いいコートは場の空気を読み、居心地をよくしてくれる。
格式のあるホテルやレストランに行くと、服装によって案内される席が変わると聞く。こうした社交場で心得たいのは、好きなファッションを貫くのではなく、その場に「いい空気」をつくること。自分が気持ちよく過ごすためには、一言でいえば「ふさわしい服」を着るべきなのだ。特に、そこで脱いで預けるアウターにはこだわりたいもの。その服の質感やブランドで、自分の格が決められているかもしれないと思うと気が抜けない。
その「ふさわしい」=「預けられる」の条件を考えると、いつものトレンドとは違う視点で選ぶセンスが必要。身だしなみがぴりっとしたスタッフが持って様になるのは、やっぱりコート。なおかつみんなが知っているのに特別感のある、上質なコートだ。いい素材を使った伝統的な一着を探すのは、誰も知らないブランドをディグるより難しくない。それこそ仕立てのよさで支持を得る、イタリアやイギリスの老舗をのぞいてみてはどうだろうか。おのずと訪れるお店や行動も40歳らしくなってくるに違いない。何よりも、コートの脱ぎっぷりが様になるはず。
BURBERRY
クラシックなトレンチコートを端正なシルエット、膝下丈のロングでモダナイズ。バーバリーのギャバジンは、どの場、店にもふさわしい。
コート¥357,500(予価)/バーバリー(バーバリー・ジャパン) カーディガン¥48,400・タートルネックニット¥44,000/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー) パンツ¥57,200/オーラリー ベルト¥20,900/ホワイトハウスコックス(グリフィンインターナショナル) シューズ¥159,500/レユッカス(ビームスF)
MACKINTOSH(右)
第二次世界大戦時にマッキントッシュが製造した英国陸軍用のバイカーズコートを元ネタに、トレンチの原型として人気のタイロッケンコートのフォルムを取り入れた一着。斜めの大きなポケットが特徴。コート¥250,800/マッキントッシュ(マッキントッシュ ギンザシックス店)
Sealup(左)
ミラノのコート専業メーカーで一流のメゾンからの生産を多く請け負う実力派。ビームスFの別注は肩まわりがなだらかでリラックス感のあるバルカラーコート。携行品がたっぷり収納できる大きなポケットが特徴だ。コート¥181,500/シーラップ × ビームス F(ビームスF)
Belvest(右)
ことスーツにおいてはマシンメイドの最高峰と称されるイタリアのベルヴェストより、オーセンティックなバルカラーコートを。ジャケットのように軽やかな着心地は、繊細なスーパー130sウールによるもの。膝下のロング丈も気分。コート¥396,000/ベルヴェスト(伊勢丹新宿店)
Loro Piana(左)
タグを見れば一流紳士はみんな納得するロロ・ピアーナ。柔らかなアルパカやカシミヤなどの混紡素材に撥水効果をもたらす独自のレインシステム®を採用。3つボタンのシングルというクラシックな前立てがエレガントだ。コート¥770,000/ロロ・ピアーナ(ロロ・ピアーナ ジャパン)
Hair&Make-up:Yosuke Toyoda[Rooster]
Stylist:Masashi Sho
Models:Hideki Asahina Rebel
Composition&Text:Masayuki Ozawa[MANUSKRIPT]