それなりに場数を踏んで、ハレの場での振る舞いにも余裕が出てきたこの頃。服装もそろそろ教科書どおりを脱してみたいなら、こだわるべきは色柄よりも“素材”。普通だけど凡庸じゃない。40歳が目指すべきバランスとは?
ライトグレーのモヘアで英国マナーを嗜んでみる
ひとくちにフォーマルといってもさまざまな装いがありますが、今回は“昼間に行われる、部下の結婚披露宴に参列”という設定で服装を考えてみました。日本では結婚式というとダークスーツが大定番ですが、イギリスでは昼の披露宴の場合、ライトグレーのスーツをしばしば着用します。そのほうが陽光に映え、華やかに見えるからです。一般的なウール素材でもよいのですが、よりステップアップするならモヘア混がおすすめ。至極ベーシックな表情ですが、日差しを受けると輝くような光沢を放ち、華やかな披露宴にぴったりなのです。生地に張りがあるのでパリッと端正に見え、格の高さを発揮できるのも魅力ですね。
今日僕が着ているのは、「アダルトモヘア」とよばれる成獣の山羊から採れた素材。キッドモヘアよりも光沢があるのが特徴です。既製品ではあまり見ないかもしれませんが、テーラーでは定番的な生地ですね。色柄はあくまでベーシックを貫きつつ、上質な素材で貫禄を発揮していく。40代には、そんなフォーマルスタイルをおすすめしたいです。
Fumiya Hiranoビスポーク
平野史也さん
1985年生まれ。2012年に渡英し、名門ヘンリー・プールを経てロンドンで独立。’20年に帰国し、西麻布に拠点を移す。昨年発表した既製トラウザーズも話題に。
スーツ以外も、素材や仕立てのグレードを高めてみる
エドワード グリーンの「アルバート」
定番のストレートチップもいいけれど、もう少し遊びを加えるなら、ルームシューズで足元に華やぎを。エナメルのような光沢あるレザーにパイピングを施しクラシックな品格を追求している。¥105,600/エドワード グリーン(ストラスブルゴ カスタマーセンター)
シャルべのブートニエール
ジャケットのフラワーホールに飾るアクセサリーは、フェスティブな気分を表現するのにぴったり。シルク生地を用い、ハンドメイドで作ったシャルべのブートニエールならエレガンスもひとしおだ。(各)¥16,500/シャルベ(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店)
ホリデーアンドブラウンのタイ
ハレの場にふさわしく、ネクタイも少し華やかに。ホリデーアンドブラウンは1926年に創業した老舗。膨大に所有するアーカイブ生地をリファインして生み出す色柄には、約100年に及ぶ歴史の重みがにじむ。(各)¥19,800/ホリデーアンドブラウン(ビームスF)
レスレストン フォー シップスのウイングカラーシャツ
いつものスーツに合わせるだけで、装いをフォーマルにスイッチできるウイングカラーシャツ。大阪のビスポークシャツブランドが製作した一枚は、精緻を極めた縫製が一格上の気品を醸し出している。¥40,920/レスレストン フォー シップス(シップス 銀座店)
Stylist:Masashi Sho
Interview&Text:Hiromitsu Kosone
Composition:Masayuki Ozawa[MANUSKRIPT]