナルのストライプ柄で、品のいい遊び心も好み。以前からインスタグラムをチェックしていますが、ロックやクラシックの音楽カルチャーと結びついたブランドの世界観も大好きです」
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オクトシヒロさん
スタイリスト
ミニマムなパターンがほかにはない
「ゆったりとしたテーパードが主流だったなか、ハズバンズは腰まわりがタイト。僕は裾幅が26㎝のフレアをはいていますが、直線的でミニマムなパターンも珍しい。昔のメゾンのスーツを思わせるような、今やほかでは見つからない形です。緊張感があるフィットで、背筋を伸ばしてオシャレをする感覚もいい。セリーヌのジャケットとメゾン マルジェラのニットでフレンチシックな合わせにしました」
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西又潤一さん
スタイリスト
まっすぐ落ちるストレートが美しい
「なんといってもシルエットがほかにない。テーパードしていないストレートかつ腰まわりにフィット感があるものをもともと好んでいますが、ここまで普通にはけるスラックスにはそう出会えません。素材はやわらかい雰囲気のツイードを選んだのでカジュアルにも難なく合わせられる。いつものジップアップパーカに程よいドレッシーさを与えてくれて、足元はバンズのスリッポンくらいで十分に上品です」
Tetsuo Kashiwada(Snap) Yuka Ito(Snap)
Stylist:Masanori Takahashi(Still)
Text:Takako Nagai Mami Okamoto(Paris)