青いドレスシャツをラフに着崩す。誰もが一度は憧れるスタイルだが、実際に一枚選ぶとなると難しい。大事なのはサイズか、生地の張りか、襟の形か?ドレスシャツにうるさい3人が袖を通してガチ比較!
試したのはこの3人
洗いざらしが似合う男になりたい
「カジュアルに着るドレスシャツは、襟とカフスの芯が柔らかいことが大事。洗濯機で洗ったときにも雰囲気が出ます。色味は濃い青が好み。いたずらにサイズアップして着ることはしませんが、自分なりに着崩して楽しんでいます。紺のスラックスやデニムなどの寒色で合わせ、シックにまとめることが多いです」
襟の収まりと生地感にこだわってます
「襟はドレスシャツの“顔”、生地は“身体”となる部分。この二つはシャツを着るうえで大事な要素です。小さな襟は顔が大きく見えるのでNG。生地は高密度のコットンポプリンを洗いざらしにしたときのシワ感が好きです。一枚で着る場合は袖まくりが必須。最近は股上が深いパンツにタックインがマイ定番です」
いかに身体を美しく見せてくれるかが肝
「ドレスシャツを洗濯機にかけてくたくたにして着たいので、丈夫さは絶対条件。そのうえでパターンがいかに美しいかを重視。タイドアップ用にジャスト、カジュアルで着るのにワンサイズ大きめのもの、と同じものを2枚買っています。着崩しすぎるのはマイルールに反するので、足元は必ず革靴を合わせます」
タックアウトで裾のドレープまで楽しむ
1LES LESTON
ロイヤルオックスフォード シャツ
¥36,300 [サイズ43を着用]
着崩しやすさ
生地の質感
コストパフォーマンス
★★★☆☆
★★★☆☆
★★★★☆
大阪で創業したシャツブランドが、すべての工程を自社で行うこだわりの新作。型紙をゼロから考え、動きやすさを極限まで考慮したパターンに。張りのあるロイヤルオックスフォード地は高級感があり、熟練の職人による丁寧な縫製も相まって実に美しい。
シャツ/レスレストン パンツ¥33,000/グラフペーパー メガネ/本人私物
タックインしたジャケットスタイル。ジャケットとシャツは少しゆったりとしたサイズを選べば、カジュアルに見せられる、という好例だ。中に白Tも忘れずに。
シャツ/レスレストン ジャケット¥110,000/へリル・ジーンズ¥41,800/ウティ(ともににしのや) メガネ/本人私物
カフス芯が入っていて袖をまくっても美しい
ー石崎
袖まくり+襟の開きがカジュアルに見せるコツ
石崎 袖を通したときに「うわ、気持ちいい」と言葉に出てしまうほど、いちばん好みの生地でした。ロイヤルオックスフォードの程よい張りがドレッシーさを保ちつつ、十分カジュアルにも着崩せます。
安武 私も触れてすぐによい生地だと感じました。襟の硬さや着丈の長さはまさにドレスシャツといった感じです。
渡辺 僕は逆にその本格仕様ゆえ、着崩すのにはハードルが高い印象を受けました。カジュアルに着るなら、ハイゲージニットの中に合わせてシックに着こなしたいですね。
安武 僕は、石崎さんのようにタックインして着たい。裾は出さず袖をまくったり、ボタンを2、3個開けるなどしてラフに見せる工夫をしたほうがよさそう。着丈が長いので、タックインしたときにできるブラウジングのたまりはけっこういい感じでした。
石崎 ディテールでいうと、袖裏の縫製に感動しました。後づけの袖もドレスシャツならでは。それでいて、腕まわりの可動域が広く動かしやすいのがうれしいですね。この質の高さでインポートのドレスシャツの半分の価格とは驚きました。コスパよすぎます!
英国の雰囲気と軽い生地のギャップがいい
2BRITISH MADE
ドレスシャツ “ロンドン”
¥19,800 [サイズLを着用]
着崩しやすさ
生地の質感
コストパフォーマンス
★★★☆☆
★★★★☆
★★★★☆
光沢のあるスーピマコットン地は、しなやかで着崩しやすい。ボタンを留めなくても襟が内側に美しいカーブを描く。カフスは3つボタンの英国ドレス仕様。生産は日本の鎌倉シャツが行っている。
シャツ/BRITISH MADE(BRITISH MADE 銀座店) Tシャツ¥60,500/ボーディ・パンツ¥26,400/イズネス(ともにalpha PR) メガネ/本人私物
襟を立てたときのやわらかさが絶妙
ー安武
安武 ぐっときたのが色味。ほかのシャツと比べて鮮やかでカジュアルに落とし込みやすい。ゆったりめで襟も柔らかいので、シャツジャケット感覚で着られます。
石崎 子どもっぽく見えない絶妙な色合いですね。安武さんのような着こなしは、裾に広がりが出てカッコいい。
渡辺 3つボタンのカフスは手首にフィットするので、袖まくりでラフさを出したい。裾のラウンドは控えめなので、タックアウトでも馴染みます。
石崎 ガチガチのドレスシャツというよりカジュアルにも振れて使い勝手がよさそう。中にコットンのタートルを着ると、品よく映ると思います。
安武 タートルはこなれた感じが出そうですね。僕はTシャツにはおって襟を立てるくらいが好みです。
フレンチの色気をうまく着崩したい
3LE
フレンチシャツ
¥19,800
[着丈 standard×身幅 standardを着用]
着崩しやすさ
生地の質感
コストパフォーマンス
★★★★★
★★★☆☆
★★★★☆
サイズ展開が豊富なLEのシャツに新型が登場。薄手のコットン地に、スクエアカットの裾やサイドスリットなどフレンチライクなディテールが光る。背面にタックがないのも特徴。
シャツ/エルイー(レショップ 青山店) Tシャツ¥11,000/ギャルリー ヴィー(ギャルリー・ヴィー 丸の内店) パンツ¥30,800/タンジェント メガネ/本人私物
インして袖をまくればデニムと相性抜群!
ー渡辺
渡辺 最もカジュアルに落とし込める一枚でした。薄手でテロッとした生地が自分好み。襟やカフスに芯がないのが潔く、着る人を選ばない作りが好印象でした。
安武 袖にカフリンクスをつけられる仕様は、着た人しか気がつかない部分。こういう小さなこだわりはうれしい。
石崎 フランスのシャツの雰囲気を表現しつつ価格がリーズナブル。色違いの濃紺も欲しくなります。初めてドレスシャツを買う人にとって、いちばん入りやすいと思いました。
安武 ファーストドレスシャツとしては手軽で失敗しない一枚ですね。
渡辺 裾がスクエアカットでサイドのスリットが少し長めに入っているので、タックアウトすると独特の色気が出せるのもいいです。
前立ての色気がレイヤードに映える
4FRAY
セミワイドカラーシャツ
¥66,000 [サイズ39を着用]
着崩しやすさ
生地の質感
コストパフォーマンス
★★★☆☆
★★★★☆
★★★☆☆
“バイロン”と呼ばれる定番のセミワイドカラーシャツ。張りのある生地と芯が通った前立てからはイタリアらしい色気を感じる。
シャツ/フライ・ベルト¥29,700/アンダーソンズ × トゥモローランド(ともにトゥモローランド) ニット¥39,600/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー) ジーンズ¥33,000/グラフペーパー メガネ/本人私物
黒いダウンベストを合わせるとソリッドにまとまりつつ、かわいげが出る。裾は外に出してユルいノリで。
シャツ/フライ・ベルト¥29,700/アンダーソンズ × トゥモローランド(ともにトゥモローランド) ダウンベスト¥55,000/へリル(にしのや) Tシャツ¥60,500/ボーディ(alpha PR) パンツ¥37,400/ギャルリー ヴィー(ギャルリー・ヴィー 丸の内店) メガネ/本人私物
硬い袖と襟はラフにボタンは留めずに自然体で
ー安武
袖を通せば間違いなくわかる最上級の縫製と上質な生地
安武 着た瞬間に生地の張りのよさを実感。すべてのステッチが、細かいピッチで繊細かつ均一に縫われています。熟練の職人が縫っている証し! 価格は高いですが、納得できます。
石崎 フライのシャツを着ると背筋が伸びますよね。特に裾端の運針の細かさは、フライだからこそなせる芸当。カジュアルに着るには抵抗のある価格ですが、細部を見れば妥当。ボタンを全部開けたときに垂直に落ちる前立ても美しすぎます…。
渡辺 わかります。ドレスシャツの中でもフライは端正なイメージ。ただ、硬い襟や背中を絞るダーツをカジュアルに落とし込むのは一筋縄ではいかない気も。ワイドスラックスにインしてエレガントに着るか、時間をかけて愛用していくうちに洗いざらしではおれるようになれたら素敵です。
安武 確かに、硬い襟芯は50回ほど洗いをかけてから着たい(笑)。背中にダーツがあるとついタックインしたくなるけど、アウトして、袖をまくってラフに崩すのはアリな気がする。
石崎 身幅が細いから無地のスラックスにインして革靴だとビジネス色が強い。下半身のバランスも大事です。
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Stylist:Junichi Nishimata
Model:Kazuya Nakajima
Text:Kohei Horikomi
Cooperation:Backgrounds factory