デザイン、防寒性、動きやすさ、ボリューム…さまざまな点においてアプローチが異なるファッションブランドとアウトドアブランド。それぞれの人気ダウンを比較レビュー。
ファッションブランド編
今っぽいディテールやカラーのチョイスなど、ファッションダウンならではのアレンジを検証。
ファッション性の強いニュアンスカラーがたまらない
1STONE ISLAND
ストーンアイランドの代名詞である「クリンクルレップス」素材を使用した一着は、生地に樹脂加工を施すことで生まれた独特のシワ感と淡いニュアンスカラーが魅力。トレンドの短めの丈とコンパクトなシルエットの相性がいい。
ダウンジャケット¥170,500/ストーンアイランド(ストーンアイランドジャパン) その他/本人私物
NEAT デザイナー 西野大士さん
「タウンユースで楽しめるようにするためのアプローチがされていながら、しっかりダウンも詰まっていて身体にフィットしてくれる。軽くて保温性も高いので、機能面でも申し分のない一着ですね。これぞストーンアイランドと言わんばかりのニュアンスカラーと生地感が絶妙」
百日紅 オーナー 山下武紘さん
「今季、こんな短丈ダウンが欲しかったんです! ストーンアイランドらしい都会的な色味とマットな表地が気に入りました。ボリュームも抑えられていてバランスがとりやすい。ダブルジップでシルエットに変化をつけてもいいけど、僕は全部閉めてコンパクトに着てみたい」
パンパンに詰まったボリュームもまたレトロです
2SEDAN ALL-PURPOSE
’90年代のいなたいアメカジムードをうまくファッションとして落とし込んだ、セダン オールパーパスの一着。ダウンがいっぱいに詰まったボリューム感のあるシルエットと、鮮やかなブルーが印象的。首元にさりげなく施されたブランドロゴもアクセント。
ダウンジャケット¥44,000/セダン オールパーパス その他/本人私物
百日紅 オーナー 山下武紘さん
「パンパンに膨らんだフォルムと短丈とのバランスが絶妙で今っぽいですし、ツヤツヤの生地がヴィヴィッドなブルーとマッチしていてかわいげもある。スタイリングするなら、落ち着いた色味のデニムを選んで、鮮やかなブルーとのグラデーションを楽しんでみたいですね」
Bshop バイヤー 山本慎さん
「ダウンがいっぱいに詰まっていて、袖を通したときのシルエットがユニーク。この丸みを帯びたボリューム感はアウトドアのダウンではあまり見ない、ファッションブランドならでは。内側のパッチのデザインやポケットのスナップボタンから、懐かしい雰囲気を感じますね」
マットな風合いとヴィヴィッドなグリーンが好み
3KAPTAIN SUNSHINE
2列に配されたフロントのスナップボタンや袖口の内側にリブがある設計など、クラシックなマウンテンジャケットから着想を得ながら、細部のディテールにまでとことんこだわっている。丸くボリュームのあるフォルムと短めの丈で、シルエットはモダン。
ダウンジャケット¥121,000/キャプテン サンシャイン その他/本人私物
Bshop バイヤー 山本慎さん
「まさに気分! この冬、最も着たいダウンに認定。どこか’80年代の雰囲気のレトロなデザインがかわいい。いろいろなディテールを盛り込みながら、あえてファッションっぽさを感じさせないのがさすが。こういうきれいなグリーンを選んでみるのもいいですね」
TF バイヤー 鈴木雄介さん
「フレンチミリタリーのヴィンテージを彷彿とさせるディテールと鮮やかな色が気に入りました。ポケットの中に収納されたドローコードや内側に入った袖リブなど、余計なパーツやデザインが表に見えない作りになっているのもいい。着たときのフォルムも美しいですよね」
ゆとりのあるワイドシルエットが今っぽい
4Freshservice
フレッシュサービスらしい、ゆとりあるシルエットとサイズ感が魅力。裾のドローコードでシルエットの調整が可能。大きなサイドポケットや、面ファスナーでアタッチが簡単なフードなど、機能的な工夫もうれしい。
ダウンジャケット¥46,200/フレッシュサービス(フレッシュサービス ヘッドクオーターズ) その他/本人私物
TF バイヤー 鈴木雄介さん
「クラシックすぎず、程よくスマートに仕上がったダウン。やや大きすぎるかなと思いきや、着てみると嫌ではない。よくシャツにスラックスを合わせることが多いんですが、そのままこのダウンをガバッとはおっても馴染みがよさそう。裾からブルーのシャツをチラ見せしたいです」
NEAT デザイナー 西野大士さん
「あえてダウンが詰まりすぎていないフォルムが新鮮ですね。ゆとりのあるシルエットはレイヤード前提で作られているのかな。だとしたらさすがです。ファッション性に振り切ったダウンだと感じました。アンダー5万円で値段も手頃なので、買い足しダウンとしてもおすすめ」
レトロなディテールをファッションとして解釈
鈴木 以前はダウンを買うなら、アウトドアブランドの本格的なアイテムを選ばなくてはという意識があったのですが、最近はむしろファッションブランドなりの視点でアレンジされたものが気になります。
西野 同感です。アウトドアダウン派の僕でも楽しめそうなダウンが増えたんですよね。昔のスノーウェアやレトロなアウトドアウェアのディテールを採用しているブランドが多い印象。セダン オールパーパスやキャプテン サンシャインとかはまさにそうですね。
山本 カラーリングに関しても懐かしさが漂っている。ダウンでこういう振り切った色モノを着てみるのもいいですよね。自分もキャプテン サンシャインのグリーンのダウンはすごく刺さった。試着してみると細部にまでデザイナーの児島さんのこだわりを感じて、アガりました。展示会に伺っていたのに、どうして見逃していたんだろう(笑)。
山下 僕もダウンはデザイン性を重視したいです。ファッションブランドのものは、ボリューム感が計算されているから、何も考えずに着てもサマになるのがいいんですよね。
Text:Takako Nagai
Cooperation:PACIFIC FURNITURE SERVICE