2023.09.03
最終更新日:2024.03.08

【パタゴニア2023秋冬試着|後編】人気バッグ「ブラックホール」の新作、スノボ用ジャケットも試してみた

前編の50周年記念「ナチュラル・アイコン」コレクションに続いては、雪山で使えるスポーツウエアをはじめ、旅にもおすすめのバッグまでを次々とピックアップ!

【パタゴニア2023秋冬試着|後編】人気の画像_1

パタゴニアの展示会はカテゴリーごとにそのシーズンのフォーカスイベントや製品が並んでいる。前編では「ライフアウトドア」カテゴリー、いわゆるカジュアルウエアをクローズアップしたが、後編ではパタゴニアの「テクニカル」ラインや「エクイップメント」(バッグ類)を見ていこう。


「あのラグビーセーターは買いにいかないとだな」(山崎)「確かに」(薬師神)と、余韻に浸っていたところ、「山崎さんはスノーボードをするんですよね?」と、パタゴニア マーケティング部の内野宗一郎さんが挨拶をしてくれた。

パタゴニアのメッセージボード

協働の目標

3人は「テクニカル」カテゴリーの入口に展示されたパタゴニアのメッセージボードの前に移動して、内野さんの話を伺う。


薬師神:ストームシャドー・ジャケットをご紹介いただいたときに、(パタゴニア マーケティング部の)小林さんから高い「協働の目標」を掲げたパタゴニアとGORE-TEXとのPFC(フッ素化合物)フリーの取り組みについて説明をいただきました。


内野:パタゴニアは2025年までに防水シェルを含む、すべてのアパレル製品をPFCフリーに切り替えることに取り組んでいます。


薬師神:実現できるんですか?


内野:はい、そうですね。その目標達成のためにゴア社と最高のパートナーシップのもと、協働で最もテクニカルなアルパイン・スノー用のアウターウエアからフッ素化合物を排除し、しかも過酷な状況に耐える悪天候型対応のプロテクションを開発してきました。


山崎:その成果が前編で試着したメンズ・ストームシャドー・パーカなんですよね?

パタゴニア_PFCフリーのGORE-TEXファブリクス
内野:ええ。そしてこれから紹介するスノーやアルパイン用のジャケットには、PFCフリー3層構造のGORE-TEX®ファブリクスも使われています。業界に転機をもたらす、革新的な進歩です!


山崎:PFCフリーのGORE-TEX®ファブリクスは、防水性アウターウエアを劇的に変えそうだ。今年のスノボウエアをどうしようか考えていたところなんで、ちょうどよかった。僕が試着しましょう(ウズウズ)。


01.メンズ・ストームシフト・ジャケット¥63,800

パタゴニア_メンズ・ストームシフト・ジャケット¥63,800
内野:これは2層構造にハンギングライナーがついたオールマウンテン用ジャケットです。耐久性撥水加工も防水メンブレンも100%PFCフリーになりました。


山崎:ジグザグ織りのフリース(ハンギングライナー)が付いたのは、前からあるタイプですよね?


内野:さすがですね。よくご存じで。昨年、数量限定で初めて発売されたモデルです。


02.メンズ・アントラックド・ジャケット¥94,600

パタゴニア_メンズ・アントラックド・ジャケット
山崎:見たことがないこっちを試着してもいいですか?


内野:新作のアントラックド・ジャケットです。こちらはバックカントリーやフリーライディング用のアウターで、裏地にマイクログリッドバッカーを採用した3層構造になっています。


山崎:パリパリしているかと思ったらしなやか! 3層構造なのにやわらかくて着やすい。(腕を動かしながら)立体裁断ですか? 動きやすくていいですね。


内野:アントラックド・ジャケットはGORE-TEXのePE3レイヤーとして、初めてバックカントリーなどの「エクストリーム&エクステンデッド」の基準をクリアしたアウターです。薬師神さんもいかがですか? スキーやスノボ、されますか?


薬師神:僕は文化系なんで…。ところでこの「Useless Essential」というのはなんですか?

パタゴニア_フィルムを使ったキャンペーン
内野:こちらは2023年12月からのキャンペーンのメインコピーです。パウダーターン(ふかふかの雪の上での雪しぶきを上げるターン)は結果であり、そこに至るまでの過程やカルチャーが大事だということを、12月から1月にかけてフィルムやイベントを通して伝えていきます。


山崎:パタゴニアは最近、フィルムを使ったキャンペーンが充実してますね。


内野:この冬はシーズンを通してストーリーを発信するスピーカーシリーズや、雪上でのイベントを実施します。最新の情報はパタゴニアのホームページ内にアップしていきますが、そのスピーカーのひとりが国際山岳ガイドとして活躍する加藤直之さんです。


会場にはパタゴニア・スノーボード・アンバサダーで、日本バックカントリースキーガイド協会の会長も務める加藤直之さんが。パタゴニアのホームページ内には「情熱のその先へ:ガイドという生き方」というエッセイも掲載されているのでぜひご一読を。

パタゴニア・スノーボード・アンバサダーで、日本バックカントリースキーガイド協会の会長も務める加藤直之さん
山崎:はじめまして。加藤さんは山のプロでいらっしゃる。


加藤:はじめまして。今回の展示会ではレイヤリングについて話をさせていただいております。


山崎:ベースレイヤー/ミドルレイヤー/シェルというレイヤリングの概念は、パタゴニアが広めたものですよね。


加藤:おっしゃる通りです。ただ、レイヤリングは決して画一的なものではなく、着る人それぞれが状況に合わせて動きやすいようにカスタムしていいんです。たとえばダウンジャケットの袖を切ってシェルの上に重ねたっていい。

パタゴニア・ロッククライミング・アンバサダー、マイキー・シェイファー
会場にはアメリカのパタゴニア・ロッククライミング・アンバサダー、マイキー・シェイファーさんの斬新なレイヤリングの写真が展示されている。


山崎:シェルの上にダウンって暖かいんですかね? 


加藤:彼にとってはこれがベストということで、あくまで「自分なりの」レイヤーを見つけてほしいというメッセージです。レイヤリングがしっかりしていないと、アウトドアでのアクティビティがうまくいかなくなるので。


山崎:ミドルレイヤーのテックフリースにはR1とR2がありますが、これは厚みや暖かさの違い? 僕がスノボで着るのはもっぱらR1ですが。


加藤:これも用途によりますが、動きやすさや吸湿発散性を重視するならR1、プロテクションが必要ならR2を推奨しています。


薬師神:レイヤリングの話はみんな知りたいだろうし、UOMOのWEBコンテンツで改めてフォーカスしてもいいかもですね。


UOMOの記事で6月に「ハイク・コレクション」を紹介したところ、それを見た読者から「レイヤリングをどうしたらいいか?」という問い合わせがいくつかあったそうだ。初心者にとっては悩ましい問題だけに、今後、目的別に推奨セットなどを紹介したいところ。


内野:ところで山崎さんはどのあたりでバックカントリーをしているんですか?


山崎:今年は八甲田山は行きました。あ、このベースレイヤー、僕も着ています!


03.メンズ・キャプリーン・エア・フーディ¥22,000

パタゴニア_メンズ・キャプリーン・エア・フーディ
内野:ウール素材のジグザグ構造のベースレイヤーですね。


山崎:僕のまわりでバックカントリーをやっている人はみんな着ています。洗ってもすぐ乾くし、臭いもでないし、メチャクチャいい製品です。


中空糸を使ったキャプリーン・エアは軽くて通気性に優れているので、スノボなどアクティブなスポーツ向き。こちらは無縫製タイプだから肌が敏感な人にもおすすめ。もちろん日常の防寒着としても優秀だ。


薬師神:あのー。文化系の僕にもおすすめのパフォーマンスアイテム、ありませんか?


内野:メンズ・ダート・クラフト・パンツはいかがですか? マウンテンバイク用のパンツですが、ストレッチが効いていてデイリーにはいていただけます。


04.メンズ・ダート・クラフト・パンツ¥19,250

パタゴニア_メンズ・ダート・クラフト・パンツ
薬師神:形がきれいで、テックな雰囲気が好みです! ネイビーもありますか?


パタゴニアのマウテンバイク用パンツの中でもいちばん通気性に優れ、ストレッチ性も抜群という人気パンツ。ブラックのほか、ベイズングリーン、オブシディアンプラムの3色展開。


山崎:いいね、このパンツ。マウンテンバイクのダウンヒルもやりたいと思っていたところで…。


一行は次なるロゴカテゴリーを目指すが、その間に恒例のキッズアイテムチェックが。


05.ベビー・シンチラ・オーバーオール ¥11,550

パタゴニア_ベビー・シンチラ・オーバーオール
山崎:ちょっと待って! キッズ用のスキーウエアを買わなくちゃいけないから、下見させて。このフリースのオーバーオールはよさそう。「ナチュラル・アイコン」のビブ(前編で紹介)とおそろい的なイメージで…。


50周年の「ナチュラル・アイコン」はキッズの展開もあり、ビブの展開はないものの、コットン・ダウン・ジャケットは親子おそろいが楽しめる。


薬師神:大人にはない、キッズだけの柄や配色がありますね。ひと際派手だったりしますが。


山崎:キッズのウェアは派手なほうが、目立って見つけやすくて便利だから。


ひとしきりキッズウエアを見た後は、パタゴニアのメッセージを楽しく伝えるロゴカテゴリーへ。

パタゴニア_グラフィック_2023年秋冬「喜びと個人主義」
2023年秋冬は「喜びと個人主義」をテーマに、自然のすばらしさを描いたり、パタゴニアの50年の歴史からインスパイアされたグラフィックが登場。

06.メンズ・キャプリーン・クール・デイリー・グラフィック・シャツ¥6,930

パタゴニア_メンズ・キャプリーン・クール・デイリー・グラフィック・シャツ
山崎:「ナチュラル・アイコン」のタグにも使われていたバックカントリー・アルマジロ。このキャラクター、好きです。


“VIVA LOS FUN HOGS”(飽くなき冒険者たち万歳)というメッセージは、パタゴニア創設者のイヴォン・シュイナードが、パタゴニアというブランド名のきかっけとなったフィッツロイの初登頂のときに、山頂で仲間と掲げた旗に書かれたメッセージだ。パタゴニア地方に生息するアロマジロのキャラクターは、50周年を記念するアイコンとして人気を博しそう。


07.キッズ・ファンホッガーズ・ハット ¥6,050

パタゴニア_キッズ・ファンホッガーズ・ハット
薬師神:僕もこのアルマジロ、好きです! Tシャツとおそろいで、キャップもありますよ! キッズ用らしいんですが、大人も欲しくなる…。


ちなみにアルマジロが身に着けているのは、パタゴニアの前身となる“シュイナード・イクイップメント”のギア。そんなところにも歴史のピースがちりばめられている。


08.メンズ・ロングスリーブ・チェーシング・ピークス・レスポンシビリティー¥8,800

パタゴニア_メンズ・ロングスリーブ・チェーシング・ピークス・レスポンシビリティー
山崎:この富士山のようなグラフィックも気になるが、これはパタゴニアの50年の歴史におけるクライミングとサーフィンのカルチャーのつながりを描いているんだね。


薬師神:ですね。胸のワンポイントは50の数字が山と波になっています。


胸のロゴも「50 years of chasing peaks(50年間ピークを追い続けて)」とダブルミーニングに。ほかにもパタゴニアらしいウィットとユーモアにあふれたグラフィックTやスウェットが数多く登場するので、お楽しみに。


最後は幅広い層に支持されるエクイップメント(バッグ類)のトピックをお届けしよう。

パタゴニア_ブラックホール・シリーズがアップデート
内野:昨年の秋冬に続いて、今シーズンもブラックホール・シリーズがアップデートされました。昨年は黒色のリサイクルTPUだけでしたが、今年はクリアのリサイクルTPUフィルムラミネートが可能になり、ブラックホール・パックとブラックホール・ギア・トートに採用されています。


TPUとは熱可塑性ポリウレンタンのこと。加工しやすくて、超耐久性を兼ね備えた、スニーカーなどでもおなじみの素材だ。TPUの生産過程では大量の廃棄物が出るため、パタゴニアではこの廃棄物をリサイクルするように。ブラックに比べ、プロセスが複雑なクリアのリサイクルTPUフィルムラミネートが実現できたのは大きな前進だ。


09.ブラックホール・ギア・トート61L¥15,400

パタゴニア_ブラックホール・ギア・トート61L
薬師神:これがそのブラックホール・ギア・トートですね。


内野:耐候性があるので、ギアの収納だけでなく、サーフィンの際、このバッグに入って着替えてそのまま濡れた服を入れて持ち帰ったり、キャンプ場で愛犬を洗うバスタブとして使ったり…。


薬師神:愛犬のバスタブ、いいですね! 僕もやってみよう。


10.ブラックホール・ダッフル70L¥26,400

パタゴニア_ブラックホール・ダッフル70L
山崎:背負ってます。雪山に行くときはこのぐらいのサイズが欲しい。ダッフルなのに背負えるのは本当に便利。


1週間分の荷物を収納できると評判の70Lサイズは、ブラックホール・ダッフルの中でも2番目に大きいサイズ。こちらには、まだリサイクルTPUフィルムラミネートが使用されていないが、リサイクル素材を100%使用しているのはいわずもがな。


11.ブラックホール・ウィールド・ダッフル70L¥52,800

パタゴニア_ブラックホール・ウィールド・ダッフル70L
薬師神:僕は体力的に背負うのは無理なんで(文化系ですから)、こちらのウィールドタイプが欲しいです。


同じ容量で、ウィールとハンドルの付いたダッフルバッグもラインナップする。


12.ワックスド・キャンバス・トート・パック 27L¥19,800

パタゴニア_ワックスド・キャンバス・トート・パック 27L
内野:ネイビー好きの薬師神さんには「ナチュラル・アイコン」のトート・パックがありますよ!


薬師神:おー。いいですね! 前編で試着したジャケットと同じ、天然オイルを使ったワックスド・コットン素材ですね。ネイビーにラグビーシャツ風ストライプが、ラグビー好きなんで刺さります(もうすぐワールドカップだ…)。


今回も盛りだくさんだった2023年秋冬プレスプレビュー。紹介した製品は店頭に入荷中だ。オンラインでもローンチしているが、情熱あるストアスタッフとコミュニケーションをとりながら買い物するのは、もっと楽しい。


私たちが地球のためにできる最善のことは、過剰消費をストップし、責任あるカスタマーになること。本当に必要なものをぜひ見極めてほしい。



パタゴニア日本支社 カスタマーサービス TEL:0800-8887-447
https://www.patagonia.jp/

Photos:Kanta Matsubayashi
Composition & Text:Hisami Kotakemori

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