久々に気分の革靴だけど、普通に履くんじゃ芸がない。どうアップデートすべきか? レザーシューズひと筋のベテランスタイリスト片貝さんと、リアルなトレンドに詳しい若手スタイリスト中道さんがニューウェーブをキャッチ&プレゼン!
中道康生がプレゼン
ちょっと“ずれた”ローファー
トラッド感をやわらげる抜け感のある一足を選びたい
「ローファーはすぽっと履けて楽チンですが、意外と扱いが難しい。プレッピーやトラッドを象徴する靴なので、何も考えずに履いていると過去のスタイルを引きずっているようで古くさく映ることも。それを今っぽく抜くために、ほんのり丸い、ぽってりしたローファーを探してきました。足元で主張せず、頑張ってる雰囲気がないほうがゆったりしたスタイリングに馴染みます。ブルーブルー(A)はサンダル感覚で玄関でさっと履く自分が想像できるし、サンダース フォー ジェームス カワード(B)は古着のフーディに合いそうな優しい表情。どちらも今の気分です」
ぽってりとしたかわいげコインローファー
ABLUE BLUE
Proposal デッキソールが人なつっこい
Detail
シボレザーとスムースレザーの両方を使用することで奥深い表情を楽しめる一足。¥24,200/ブルーブルー(ハリウッド ランチ マーケット)
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「堅牢な作りではなく、柔らかなシボ革を足にフィットするステッチワークで仕上げたラフな表情がいい。ぽてっと丸いアッパーにデッキシューズのソールを合わせているからカジュアルさが増していて履きやすいです」
BSANDERS for JAMES COWARD
Proposal 重ためソールがアクセント
Detail
トリプルソール&コマンドソールを合わせた特別仕様。¥69,300/サンダース フォー ジェームス カワード(メイデンズショップ)
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「いわゆるドレスシューズの作りですが、武骨なコマンドソールのボリュームで印象がガラリと一変。ころんとしたフォルムがカジュアルにハマるし、ドレスに合わせてもソールの存在感がアクセントになるので重宝しそうです」
コインローファーではないモダンで削ぎ落とされたデザイン
「ローファーのもう一つの難しさは、ツヤっぽく見える問題。ビットやタッセルの装飾がついたタイプはなおさら難度が高いですよね。僕ら文化系が上品にキメたいときのローファーとして、アッパーのデザインが削ぎ落とされたモードなデザインなら問題解決。コインスリットを取り除いたピエール アルディ(C)も、ミニマルなアッパーのフット・ザ・コーチャー(D)の一足も、どちらもモダンで美しいですが高級志向を声高に主張しない、洗練された佇まいが魅力です」
変化球でミニマルなモード系ローファー
CPIERRE HARDY
Proposal
コインスリットがないだけでモード
Detail
滑らかなカーフスキンを使用。ブランドらしいエレガントなヒールもポイント。¥132,000/ピエール アルディ(ピエール アルディ 東京)
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「ピエール アルディらしいミニマルな造形美が刺さりました。アッパーからコインローファーの象徴的なデザインであるコインスリットだけをなくすことでトラッド色が弱くなり、むしろパンクなマインドを感じました」
Dfoot the coacher
Proposal 潔さを感じる無表情な一足
Detail
無駄を削ぎ落としたその名もズバリ「ミニマルローファー」。¥55,000/フット・ザ・コーチャー(ギャラリー・オブ・オーセンティック)
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「装飾を排しても、構築的なシルエットとステッチワークで簡素なスリッポンに見せない上質な作りは、さすが。シンプルかつ端正な顔つきに対して、古着やはき倒したデニムなど逆の要素を合わせて違和感を楽しみたいです」
Stylist:Shun Katakai[tsuji management] Yasuki Nakamichi
Composition&Text:Takako Nagai