大人のワードローブに馴染むちょうどいいメガネを考えるため、積極的にファッションとしてメガネを楽しむスタイリスト西又潤一さんを直撃。一見ベーシックな着こなしに、メガネ選びはどう影響するのか。
定番の黒縁は主張を抑えた細めに
10 eyevan
「四角でも丸でもないシェイプが絶妙。定番の黒縁がより細くなることで、トレンドやカルチャーを感じさせないモダンさが生まれています」。ラウンドとボストンの間をとったフォルムはどんな顔立ちにも似合いやすい設計。ノーズにはかけ心地のいい貝殻パッドを採用。
繊細なツヤ感をプラスする極細メタル
HAFFMANS & NEUMEISTER
「ハフマンス&ノイマイスターはマイキータの創設者が中心になってスタートしたブランドで、ドイツプロダクトらしいソリッドなデザインが好み。光沢の強いメタルですが、このくらい華奢ならいやらしくないですね」。スクリューレスの蝶番でデザインと軽さを両立。
メガネはコーディネートの調整役過剰になるものは選びません
「ベーシックな大人のワードローブに合うメガネを考えたときに、キャラクター感の強いモデルを選ぶよりも着こなしを品よく引き締めてくれるものがベストだと思います。デザインの強いフレームを選んで、メガネの力に頼りすぎた“エセディレクター感”が出てしまうのは避けたい。僕自身、若かりし頃は人に覚えられそうな個性的なメガネをかけていたことがありました。でも今の気分はよりフラットにかけられるもの。派手な服を選ばないのと同じ理由で、人に違和感を与えず、自分の一部として顔に馴染んでほしい。しかもモダンなデザインってあんばいが難しいんですが…辿り着いたのが10eyevanの細めの黒セルでした。大きすぎず小さすぎず、主張を抑えたシェイプもクリーン。蝶番やテンプルの重しまで精緻に仕上げられています。スタイリングに干渉することなく、引き締め役になる。もう一本重宝しているのはハフマンス&ノイマイスターのメタル。これも顔に馴染む柔和なシェイプで、極細フレームが少しの輝きをプラスしてくれます。セルとメタルの2本でスタイリングを調整していて、例えば上品なカシミヤニットにはカジュアルな黒セル。これがメタルだと上品な素材同士なのでファッションとして面白くない。一方でシェルジャケットにはメタルフレームを合わせる。ザ・ノース・フェイスの定番マウンテンパーカも、ただのアウトドアではなくファッションになる。服とメガネのフレームのバランスでプラスマイナス・ゼロを狙ってます」
西又潤一
スタイリスト
本誌をはじめ、広告、カタログ制作などで幅広く活躍。ミニマルなスタイリングが持ち味。メガネ歴は20年以上で、10本以上所有。ファッションと同様に繊細な足し算と引き算で毎日のメガネを選択している。
Text:Takako Nagai