地味でコンサバな色に見られがちなベージュも、使い方次第で見違える。アウトドアやワークウェアでベージュを巧みに重ねて魅せる中田慎介さんに、週末らしいベージュの“アンライクリー(思いがけない)”な攻略法を聞いてみた。
Unlikely styles in beige
ベージュのグラデーションでつくる都会のサファリルック
「ベースは1980年代のサファリスタイル。明るさのトーンが違うベージュでグラデーションをつくりました。ふくらはぎが太いのがコンプレックスなので、目立たないようトップスはビッグサイズをセレクト。ベージュは膨張色ですが、あえて大きく見えるように。逆にショーツは濃いめのトーンを選んで引き締め効果を狙いました」。ベージュをベージュで引き締める。それが中田流だ。
オフホワイトだってベージュの仲間。クリーンな奥行きを楽しむ
「全身白は苦手ですが、オフホワイトのセットアップならあり。夏の米国的ビジネススタイルと言えば、なコットンスーツに影響を受けているのもありますね。いろいろなベージュスーツを持っていますが、中でもワークのセットアップは気軽に着られて楽ちん。上下で着ると目立つので、中にパキッとしたホワイトのTシャツを着てコントラストをつけるのがちょうどいいです」。
中田流アウトドアスタイルはグレー×ベージュであか抜ける
デザイン性のあるジャケットはシンプルに。ショーツのベージュ、サンダルとTシャツのグレーをジャケットの配色とリンクさせているのもポイント。「ベージュとグレーのコンビネーションが最近のマイブームなんですが、数年前に買ったジャケットがまさにドンズバの配色で引っ張り出してきました。どちらも中間色なので、相性は抜群。軽やかに品よく見せることができます」。
コットンと思いきやテックなベージュというギャップ
コットン中心の天然繊維に見えて、実はすべて化学繊維というのがミソ。「セットアップは昔のコットンブッシュポプリン生地に近いオックスフォードで作ったナイロン。シャツもコットンブロードに見えてポリエステルです。アウトドアスタイルは派手な色や逆に黒中心だといかにもな感じになりますが、ベージュでまとめると落ち着きのあるオーセンティックな趣が生まれます」。
濃淡をつけたレイヤードで多彩な魅力を引き出す
「タレントのアンミカさんがテレビ番組で言った『白って200色あんねん』という言葉を借りるなら、ベージュは200色以上あるんです。グレーっぽいベージュもあれば、生成りに近いベージュ、緑がかったベージュまでさまざま。ベージュ単品では味気なくても、素材感や色合いのニュアンスが異なるベージュを掛け合わせて重ねることで、濃淡が出て奥行きが生まれます。レイヤード次第で新鮮に映りますよ!」
中田慎介さん / Unlikely デザイナー
ビームスで別注やBtoB事業を成功させ、2023年3月よりクリエイティブディレクターとして独立。’23年秋冬シーズンには自身のブランドをローンチ予定。
Text:Masato Nachi