時代が変われば、機能は次第に古び、また流行も移り変わる。それでも長く愛用し続ける理由とは? ファッションにもアウトドアシーンにも精通している4人のパーソナルな名品に迫る。
THE NORTH FACEのフリース付きハイベントシェルジャケット
NYのストリートに感じた空気が今もこの服には残っている
小澤匡行さん(43歳 エディター)
2000年代初頭にNYで買ったザ・ノース・フェイスのシェルジャケットは、ライナーのフリースが取り外せる珍しい3WAYモデルで、保温性はもちろん、ハイベントの撥水性も高く、当時としては高機能でした。
今でこそノース・フェイスはファッションのイメージが強いけれど、このジャケットを買った当時のNYではヒップホップアーティストたちが愛用していて、ブラックカルチャーの空気を強く感じるブランドだった。実際に、その頃はスニーカーやレコードを探しにハーレムなどの危険な地域に行くこともありましたが、そこで着ても浮かないというか、現地の空気に対してとてもリアルな服だったことを覚えています。
20年近くたって機能も随分と落ち、ハイテクとしての役割は終えました。それでもたまに袖を通したくなるのは、都会と音楽が結びついた懐かしいカルチャーを感じられるからだと思います。
Photos:Arata Suzuki[go relax E more]